三月のレジメ
- 中国上海発の株価下落が世界を駆けめぐった。上海市場は1.5年の間に3倍以上に高騰し、バブル崩壊はいつかは来ると懸念されていた。日本の日経平均株価は516円安の17604 円となった。各国とも3%前後の落ち込みようだった。3/1読売は「国境超える巨額資金−世界的金余り背景」を図示した。'06年の証券投資の買越額は中国→日本が4.4兆円、逆の日本→中国が0.4兆円、中国→米国が18.6兆円、逆が1.4兆円。日米間は日本→米国が3.4兆円、逆が1.3兆円、日欧間は日本→欧州が3.1兆円、逆が14.7兆円、欧米間は順方向が67.9兆円、逆が25.6兆円となっている。大黒字国の中国が大きいのは当然としても、日本が経済規模の割に意外と小さい理由に興味が湧く。低金利の円調達による外資ヘッジファンドの取引は、どれほどの割合を示すのか。3/6の毎日によると株価下落の傾向は5日経っても止まらず合計下落率は日米アジアでは8%台となった。欧州は多少これよりは緩やかだがやはり下落は止まっていない。
- 中国全人代が開幕した。3/6毎日は「格差社会」に危機感という見出しを付けた。軍事費が前年比18%弱と2桁増加している。平和時に他国に見られぬ異常な伸張ぶりで、ついに日本の国防費を超した。表面に出ない軍事目的費を入れるとこの2-3倍になるといい、内容の不透明さと相まって各国は警戒の声を上げている。
- 自動車部品大手メーカーのデンソーで、社員の中国人技術者が大量の図面をパソコンにコピーして外部に持ち出した。中国に頻繁に往復しているから、既に中国に流れている可能性が高い。3/17毎日には軍事転用の怖れを指摘している、私は産業スパイであったと思う。職務と無関係の図面が容易にコピーされ、パソコンや記憶媒体が外部へ持ち出せるような企業秘密防衛体制にあきれる。外国人を雇用している現場は特に厳重な管理体制でなくてはならぬ。3/30読売夕刊に護衛艦(翌朝はイージス艦)情報の流出が記事になった。乗務員の二曹の中国人妻から中国へ漏れた恐れがある。二曹には扱えないはずの資料という。
- 日朝実務者会談は北朝鮮が拉致を拒否したことで何ら実りのないまま修了した。予想通りであった。米朝の会談が結構友好的に進行したのと対称的であった。アメリカは、制裁処置であったマカオの銀行口座封鎖の解除を発表した。日本もいつまでも強硬姿勢のままつっぱってはおれないという一部識者の意見はあるが、対朝外交に関してはこれでいいのではないか。ただいつか指摘したように、横田さんらの拉致家族の会の単純明快な強硬意見ばかりがマスコミを賑わし、多様な外交手段を封じているような印象があるのは好ましくない現象で、新聞等の反省を促したい。警視庁は北朝鮮麻薬製造工場3ヶ所の所在を発表した。国家の関与が深く疑われている。北朝鮮は薬物に関する国際協約に加入すると発表した。
- 3/7読売夕刊によるとイラクのシーア派巡礼団を狙った自爆テロが発生し、115名が死亡、200名が負傷したという。その他の巡礼者標的テロを入れると合計死者数は149名に上る。スンニ派過激集団の犯行と見られている。「ローマ人の物語」でキリスト教国化したローマ帝国内でのカトリック派の異端者攻撃を、著者は、異教に対するよりも厳しいと評していたが、一神教内部の宗派抗争とはこんなにも凄惨な様相を見せるのかと思う。多神教にも宗派抗争はあるが、絶滅せねば止めぬような闘争は起こらない。こうなるとその宗教の存在そのものが忌まわしく思える。
- オーストラリア昨年の干ばつを契機に、世界の食糧事情をNHK BS7が取り上げた。オーストラリアと日本の食糧自給率はそれぞれ230%と40%である。石油資源と同様に食糧資源にも中国の影響が日に日に強まっている。我が国は今までは高級食材販路として良いお得意さんであった。うどん用小麦の干ばつに強い品種への転作、霜降り牛肉の中国向けへの転換、遺伝子操作菜種油の許可などが話題に出た。新聞に温暖化によりアジアの食糧事情が悪化するという予想が出ていた。続いて3/30読売の食の裏側4に「輸入大国(日本)苦戦の現実−細かな規格 嫌う海外生産者」という記事が出た。食糧が買手市場から売手市場に変わりつつある。消費側の意識転換が必要だ。
- スピードスケートW杯カナダで及川が100mと500mに優勝した。世界フィギュアスケート選手権2007東京で安藤美姫が女子シングルに優勝、浅田真央は2位、男子シングルでは高橋が2位だった。メルボルンの世界水泳選手権で北島が200m平泳ぎの金を取った。宿敵のハンセンは出場しなかった。大相撲春場所の優勝は大関白鵬であった。金哲彦の、マラソンW杯大阪の年であるのにも関わらず、選考レースで新人有望選手が出てこない現状解析記事が気になった。
- 全国平均の1人当たり県民所得は、約300万円で2期連続で増加した。 1位は東京の456万円でダントツ、以下愛知、静岡、滋賀の順。最下位は沖縄県で、東京都との所得格差は2.3倍になった。人、金、物が一極集中したあとで、地方分権、地方振興を云っても遅い。とくに明治維新後の人材の東京集中が地方の衰退をもたらしたように思う。どうして欧米のように地方に強力な核が出来なかったのであろう。素地は江戸時代から十分に備わっていたと思うのに。
