二月要約V
- 最近読売の自民党への傾斜ぶりが目立つようになった。NHK国会中継で見たが、暫定ガソリン税10年継続案に対する岡田民主党議員の質問ぶりは見応えがあった。でも読売は民主党は対案を示せと自民党の後押しに終始した。毎日新聞に指摘されたとおり、路線変更をしている。私はそれでよいとも思う。すでに成熟した社会だ。すべての新聞が「客観的」第三者のふりをするのではなく、堂々と支持政党を明確にする時代が来ていると思う。しかしスポーツ欄のプロ野球の巨人偏向記事は頂けない。プロ女子ゴルファーの戦績紹介では、同じ試合のANZレディースマスターなのに、14位の宮里藍選手を、9位と上位に終わった横峰さくら選手より格段に大きく取り上げた。世界卓球団体1次リーグでは全勝で貢献した平野より4勝2敗の福原、福原だ。このような贔屓の引き倒しに過ぎない不公平な扱いは新聞自体の品格を疑われ、記事自体の信頼性をも台無しにする。
- 沖縄で米兵が14歳の中学生をレイプし、いまだに日本側に逮捕拘束権がない不平等性がクローズアップされたことも手伝って、反米感情が噴出している。米側は事件のたびに謝罪を行い、今後の対策を言うが、いつまでたっても犯罪数が横這いである。対策が形式だけの疑いが強い。日本側が同席する必要がある。2/18には海兵隊員が民家に侵入、その前日には飲酒運転でやはり海兵隊員が捕まった。2/20の新聞には偽札使用で逮捕者が出た。岩国市長選挙では基地容認派が勝ったばかりだが、今後の基地再編問題はまたまた難題を抱えることとなった。
- 日本マクドナルドの店長残業不払いに対し、名ばかりの管理職扱いは不当との判決が出た。コナカに対しても同様の判決が出たばかりである。三次産業は国内法に護られているから、安い外国労働力の直接の脅威を受けない。労働力に対する適正な利潤分配により、消費を向上させ景気回復に資する先兵となり得るはずだ。
- 大阪府新知事が当選後まだ日が浅いのに新規府債ゼロ宣言を取り消した。予算に占める割合が少なくないことなど選挙以前から分かっていたことで、府民に対する欺瞞行為だ。その言動、公約の軽さには呆れる。知名度抜群のタレントというのが選挙での売りであった。あるいはと選挙前に抱いていた疑念が、こうも早く現実のものとなるとは思わなかった。京都市長選では教育長出身と共産党推薦の弁護士が争い、僅差で前者が勝った。京都市での共産党勢力は選挙始まって以来ずっと他の政党全部と対抗できるほどに強い。
- 新銀行東京について読売はもはや撤退するしかないという社説を書いた。2/27読売は解説記事で、開業して3年で1000億円近い赤字を作った「石原」銀行が再建不可能で、知事提案の400億円追資を「泥棒に追銭」というに近い表現で酷論した。貸し出しの8割が不良債権だそうで、呆れるばかりの超放漫経営である。
- 2/15政府は輸入小麦引き渡し価格の30%値上げを発表した。69円/kg。2/29の新聞によると、農水省がスーパー各社に関係食品の小売値の値上げを指導する文書を出したとか。ならば痛手を被る勤労者のために、賃上げの沙汰もやってはどうか。自由経済にあるまじきご指導ぶりである。小売りの小麦粉なら100円/kgといったところか。それでも米の1/3以下である。国産米がいかに高いかが分かる。昨年来3度目の値上げだ。今回は前2回に比し大幅であるため、食料品価格への影響は必至だ。食料安全保障と自給率向上のための農業保護の声がまた上がり始めている。100%自給が出来ない限り、弱い消費者にとって農業保護が無意味なことは、戦中戦後の食料の奪い合いが物語っている。完全自由化こそが消費者を納得させる方法である。
- 市川崑監督が死去。「ビルマの竪琴」、「東京オリンピック」、「おはん」、「古都」、「細雪」、横溝正史原作の金田一耕助探偵ものなどの名作を残した。「東京オリンピック」は「ベルリン・オリンピック」が名作と言われ、スポーツ記録映画の定番とされていたために、国会筋で酷評されたが、その先入観の無かった若い人々には好評であった。新聞のコラムに今の河野衆議院議長の父・河野一郎氏が作り直せと毒づいたことが載っていた。「おはん」では、最後のシーン・田舎駅のプラットフォームで、何もかも譲って立ち去るおはん役の吉永小百合に、「仏さんのように微笑んでね」と注文したと彼女の自著「夢一途」に書いてあった。あの映画はもう一度みたい1本である。
