石油備蓄基地

一度見たいと思っていた石油の菊間の地下備蓄基地を見学する機会があった。花崗岩をくり貫いた高さ30m幅20mの長大なトンネルが掘られ、150万klの貯蔵基地が作られた。花崗岩と言っても無数に割れ目が入っている。タンクからの漏れは厚い吹き付けコンクリートと、水圧を油圧より高くする事で防いでいる。地下水の中にタンクが埋まっているような構造で地下水が枯れるのを防ぐために常に外部から水を補給する。
150万klで日本の消費量の二日半程度だそうだ。国内の他の基地全部を合わせたら一月程度の備蓄量だろうか。石油精製会社のタンク、輸送中のタンカーの原油など入れて二月分くらいになるのだろうか。今は中東原油に90%を依存しているわが国の油事情から言ったら一月二月と言わずせめて半年分くらいの備蓄が欲しいところだが、さて立地的に可能な場所があるのだろうか。この土地は部分的に人里がタンクに重なっている場所で、工事の2年半ほどを地底でドカンドカンとやられた人々はたいがいに我慢強かったといえる。
巻町の住民投票の結果は六割が原発反対であった。沖縄の住民投票もご存知の通り。この備蓄基地だって予測できない危険を言いたて工事の騒音を取り上げたらまあ反対賛成が拮抗する事になるだろう。SECURITYに我慢は付きものである。では何故反対が多いか。多分その地域が背負う不利益に見合うだけの利益がないからである。利益とは札束ではなく、オラガ文化圏と感じる範囲内での、原発なら原発そのもののメリットである。
オラガ文化圏は今は多分自動車日帰り旅行の範囲であろう。都道府県は文化圏の単位としては今では時代遅れである。止めて州制にし強力な自治権を与えてはどうか。北海道から始まって九州までの8州に、沖縄の特別州である。各州単位で半独立国家的に行政をバランスさせる方向がよい。すると東電は消費電力のある割合に見合った原発を関東に立地する。アメリカ軍の大半を収容する駐留キャンプを東京に持ってくる。備蓄基地も消費量応分に東京に設置する。こうならないと東京は地方の痛みが解らないし、地方はかって維新以前には持っていた気概を取り戻せないだろう。まあ、夢物語ではあるが。
東京の空気は周辺より1度ほど高いそうである。夏は冷房設備の出す排熱で、冬は暖房に使うエネルギーで。私はすべての点でこれ以上東京だけが過熱するのが心配なのも事実である。

('96/09/12)