夏祭

先月下旬から今月上旬に掛けて当地は夏祭で賑わう。今年は二つ見た。どちらも最近になってから夏のイベントとして精いっぱい盛大に実行している。昔からの祭でないから宗教色は一切無い。伝統にもとらわれないから無国籍である。初めにみたのがバリ祭と言い、二つ目はコンガ踊り大会とか言った。
好きなものが連を組んで勝手気ままに振り付けて踊る。ジャズクラブ、モダンダンスクラブ、空手道場、町内会、暴走族衣装の連、小林寺拳法道場、飲食店組合にこりゃ何だろう、インドネシア衣装に統一して踊っているのがいる。英会話教室の連は先生らしい外人が先頭である。バリ祭の方はあまり企業連がなかった。コンガの方には企業連が多い。企業連も昔のように会社を背負わなくなった。審査員席の前でずっこけてみせるなんて事は、昔の会社チームでは考えられなかった事である。
秋祭りにはけが人死人を出すことしばしばの土地柄である。台車に形ばかりの木枠を組みそれに大太鼓を乗せた山車が道の脇から飛び出す。こりゃ飛び入りである。台車を押す人数の衣装がバラバラだし、ぶっつけ本番だからかリズムが全然合わない太鼓である。踊り手は分断されて大迷惑であった。飛び入りは太鼓だけではない。連の中に潜りで入り込んで踊る奴が出る。衣装が違うからすぐばれるのだがしばらくは踊っている。アトランタのマラソンで日の丸を掲げて併走した連中もこんな心境なのかなと思う。
道の片隅で車座になっているのがいる。踊り衣装でないから見物に来たらしい。まだあどけさが残る若者である。それが一升瓶でかけ声を掛けながらイッキ飲みを始めた。こりゃいかんとたちまち職業意識が芽を葺いて近寄る。以前に大の字になって道で寝ていた女子学生を思い出した。幸か不幸か我が校の顔見知りはおらなかった。もしおったらどうしただろう。もう気持ちの上で暴走にはいっている若者を、言葉だけでコントロールするのは至難の技なのである。私は化学広く言えば知識で教育に悩んだ事はないが、こんなシチュエーションのときは本当に悩んでしまう。
卒業生がやっていた。にこやかに楽しそうに踊っていた。いやいや付き合いで、しかたなしにといった風情の特に女子の踊りは見ちゃおれぬものである。こんな子のお見合いなど頼まれても世話できんと思う。いろんな目がみている。今の若者は表現力が付いた反面我がままを隠すのが下手になった。

(96/08/09)