正月要約
- 台湾の立法院選挙で野党の国民党が2/3の議席を獲得した。総統選挙を3月に控え民進党は厳しい立場に立たされた。台湾経済は年4-5%の成長を維持し続けている。国民党は中国との統一に前向きというが、政治的統一ではなく、経済関係に波風を立てない程度の関係という対中国秋波のように受け取れる。
- 正月早々にNY原油が100$/bblを突破した。日経平均株価は12/28に比し616円暴落した。産油国にとってはまさに濡れ手に泡で、原油は世界の産業利潤を吸い取るマシーンになった。蓄積された巨大な資金が、利潤を求めて世界の金融投機市場をさまよう。1/28の読売に、産油国が原油高で消費国の所得を吸い上げるが、産油国には消費の仕組みがないために、世界の金がうまく回らず、金余りが世の中を不景気にするとしていた。石油高騰により、さしあたり勢いづくのは石炭エネルギーであろう。その熱効率の悪さは温暖化問題を加速し、煤塵が環境問題を悪化させるだろう。新たな悪夢が世界を覆いだした気がする。1/9の夕刊は金、大豆、トウモロコシの高騰ぶりを伝えた。
- 世界の株価下落が停まらない。1/23の読売によると、年初からの株価下落率は、NYが-8.8%、東京が-17.9、ロンドンが-13.6という。アメリカは18日最大16兆円の景気対策を発表、また0.75%の緊急利下げを22日に行った。さらに月末には0.5%下げた。とにかく対応が迅速だ。株価は反発し持ち直した。サブプライム問題に加え、モノライン(金融商品の保証をする保険)問題が浮上しそうだ。
- 1/6の読売の解説記事「新パワーゲーム」にフルブライト奨学金の話が出ていた。理工系博士課程の「ベスト・アンド・ブライテスト」には5年間平均1800万円(/年?)という破格の奨学金(第1期生は29人)が贈(返金不要)られる。優秀な留学生の争奪戦が読売のテーマである。'05年度のフルブライト奨学生は2444人で、2/3が欧米系、非白人系は1/4以下、日本はわずかに42人であった。米国での理系博士号取得者の44%が留学生だという。アメリカ人の理工系進学者数の減少は深刻だという。アメリカは15歳の国際学力テストPISAでいい成績を収めたことがない。それを他国の留学生を囲い込むことでかわし、知の超大国の立場の維持を計る。日本の理工系不人気はここ数年来の傾向だ。PISAでの順位も下がりっぱなしだ。だがアメリカに対抗する留学生奨学金を作っても、狙いの中国人韓国人に関しては、国家の義務教育に反日がある間は、「坊主憎けりゃ袈裟まで難い」の留学生を生む可能性が高い。真に最高水準を目指すほどの学生は、まずは米国を志願するのが現状でもある。まずは日本国民からのエリートの育成に向かうべきである。日本育英会の奨学金は薄く広くで、返金率の低さから見ても判るように、一種のバラマキになっている。
- NHK「BS世界のドキュメンタリー 奇跡の映像 よみがえる100年前の世界」を見た。フランスの銀行家で大富豪だったアルベール・カーンが全資産を注ぎ込んで残した写真(多くがカラー)と映画(モノクローム、無声)だ。world-wideで撮影された文化記録である。第3回「かげりゆく共存の輝き」の冒頭は、今はタイヤ工業の中心地となっているフランス中央部の田舎町風景で、50kmも離れた土地の人とは、言葉も満足に通じなかったという回顧談があった。方言が違うためである。バルカン半島マケドニアは民族と宗教が入り混じった多様多彩な文化が共存する土地柄であった。オスマン・トルコは納税義務を果たす限り文化に干渉しなかったという。だがオスマン・トルコが衰退すると、取って代わったギリシャとブルガリアが、イスラム教徒(全住民の1/4)を追い出し、ついでユダヤ教徒を放逐した。スペインで行われたキリスト教徒のレコンキスタ(再征服運動)と同じ民族浄化がバルカン半島でも起こった。バルカン半島は今も民族紛争宗教紛争の火薬庫である。共存に関しては、人類は100年前より退化していることをこの映像は示している。
- 第7集は中東事情であった。オスマン・トルコ時代には共存共栄の関係にあったキリスト教徒ユダヤ教徒イスラム教徒が、一次大戦後の国境分割で流血の対立を繰り返す様が描かれていた。その引き金になる原因を作ったのが英国とフランスであった。トルコ建国の英雄ケマルが、オスマン時代の多民族国家に関心を示さなかった点に、時代の流れを感じた。第8集はアジア植民地アフリカ植民地の文化の紹介であった。アフリカ現地宗教に理解を示したフランス人カトリック司祭が、帰国後教会組織から冷や飯を食わされた話は、当時の白人の先入観優越感を物語る一例である。カーンは大恐慌で破産しすべてを失うが、日本庭園のある自宅に住むことだけは許されて長寿を全うした。
- NHKスペシャル「日本とアメリカ@」で軍事同盟が進行している現状を撮していた。1/27の読売には、防衛省方針に、巡航ミサイル迎撃網整備強化が打ち出されていると出ていた。憲法も平和三原則もお構いなしに、事実ばかりが積み重なってゆく。ガソリンの暫定税率も暫定といいながら30何年も据え置いた末に、今また10年延長に与党は必死だ。原理原則が時勢に合わなくなったら、その認識を修正し、それから新規問題に対処してゆくのが筋である。抵抗が少ない、票が反対側に流れない手練手管ばかりを模索する政治は、究極的には不信感を高めるだけである。