- 2/18 NHK BSの追悼番組で「細雪」を見た。谷崎文学の耽美の世界を見事に映像化している。ラストシーンでは、小料理屋の窓に見えるボタン雪がいつの間にか嵯峨野の花見のサクラ吹雪に置き代わる。京の花見は4姉妹の大事な毎年の行事であったが、戦時体制という事情、姉妹それぞれの事情がもうそれを許さなくなってきた。雪はこれからの厳しい世間を暗示している。主役の岸恵子、佐久間良子、吉永小百合、古手川裕子の個性ある演技は第1級品だ。それぞれの声に特色があって、よそ見をしていても誰かが分かる。配役の妙である。準主役、脇役、端役にいたるまで見事な演技で日本映画最高水準の作品であることは間違いない。現在の日本映画では見れるのは主役とあと一人ぐらいで、その他は素人に毛が生えた程度の芸であるのと大変な差である。たとえば雪の舞う大阪駅の見送りシーンの、その他大勢である見送り人それぞれが服装や髪型化粧は言うに及ばず、表情にまでそれらしいアクセントを付けて演じている。監督の神経がよく行き届いていると感心する。脇役の中の秀逸は女中だ。一挙手一投足が私の幼時の記憶にある女中の姿に重なる。分家の次女の家に奉公する若い方の女中は、幾分オーバーにコミカルに演じて雰囲気を和らげる。法事のあと本家に集まるが、足早に子供たちを別室につれてゆくシーンなどは、本当に女中経験があったのではないかと思われるほどだ。三宅邦子の頑固でお節介なおばさん役も板に付いている。男優では分家の婿養子・石川浩二もさることながら、本家の婿養子・伊丹十三のアクのきつい演技はさすがだと思う。
- フィギュァ・スケート4大陸選手権で高橋(男子)、浅田(女子)両選手が優勝した。モーグルのワールドカップで上村愛子選手が優勝。男子テニスの米デルレービーチ国際選手権で18歳の錦織圭選手が優勝した。日本男子として史上2人目で16年ぶりという。決勝では第1シードの世界ランキング12位を破った。サッカー東アジア選手権男子日中戦を見た。ボールと共にゴールに迫った日本DF安田選手の腹に、中国GKが空手で言う蹴りを入れ負傷退場させた。翌日各新聞に蹴りの瞬間を捉えた写真が大きく掲載された。北朝鮮人の主審はレッドカードにせず、その他の中国のラフプレー(たとえば首締めがあり、スポーツ紙を飾った。主審は無視。)にも目を瞑る態度が多かった。日本は東アジアサッカー連盟に再発防止の申し入れをした。日本からの応援団は大勢の警官に守られて無事退場した。中国も北朝鮮もまだ国際大会を主催できるほどには選手も国民も成長していないと感じた。男子は1勝2分けで2位、女子は3勝で優勝。ノルディックスキーW杯女子1kmで夏見選手が3位に入った。日本人初の表彰台という。
- 護衛艦しらね火災(200〜300億円の損害)の原因が私物飲料保温庫(中国製)からの出火で、しかも保温庫が隊員の無許可持ち込み品であったことが判明した。2/19イージス艦あたごが漁船と衝突した。漁船の親子は行方不明で絶望的だ。あたごはハワイでの日米合同演習でミサイル対ミサイル防衛に成功し帰国中であった。対船レーダーはFRP船発見にあまり有効でないことは分かるが、ウォッチが10人もおり、波風静かな天候で、しかも漁船は標識灯を点灯していたと言うから、たるみ以外の何者でもない。閣僚の、テロ船だったらどうなったかという発言に同感を覚える。
- 今更と思うが、毎日の2/25のトップ記事は年金であった。20代の国民基礎年金負担分の未納率は45%に上るという。彼らは受給年齢に達した頃の年金制度が不安という。制度維持には支払いが不可欠だ。支払わずに不信不安を口にする資格はない。2/27の読売で米、英、独が同じ社会保険方式で、自立と連帯を目指していることを知った。すでに歴史の長いこの制度を税金方式に置き換えようという政治家がいる。累積財政赤字が1人あたり600万円を超え700万円に近くなった。新たな税源をどこに見つけるにせよ大きな抵抗が待っている。既制度との整合性をどう保つのか、火種を増やしマイナスの仕事を増やすだけである。事の重大さが分かっていない。
('08/02/29)