クルーズ船の比較


旅行社から世界各国クルーズのパンフレットをどっさり送ってきた。いずれにも用船の詳細説明がある。1万トンから10万トンを越す大型船まで様々だ。平均すれば6-7万トンぐらいか。戦艦大和並の大きさと言うことである。日本には5隻あって、平均すれば2万3-4千トンだろうから、世界の船は大型化が著しいのである。巡航速度は18-25ノットだ。25ノットというとこれも大和に近くなっている。北極海巡りの砕氷観光船は機能、外観共に特異である。大半は煙突とか船体の一部にアクセントの彩色模様がある全面白塗りの、バランスの取れた優雅な船体である。日本船はいずれもこの系統である。クイーン・エリザベス2世号とカロニア号は、戦前の客船の伝統を引く外観でタイタニック号とそう基本的に変わらない。地上のホテルをすっぽり乗せたような外観の船(ミレニアム号)、船尾がなにやら大航海時代の木造商船のような姿にした船(ゴールデン・プリンセス号)もある。
クルーズには半定期航路化したものもある。一定期間同じコースを繰り返すのである。だが大抵は不定期航路で、少なくともその年はそれ1回きりである場合の方が多い。日本船は全部このタイプだ。日帰りから世界一周まで、似ていても毎年少しづつ変わるコースを計画している。日韓間に半定期航路を運営しているのは外国船である。地中海、バルト海、ノルウェー海、北海、北極海、それからカナダ東岸からアラスカ沿岸を巡るクルーズが多い。カリブ海はアメリカ船の独断場なのだろう。アジアでは北太平洋とオセアニアのクルーズ、香港中心の南シナ海クルーズぐらいか。こうしてみると我々がインド大陸、アフリカ大陸、南米大陸にクルーズできるのは、たまにその地方が世界一周コースに含まれたときだけである。中国大陸も寄り付き難いようだ。シベリア、樺太には偶に寄港する船が出始めている。治安不安、民情不安、政情不安、軍事不安。人気が偏る大きな理由であろう。
飛鳥で世界一周100日余りを最上クラスでやると1人1850万円である。色んな割引特典があるにせよ吃驚するような高値である。しかし、今はサービスに応じて様々な選択が出来るので、我々庶民でも手が届かないわけではない。まず早期申込割引が10%ぐらい、これにレピーター割引が付く場合が多い。お船には次述の階級があって庶民用ランクでは最下級は最上級の1/4-5ほどの値段だ。全く同じコースを巡る船はないが、類似のコースなら結構ある。飛鳥は日本船では一番高く付く。びぃなす系だと庶民クラスの船室ではさらに2割ほど安上がりになる。時節によってはサービスするコースもある。私はオプショナル・ツアーに小遣い込みで日に5-6万円当たりが一番平均的ないい旅だと思う。国内では飛行機、バスのツアーの4-5倍は掛かる。
昔の客船は階級制が厳しかった。映画「タイタニック号」ではあの非常時でも下階の三等船客を上級船客の甲板に上げようとしなかった。タイタニック号は定期航路客船であったから社会階層に応じた階級が必要であったのだろう。あの頃のイギリスは、今でもかなりの名残があるそうだが、階級に厳しい社会だった。初めからクルーズ船だったスカンジナビア号は社交界で一流の人だけが乗船を許される、だから階級のない船であった。今のクルーズ船はその中間を行く。クイーン・エリザベス2世号では細かく階級制を残していると聞く。1億総平等で階級に縁が無くなった戦後の日本人は、驚きかつ不快がるそうである。日本船ではびぃなす系はレストランだけ2ランクを敷いているが、その他の船は部屋以外には差別がない。だからプライベート・ルーム以外はどの甲板でもどのカフェでも自由である。
さて、船内の生活。まず庶民クラスの個室専有面積は14-17m2でビジネスホテル並だ。庶民クラスでは部屋に風呂はなくシャワーだけである。ただし飛鳥は全室風呂付きになっている。日本船にはどれにも大浴場があって、大半の船客はこちらを使うようだ。数万トンクラス以上では安い船室は窓無しの船内室になる。ディナーにはドレスコードがあるのが普通で、フォーマルだと結婚式の正賓のときぐらいでしか着る機会のない姿で出て行かねばならぬ。北極クルーズのロシア船、アジア・クルーズ専門船にはドレスコードがない。日本船には5隻みなにこのコードがある。和食のディナーがあるのは日本船だけで、アジア・クルーズ船には和食レストランがあるものもある。外国船では、電圧は110V、220(240もある)Vが標準で、親切にコンセントの合った変圧器を持ってこいと教えているパンフレットもある。日本船は勿論100Vである。使えるお金は日本船以外は米ドル立てが大半である。クイーン・エリザベス2世号だってドルだ。日本船にはチップ制はない。ただ、外国人乗務員が多いから例えばルーム・メイドには支払っている人もいた。外国船もチップをだんだん纏めて取るようになった。日本式の良さが理解され始めたのだろう。それでも例外の場所が幾つも船には残っているから、日本人にはやっぱり厄介である。旅行社から案内されるクルーズには大抵日本語を話すスタッフが乗船していて、船内新聞にも日本語版があると書いてある。それでも公用語でないハンディは、少々の語学力ではかなりの重荷であろう。
さて、あなたならどの船で何処をクルーズしますか。

('01/02/28)