
- 九州九重山系の硫黄山が何百年ぶりかで噴火したと言う。水蒸気噴気ですぐ収まる質のようだ。硫黄山とは俗称で、私の2.5万分の1地図にもこの名は載っていない。正確には星生山(ホシオイヤマだったか?)の一部を指す。いつもは中腹から僅かに水蒸気を上げている。登山口の長者原の案内板には、老年期に入った九重山系火山の名残と記されている。ついでながら、長者原はチョウジャバルと読みチョウジャバラではない。九州には原をバルと読ませる地名があちこち残っている。昔は硫黄?の鉱山があったそうで、そのためかコンクリート舗装の跡が残る登山路にしては広い道がついている。
- ここの山々には日帰りでよく出かけた。阿蘇系よりはかなり古い火山らしく、山並はなだらかで取り巻く連峰は優美である。坊がつる賛歌は九州を離れてから知った歌だが、土地の観光名所が旨く散りばめられた歌である。坊がつるとは外側の外輪山が取り囲む盆地のことで、多分一番古い火口なのであろう。国立公園だから良く保存されている。醜悪な看板もないし、スピーカーでがなり立てるみやげもの店もない。けっこう野生の動物と出くわす。勿論動物と出会うのは石ころゴロゴロの噴火口や硫黄山ではない。麓の潅木地帯である。野兎が多かった。戻り道で車のライトに赤い目が浮かび上がる事があった。猪は一度だけだった。ミヤマキリシマはついに見なかった。その頃ばかりは登山道は銀座になるからである。帰れるものなら帰ってあの地に住んでみたい。
- 自然の池が幾つもあったが、岸の土が黒ずんでいるものがあった。泥炭なのである。水量は富士山よりはよほど少ないが、おいしい水が湧き出る場所がある。名水100選に入っていると言う。温泉は麓一帯にあって、どこも湯量豊富である。その一つに湯平温泉がある。山からはちょっと距離があるので九重山系といえるかどうかは怪しい。間違っておれば許して貰おう。車が入りかねる昔ながらの湯治場である。野口雨情の詩が方々に飾られている。彼も来たのであろう。その一つ。
お湯の湯の平 一本松は 誰にこがれて まねくやら
- 学生生徒との戦争に疲れたら九州のお湯にどうぞ。
('95/11/14)