- 3/12読売夕刊によると、都が滞納公共料金を税務職員が徴収する。支払い能力があるのに、あるいはそう言う契約で利用しているのに、支払わない不心得者が増加しているという。家賃、奨学金、診療費、水道料金、廃棄物処理費などで、強制されねば支払わぬ姿勢が増加し続けている。NHK受信料徴収を値下げとリンクして政治問題にされたが、不払いは国民の公徳心低下の一端であって、なにもNHKの不祥事だけの問題でないことが、菅総務相にもはじめから判っていたはずで、彼はそれをマスコミコントロールに利用しようとしたということだ。
- 松岡農相の資金管理団体の国民を小馬鹿にした管理報告に国会が揺れている。これは本人からでも自民党からでもなく外部機関からの指摘で表に出た。民主党中井議員は自己の同様の問題につき自主的に不適切を認めた。3/15の読売社説は「政治とカネ」という題であった。数議員の疑惑点を指摘した。松岡農相以外は全部民主党議員関係で、この新聞の政治姿勢を物語っていた。
- 全日空のボンバルディア機が高知空港に胴体着陸した事故では前輪格納庫の駆動装置ボルトが外れていて作動しなかったことが判った。日常点検対象になっていなかった場所だという。3/30読売夕刊に設計に問題ありとして事故委が改善勧告をすると報じられた。
- 外資ファンドの動きが激しい。サッポロビール、日興、ビクター、電源開発など著名な企業が彼等の手中にある。中には、株配当を大幅に増加させるように要求する外資株主もいくつか新聞種になっている。否応無しに、欧米型の会社経営になって行くのだろうか。
- 北陸電力志賀原発の事故隠しが発覚した。こうも電力会社に多いのは官立であった時代からの共通の負の歴史遺産だからであろう。今回の事故は停止の筈なのに臨界状態が15分続いたというもので、制御棒3本が落ちたままだったことによる。停止マニュアルそのもののミスによる事故のようで、所長以下全員で隠蔽に勤めたものであるらしい。その後あちこちから原発の運転トラブル未報告が表に出た。
- 3/19の読売の「地球を読む」に、日本の景気回復に関し、日本の付加価値の80%近い割合を占める非製造業の生産性の低さを突いていた。公的サービス、農業、医療、教育、観光、金融、建設などが挙がっていた。セキュリティ・システムも非製造業分野に入る。デンソーの産業スパイ事件はセキュリティ・システムの生産性の低さが突かれた。情報通信分野では政府主導のIT戦略会議により、'00年では韓国よりはるかに立ち遅れていたブロードバンド利用者数が、今日では世界有数の利用者数に延びたという。文系優先の社会ではトラブルや損害や対比可能数字が出てやっと神輿が上がる。
- 3/8毎日トップページに「学ぶ意欲低い日本」という調査結果が出た。対比は中韓である。小学4-6年生を対象にしている。同じ新聞の広告に講談社BLUE BACKSの「下流志向」が出ていた。主な内容に「勉強を嫌悪する日本の子ども」という項目がある。我が国の企業が技能・技術の後継に困難をきたしている報道も再々なされている。かといって世界に通じるプロ選手、プロ芸能者あるいは芸術家が輩出するでもなく、金融界に飛翔する姿も見出せない。興隆期に日本を支えてきた我々年代は、こんな悲観的な将来を残したはずはなかったのにと思う。新看護師の8割が注射できないと云う。医療機関が事故を怖れて実地実習をさせないとか、学生の質自体の低下が問題らしい。産婦人科医、小児科医の減少と過労、救急病院の減少とか、現在の体制の崩壊に繋がりかねない医療側の問題がしきりに報道される。地方では高速道路を走らせ大都会へ救急搬送するようなケースも再々あるらしい。
- 伊勢丹と東急百貨店の提携発表があった。統合までは行かないようだ。阪急阪神以来百貨店の合従連衡話が話題になったが、これで大型店同士の話は完了なのだろうか。
- ライブドア関係の判決は何れも厳しかった。前社長の堀江貴文被告、元取締役の宮内亮治被告、公認会計士に実刑判決。元取締役の岡本文人被告、元執行役員の中村長也被告、元代表取締役の熊谷史人被告には執行猶予が付いた。企業体自身にも2.8億円の罰金。標的になったフジテレビはライブドアに損害賠償訴訟を起こした。
- 読売ウイークリー4/8号に主要国公立大学入試合格高校の分析が載った。東大と京大の県別合格者数を眺めると面白い。東大より京大の方が合格者数が少ない点も考慮して考えると、能登半島から伊豆半島に至る山脈から東は東大が俄然多いが、それより西は京大の方が多いといえそうだ。ただ四国では高知、愛媛、九州では鹿児島、熊本、長崎、大分など僻地では再び東大優勢になる。面白いのは、縄文人の遺跡が多いとされている地域が東大域で、弥生人の勢力圏であったとされる地域が京大域であることだ。現代の遺伝学の傾向と一致する点は、アルデヒド分解酵素異変遺伝子の地域分布との関係だ。一口に云うと、酒に強い地域が東大域で、酒に弱い地域が京大域だ。ただの偶然なのだろうか。(本HP:「日本人になった祖先たち」、篠田謙一:「日本人になった祖先たち−DNAから解明するその多元的構造−」、NHKブックス、'07参照)
- 6/25能登沖の浅い断層でM6.9の大規模地震が発生した。死者は少ないが、倒壊家屋多数。太平洋岸の予報には国家を上げて注力しているが、地震はここのところ日本海沿岸に多い。
('07/03/31)