五月のレジメ

読売に人材バンクの解説記事の連載が5/1から始まった。官僚天下りの規制に関する問題点が出ている。戦後の我が国の奇跡的な復興と発展に対して、諸外国有識者には官僚の優秀性を一つの重要な要因として指摘した人が多かった。中央官僚には東大法学部出身者が圧倒的に多い。最近はその東大法新卒に国家公務員1種に対する人気がない。外資系会社、弁護士の次という。ゆゆしき問題であるとするか、先進国入りをはたして何十年にもなれば、諸先進国のように、官僚は全員が優秀でなくてもよいとするか。私はどちらかというと後者の立場である。就職先は時代のムードだ。年功序列のない一見高給に見える外資産業に就職した人たちが、容赦のない実力主義あるいは短期間成果主義に、いつか打ちのめされて後悔する日が来るのではないかと心配する。そんな文化背景が日本には薄いのだから。
5/2にキャリアの年収比較が出た。係員25歳302万円、課長45歳1168万円、次官58-59歳2294万円。民間役員では日産自動車が2.7億円、トヨタ自動車が6千万円、三菱商事が5.7千万円とある。退職金が課長50歳3100万円、次官59歳7600万円。キャリアは課長までは年功序列だが、それ以上は実力で、階段を上れないと肩たたきに会い転職を余儀なくされる。天下り先が不安定になれば職に居座り人事が停滞する。改革も必要だが、キャリアがより魅力ある就職口と思われるように作り替えなければ、日本の前途に響くと主に東大擁護派は主張する。民間の社長経歴紹介を見ると、最終学歴が東大という人は最近は随分少なくなった。東大生がどこにでても最優秀という前提は成り立っていない。
5/3に各国の給与比較が出た。米英と比較すると上の方は劣るが、他のヨーロッパ諸国と比べて決して遜色はない。ただ年金になると課長級以上の給付額は上に行くほど落ちる。先進国での超優待職員はせいぜい全体の1%どまりの上層部だそうだ。生涯所得に換算してないから解らないが、私は課長職までは、日本の中央官僚は、世界の官僚よりまた日本の民間よりずっと厚遇されていると思う。東大法新卒の人気就職先として、依然官僚が民間より高いことは何よりもそれを物語っている。一握りの上層部の厚遇も時代の流れかも知れない。それならそれで下層部を削るという話でバランスを取らねばならない。
国立大学運営費配分に関する競争原理導入についても議論が対立している。経済界の立場を代表する諮問会議が先端分野への重点投資を呼びかけ、文科省側が基礎研究の衰退を懸念する。阿倍首相は再生会議を中心に取りまとめるように指示した。再生会議は学者寄りと目される。地方における人材育成、産業援助の役割重視に対し、東大若手研究者が地方に出たがらない、つまり地方国立大学の魅力が都内(私立を含む)大学よりも落ちている現実が報告された。世界のベスト20にはいる大学が東大だけというのでは先進国としてお粗末だ。日本の人口から云ったら、3校はあって当然だ。その方向での重点志向はやむを得ないが、首都圏にだけ集中するのは国家百年の計に反する。現在の東大をベスト10に入れる努力に比べれば、既にそこに近い大学もあるから20に3校とするのはずっと楽で、こちらの方が王道である。特に東日本のマスコミの、一極主義是認の取り上げ方に異論を提したい。一校チャンピオン主義は後進国であった時代の名残である。
13日14日と連続で、NHKSPが地方自治体の赤字対策を特集した。土曜日が夕張市、日曜日が岡山市であった。夕張についてはすでに多くの報道を見てきたので特別目新しくはなかったが、岡山は初めて知る事情であった。すでに7000億円の累積赤字で、破綻寸前となり、市民は会社再建に実績のある民間人を市長に選んだ。2100に及ぶ行政サービス事業に聖域無き見直しを進める。特命チームの行政改革推進課の悪戦苦闘ぶりを描く。一次案で纏まった合理化は5億円あまりにしかならず、関係部局との話し合いだけでは焼け石に水にしかならない。画面でわかるのは、市民も市議員も担当市役所部門も、我が身に火の粉が罹り出すと、極端な防衛姿勢になり、並行議論が時間を空費させるだけと言うことだ。米国型のトップダウンで最後を決める方式にせねば、何も起こらないと云う印象だった。
菅総務相が地方税の支払い対象に出身地を選択できる制度を諮問するという。居住先で受けているサービスは他人の地方税におんぶして、自身の地方税は恣意的に出身地に支払う。そんな馬鹿げた発想を大臣がする。菅氏は自民党古賀派所属で神奈川県第2選挙区選出の衆議院議員である。小さな単位に政治がしがみつくから、地方が疲弊する。道州制のような大きな懐の中で融通し合う方向に旗を振るべきである。平成の市町村大合併で既にその方向が打ち出されている。
5/5読売に自治体の認可保育園に通わせながら、保育料を支払わない親が2.35%に達していると載った。仙台市、千葉市、大阪市は5%を越す。保育料は必要経費の一部でしかなく、残りを公費で賄っている。NHK聴視料不払いがクローズアップされてから、狂犬病予防注射不参加、地方税未納、家庭ごみの高速道SA投棄、富士山ゴミ山化など次々と公共心の低落がニュースになる。NHKについてはたまたまの不祥事とリンクした発言がなされたが、それ以降の問題に対して菅総務相はどう説明するのか。読売の連載記事:「日本 第3部 漂流する倫理」に親の倫理観:「周囲への気配り」を古いとして捨てた反省が載っていた。ガラリと変わったのはここ20年ほどの間だ。親を伝承できなかった理由は親側にもあるが、統一公式見解として誘導した義務教育関係者に多大の責任がある。倫理観は幼稚園から義務教育年代の間に身に染みつく体質である。

('07/06/01)