二月要約

2/17セルビア共和国からコスボ自治州が独立を宣言した。イスラム教徒とキリスト教徒が流血惨事を繰り返して対立したあと、'00年に入ってやっと平静化した地域である。覆水盆に返らずだ。まずは仕方のない成り行きである。日米EUは承認の方向。ロシアは反対。中国は懸念を表明。在セルビア米大使館が2/21暴徒に襲撃放火された。警察の出動は鈍く黙認が疑われている。
キューバのカストロ議長(81)が引退、弟のラウル氏(76)があとを継いだ。あの政治体制ではカストロ王朝化以外に安定政権の道はないだろう。パキスタンでは下院総選挙において与野党が逆転し、非業の死を遂げたブット元首相が率いてきた野党パキスタン人民党が第1党となった。NHK報道ではテロの恐怖下、決死の思いでの投票であったようだが、民主主義体制が維持されたことにひとまず安堵した。第2のミャンマーとなりはしないかと恐れていた。
韓国ソウルの南大門が放火炎上した。築600年の国宝だった。しかし警備防火消防体制はお粗末であった。京都寂光院放火炎上事件を思い出させた。2/25韓国・李新大統領が就任。久しぶりの保守政権で、現実路線を歩くと予想されている。
2/10 上海税関が日本人学校の歴史副読本を不許可にした。尖閣列島が中国領と表示してないかららしい。外国人子弟の教育にまで目を光らす独りよがりの無礼な姿勢に呆れるばかりだ。税関が思想検閲の権限を持っている不可思議な国でもある。
中国製の農薬(メタミドホス)入り毒性ギョウザ(天洋食品製)事件の解明は混迷を増すばかりである。中毒を訴えたもの1200名余り、医療機関で受診したもの388名、入院者7名。しかし農薬中毒と断定されたものは最初の11名以外にはいない。回収製品より続々農薬が検出されている。内1袋にはり穴。流通経路が疑われ出している。業者及び公共衛生関係者の緊迫感緊張感のない仕事ぶりが次々に明るみに出てくる。兵庫の事件で農薬中毒疑惑と分かりながら、東京都庁のテレックス打ち間違いで問題が消えてしまった事態が事件を拡大した。昔、兵学校では伝令実験をやったそうだ。兵隊を通じての伝令が次々と伝わる間に、いつの間にか別の話にすり替わるという実態を教えるためである。戦後、フール・プルーフ化が産業界で実行された。人間は間違うという前提で間違わぬ運転をする方法を指す。発見現場から対策責任現場まで、数段階以上もの連絡ルートを経なければ、情報が到着しない、しかもチェック体制がないなど、官庁の前近代的組織体系に今更ながら驚かされる。対策責任現場はギョウザの袋に明示されているのである。
2/5福島で新たに同じ中国会社製品から別種の農薬ジクロルボスが100ppmの高濃度で発見された。分解性の早い農薬で原料野菜からの汚染ではない。もはや悪意による混入としか考えられない。農薬の指紋分析(GC-MS等による微量不純物分析による製造元の解析)が始まった。2/16の毎日夕刊は科警研の結果として、中毒事件餃子に国内品(試薬)にない農薬メタミドホス製造時不純物を含むと報じた。混入場所はコンテナー積み込みまでのどこかである。その後も続々と混入物が出てくるが、先の11人以外に重症患者は出ていない。中国の製造会社から我らが一番の被害者という発表が出た。人民日報も中国無罪と書いた。新しい証拠は何も提示されていない。北京五輪当局は早々に食安全宣言を出した。アメリカは選手食材持ち込みを検討しているという報道がある。安全の理由に中国5000年の歴史を引き合いに出したが、何のことやら?
中国側が、包装内のメタミドホスの混入経路を問われたとき、包装を剥がして農薬を混入させ、再び閉じた可能性を指摘した。外見上は可能でも、その部分の高分子にははっきりと加工履歴が残るから、たちまちにばれてしまう。案の定、日中捜査会議で、袋を開けて閉じた形跡はないと報告された。2/28中国公安省は突然に「中国で混入した可能性はきわめて低い」と発表した。警察庁高官が訪問中なのに、警察庁は蚊帳の外の記者会見であった。日本の科学的データに対する反論はこじつけに近かった。中国は包装を通して外からメタミドホスを内部へ浸透させる事が出来ると発表したのは注目される。袋の材質は知らない。しかし密閉すれば空気も水分も容易に中に入れないのが普通の包装である。分子サイズが遙かに大きいメタミドホスが、中毒を起こす濃度にまで、わずかの時間に透過できるとは、かっては高分子屋であった私にはとても信じられない。
可能性があるとすれば、穴だらけの不良材質のフィルムによる包装袋であったときだけだ。北朝鮮の拉致者遺骨事件(実は他人の遺骨を詐称していた)があったばかりである。日本は直ちに確認実験を行い結果を公表すべきである。また中国の実験の詳細の開示を要求すべきである。農薬使用条件での日本の実験では浸透不可能であった。この方が遙かに常識的なデータだ。55人の関係従業員の証言が最大の拠り所のようだが、犯人が真実を言わないのは常識で、「先に(北京五輪のための)結論ありき」の発表らしい。とにかく日本側が資料を開示しているのに、中国側はほとんど開示していない。2/19今度は中国加工冷凍サバにメタミドホス検出の記事。2/20には天洋食品以外の中国製品から続々メタミドホス検出の報告が各所から相次いでいると報じられた。2/22には「パラチオン」「ホレート」というメタミドホス以上に猛毒の農薬が検出された。残留農薬と思われる。2/28には中国にんじんに基準値以上の農薬トリアジメノール検出のニュースが出た。これも国内では使用禁止の農薬である。
2/28 NHKクローズアップ現代は「新興国富裕層が企業を変える」であった。金融資産が1億円以上の富裕層がアジアでは110万人を超え、560兆円に上る。彼らは日本ブランドに大変な魅力を感じている。日本の消費者が鍛えた高品質が高く評価されているというのだ。600万円で落札した日本製高級車がマレーシアの富豪に渉るときは1500万円になる。それでも現地で調達したという箔は、彼らにはたまらない魅力だという解説があった。目から鱗といういい企画であった。

('08/02/29)