- インドネシア・スハルト元大統領死去。32年間在任し開発の父とうたわれた。国葬。
- 福岡の3児死亡飲酒事故の地裁判決があった。危険運転致死傷罪を適用せず、罪の軽い道交法違反とした。危険運転を認めない点は多くの報道内容とも矛盾しており、司法試験を通っただけの裁判官の限界を感じる。陪審制の早期実現が望ましい。時効殺人事件を自首した犯人に対し遺族が賠償請求したのに対し、高裁が認める判決を出した。地裁では却下であった。八戸、徳島でそれぞれ母子3人が死傷。前者は長男、後者は長女による犯行。2人の精神異常を示唆する記事。最近肉親とか近親者に対する犯罪が目に付く。犯人は無職で被害者に生活上の保護を受けている場合が多い。
- 松下電器が社名を商標のパナソニックに変更し、ナショナルのブランドは使用を止めることになった。JEFホールディングスとIHIは年内にも造船事業を統合する方向で交渉に入った。実現すれば国内最大、世界第6位の会社になる。韓国にトップを譲り、中国に追い上げられている日本の造船業の自衛策という。
- 1/15の読売に産業スパイ防止法が来年国会に向けて経産省で準備中だという記事が出た。自動車部品大手のデンソーから中国人技術者が、3度に亘り、大量の技術情報を中国へ持ち帰ったのが昨年3月で、とっくに現法は改正されていると思っていた。経産省のアンケート調査では、わが国メーカーの1/3に技術情報流出があり、大半が中国と韓国に流れていると云うことである。技術立国などといいながらトップには理系を置かない技術軽視国であるから、外国には隙をつかれ、若年者は技術への意欲を削がれている。1/14 NHK総合で技能五輪に挑んだ若者の腕前を紹介していた。最近は民放にも知的番組が増えたが、質問者とかコメンテーターとか回答者に、何とも場に不似合いな、なんだか無知を売り物とするタレント群がいて、興醒めを覚えることがある。この番組もそうだった。若者の生涯修業という真面目さと好対照であった。NHKまでこれでは日本の技術技能の立場はお寒い限りだ。
- NHK記者3人がインサイダー取引疑惑で逮捕。入手情報の悪用による。彼等は勤務中にしばしば株取引をやっていたという。公私にしまりがない組織なのか、NHK会長の改選期にあたり、NHK育ちでない外部からの人選という声が強いのも頷ける。
- 川鉄千葉病院で、目眩を脳梗塞等と実態と異なる重病名として社会保険の医療費を請求していた。ハリ・キュウ医院の過剰請求も新聞に出た。太田経財相が国会で「日本はもはや経済一流と呼べない」と発言したが、度重なる偽装問題がそれもエリートクラスの所属する現場で発生することは、「日本人の倫理観は一流と言えない」と云うことにならないか。経済よりもこれの方が深刻な問題だ。1/22のNHKクローズアップ現代に昨年の赤福、船場吉兆以降も続々出てくる食品偽装を取り上げていた。その背景に過剰品質を要求する販売業者に製造業者が抵抗できない力関係があり、返品が偽装されるのを知りながら、日にち合わせを製造側でやらせているのが実態ではないかと疑える内容であった。弱いものに責任が転嫁される。製紙会社大手が揃って再生紙の古紙含有量を偽装していた。100%古紙の再生紙では品質が保てないことぐらい注文側(官、日本郵政)は承知の上の発注であったと思う。
- 月末に中国産餃子に起因する有機リン系急性重症中毒事件が発生した。すでに昨年末に発生が記録されており、1ヶ月の空白が追求されている。報道と同時に類似症状を訴えたものが400件を超えた。分析の結果、わが国では殆ど使われないメタミドホスと判明。包装には毒物注入のあとはないので、製造過程で混入された可能性が高い。中国の司法、衛生当局も調査中という。五輪前の中毒事件として各国の注目するところだ。
- 大阪府知事選挙は自民・公明各府連推薦支援の橋下氏が圧勝した。著名タレントの弁護士38歳が、職を辞して立候補した阪大教授60歳を破った。毎日新聞にお笑い100万票という記事があった。余裕のお笑いであればいいのだが、大阪府財政は今破産寸前だ。昨年市長選挙では建て直しに懸命だった現職が敗れた。大阪府民市民の選択はこれで良いのか。
- 13日の全国都道府県女子対抗駅伝を見た。殆どを一度は歩いたコースであるから、画像だけで走路の状態が判る。常日頃はマスコミに出てこない中学生高校生選手が頑張る姿が何ともフレッシュである。常勝・京都が目標になって、勝負が競われる点も人気の理由だろう。今年も京都が優勝した。大相撲春場所は最終日に両横綱決戦により白鵬が優勝した。金曜日頃からの横綱大関戦を含め、久しぶりに力の入った相撲を見ることが出来た。大阪国際女子マラソンでは、ダントツで先頭を走っていた福士が35kmで失速し、森本が日本人最高の2位だった。タイムはやや不満の残る2:25であった。民放テレビの中継技術がNHKのレベルに近づいていると感じた。だが、福士、福士の男子解説者には失望した。
- 日本画家・片岡球子氏死去。初めて鑑賞したときは、これが日本画かと思ったほどの斬新な絵を描いた。
('08/02/01)