もののけ姫

宮崎駿最後の作品20何億かの大作封切り記念として同監督の過去作品の放映あるいはビデオ販売そのほかいろいろ破格のPR作戦が続いて、ついその気になってこの映画を見た。前回映画を見たのは昨年の夏だったからほぼ1年ぶりである。
自然と闘い征服する人類から共生を願う人類への変貌を象徴させた雄大なストーリーだが、テンポも速く活気に満ちて、子供から大人まで楽しめる内容だった。たたら吹きで大規模に製鉄を行う技術集団が中心の話だからたたらのアニメーションだけでも楽しい。映画の中で男たちが巨大な溶鉱炉に砂鉄原料を仕込み女たちがそろって送風器を足踏みで動かす様は緊張感もあって面白かった。時代は中世に設定されている。田中祐子の女頭領が実質のヒロインなのである。大和政権に追われて東部に隠れ住む将来はそこの酋長と目される少年の物語でもあるが、彼が最後に選んだ落ち着き先が古里の東国ではなくこのたたらの里であったのも現在的だった。
京大学生新聞にまさかの、もののけ姫の紹介と批評が出ていた。好意的な評論だった。今頃学生新聞なのは、学生から勧誘されたのと、私が勤めていた学校には学生新聞はなかったので若者気風の理解の一助にとも思ったためである。読んでみると第一面の記事はいつもなかなか読ませるのである。
久しく低落傾向の映画産業の中でめずらしくも新築された映画館で見た。設備がよいのはもちろんだが、定員制総入れ替え制上映中閉鎖制を敷いているのでゆっくり邪魔されずに見れた。料金は普通で席数は100程度の小劇場である。画面の大きさ、高い解像力、立体的音響など改めて映画館で見る楽しさを味わった。観客の足が遠のいた理由には入れ物のお粗末さもあったと思う。便所の臭いを漂わせて平気な感覚では困る。

('97/07/18)