
- この夏帰ってみると、蝉時雨と云うほどではなかったが、わが家の界隈の樹木に蝉が鳴いていた。ここは東京湾岸の埋め立て地で、長い間蝉の声がなかった土地である。何年経ったら蝉がくるのだろうと毎年気をつけていた。正確には分からないが、埋め立て地には10年以上来ないのではないか。先ずやってきたのは小鳥達で、蝶々も比較的はやくに目についた。
- 埋め立て地にも色々あるが、ここは大都会を背景にしているものの江戸時代の道中絵図に出てくるほど古くからのお社が近くにあり、その社叢から半キロ程度しか離れていないのである。蝉は飛翔力が思いの外小さいのカナ。昼活動するときは海から風が吹いていて樹液の匂いを塩が吹き消すのカナ。風に向かってばかしは飛べないのカナ。それとも樹木が蝉の好みに合わないか。確かに学校の夾竹桃にはあまり飛来しなかった。だが、ここはわりと植裁の多いアパートで木の種類は多いから夾竹桃があっても理由にはならん。花が蝉の嫌う種類だったら別だが、そんな事は聞いた事がない。
- 蝉は数年は幼虫時代を土中で過ごすと聞いた。だったらこの土は合わないのカナ。嵐がきて倒れた樹木のねっこを眺めると、根は横に這うように張り出しているが、縦にはあまり延びていない。つまりちょっと下は昔の塩分たっぷりの海浜である。陸上の生物は海水は嫌いである。これが理由かな。今聞いている蝉は、ここらへんの中では土盛りが厚くて小高くなった場所にあり、それと10年以上の歳月でとうとう幼虫に必要な深さまで塩切りが自然の雨水で完了したのだろう。それにしても早く空蝉を見つけたいものだ。
- 勝手な理屈を付けて自己満足したが、本当のところはどうなんですか。ご存知の方教えてください。
('95/09/16)