ウィルスの還暦

年老いてますます盛ん。病知らずの老青年。健康だ健康だと云い続けていた私だったが、それが単なる自惚れだったことが先の秋口にはっきりした。帯状庖疹に掛かったのである。この病気は幼時期の水庖そうのウィルスが体内の免疫系の活性化と共に大人しく引っ込んでいたのが、本人の老齢化その他の原因で、再び体内で暴れ出した結果である。好んで神経系に巣喰うので、病んだ神経系一帯は大変な痛みを伴う。私は夜も寝られぬ日を何日も過ごした。
免疫系の衰えは重大である。エイズだってある種の癌だって免疫系の衰えによって症状が出てくる。両親祖父と癌で亡くしている家系である。癌保険だけは真面目に自分の意志で加入した。ついこの間行われた健康診断の結果が今回は待ち遠しい。何だか行く先の宣告を受けたような気分でこの一週間を過ごした。
あとの祭であるが、思い当たる場面が幾つもある。何でもない夏山でへばった時に気付くべきだった。何時になく足が前に進まず、戻りの車中では気分が悪かった。学校の仕事に気力が続かぬのをいかぶった時もあった。卒研の学生がきても身を入れて指導できないのである。
原因として上げられた因子の一つに神経性ストレスがあった。ストレスは受け止め方もあるが、概して外的要因である。シメシメ。丁度演習の試験結果が散々だった。先生がコウなったのも半分はお前らのせいだ、と難癖を付けてやろう。楽しく楽して合格させる訳にはいかん。経団連が云うまでもなく、ホントに実力が付かぬ奴は単位はないものと覚悟せよ。ここはチュー学校でもコートー学校でもない、コートー教育設備ぞよ、と言ったらヤダーと返事が帰ってくるカナ。

('96/07/15)