九月のトピックス

- 9/1読売に電源別の発電コストが書き上げられていた。円/kwhで原子力5.3、水力11.9、石油火力10.7、LNG火力6.2、石炭火力5.7に対して、新エネルギーでは太陽光46-66(住宅用)、風力10-14、廃棄物発電9-11、燃料電池22である。炭酸ガスの発生が無く技術的に可能なら、何が何でも今すぐに新エネルギーへと言った単純な議論から、ようやくcost-consciousな議論をマスコミが取り上げるようになった。昨年あたりからか。ついでに申せば、風力かて太陽光だって炭酸ガス・ゼロではないのである。設備を作り送電線を引くだけでも炭酸ガスは発生する。
- 8/31バグダッド・シーア派聖地で、迫撃砲弾の撃ち込みとそれに伴うテロの噂のために巡礼パニックが起こり、チグリス川に人々が転落、690人死亡と伝わった。9/13イラク北方武装集団根拠地の掃討作戦の復讐と称してシーア派人民に自爆テロが繰り返され、150名に及ぶ死者を出したという。その後も続々。いつまで続く悪循環か。8/28のハリケーンによる死者は数百人から数千人と云われる。老人ホーム、病院とかの弱者の逃げ遅れ集団死亡が痛ましい。
- 人の蛋白合成においてRNAに転写されるDNAは僅かに2%と言う。しかし70%がその制御に関与しているという研究の発表があった。マンモスのDNAから現代象の腹を借りてマンモスのクローンを作るという発表が、愛知博準備段階であったように思うが、どうなったか聞きたいものである。9/9読売によれば、京大でヒト心筋幹細胞が発見されマウスの心筋梗塞を快復させた。来春にはヒトに対して臨床実験が始められる。9/10毎日は、宇宙探索船はやぶさが、11月には小惑星イトカワに接地して惑星表面土のサンプル採集をやると報じた。9/14毎日に地球深部探査船「ちきゅう」の完成を報じる記事が出た。7.5kmまで掘れて地震の巣解明にデータを集めるという。9/13東大から出た遺伝子研究論文に実験生データの存在しないものが見付かり、論文の信憑性が疑問視されている。追試実験が調査委員会から要求されている。
- 9/11衆議院議員選挙で自民党が大勝した。選挙前から与党側優勢の世論調査結果はあったが、296席を獲得しようとは誰も予想しなかった。小選挙区が圧勝であったため、比例選挙区で権利分の候補者がおらず、社民党に譲ってしまった議席があるという。都市部における復活ぶりには目を見張るものがあった。ことに関東では掌を覆すように民主が自民に変わった。民主党は完敗で、元177席だったのを113席にまで減らした。あとは公明の31、自民造反組が半減以下の15、共産の9、社民の7などとなっている。公明共産社民はまあ固定票なのだろう、ほとんど変動無しだった。与党の自公で2/3を超したので、議会の運営は下手な暴走さえなければスムースになり、小泉さんの思いを迅速に具体化できる下地が出来た。日本は内政に関して、待ったなしの負の局面を迎えようとしている。タイミング良く議会が対処できる体制になったことには気をよくしてよい。
- 郵政は必要な変革の嚆矢である。だれも変革はこれで終わりと思っていない。国民は保守基盤での変革を望んだ。民主党は革新右翼の民社系が混じった、つまりお皿に革新の匂いが付いている保守党である。彼らの変革よりも自民の変革の方が安心できると思ったのである。旧型自民では、改革は巧言令色の国民向けアナウンスとは裏腹に、玉虫色と称する実効性を疑う結論に終わるのが常であった。小泉さんが、公約の郵政をネタに旧型政治家を自民から分離し政党本来の姿に戻した点が、ともすれば自民党を利権誘導型田舎党と目していた都会民無党派にアピールし、潮の流れを大きく変えたと思う。投票率が久しぶりに67%を越した。芸能人とかプロ選手とか、普通には政治から遠いと見られている職種から選ばれた議員はいなかった。
- 反郵政民営化の造反組は首都圏6大都市などでは1席も取れなかった。座席を確保できたのは、著名度が一段と高い地方選出区議員である。田中真紀子さん、鈴木宗男さんも当選した。しかし苦戦だった。この二人は選挙区への利益誘導をもって鳴らした御仁である。しかし自民を外れてはそれもならず、今後の先細りが懸念される。造反組も近代政党化を怠れば、やがて同じ道を歩まねばならないであろう。造反議員は次々に自民党復帰へ秋波を送りつつある。信念に基づいて党の方針に反旗を翻したと言いながら、小泉大勝後は恥も外聞もないにじり寄りようだ。
- 参議院でも中曽根氏ほか計13名であったか、次回は郵政民主化に賛成票を投じると言明し、自民党員としての首を繋ぐのに躍起となっている。日和見主義も極まったという印象である。左翼政党がそこそこに議席を確保できたのは良かった。左翼ゼロでは政治に緊張感が無くなって暴走の遠因になる。小選挙区と比例選挙区双方での重複立候補制度は、破れた方、今回は民主党、にはうまく機能したようだ。時流に乗れずに小選挙区で落ちても、有能であれば(ここが大切)、それなりの獲得票によって復活でき、政治家としての道が安定するからである。反対党政治家を育てる道を開くことで、民主主義が盤石になる。どうせ比例で復活できるからと横着を決め込ませないためには、自民のように、優先順位に工夫が必要だ。この点でも小泉総裁は筋を通したと受け止められている。
- 小泉さんは選挙後来年9月総裁任期切れで首相引退を表明した。岡田さんは選挙戦前の公約通り民主党代表を辞任した。現代民主主義政治では、単純明確で国民全てに分かり易い主張と行動が支持を受けるための必要条件になっている。9/17民主党代表は前原誠司氏に決まった。全国会議員による投票の結果は対立候補の菅氏と96:94の僅差であった。40歳台、京大法−松下政経塾、京都2区選出衆議院議員。小泉効果の面はあっても、民主党の若手台頭は歓迎してよい。旧代表たちの根回しでしか納まらない古い体質の政党ではじり貧であろう。小泉さん50台。日本も欧米型になってきた。翌日には幹事長鳩山元代表、政調会長松本剛明、国対委員長野田佳彦と三役が決まった。いわゆる一本釣り手法で、グループ親分の手を借りない即決であった点が評価できる。今では松下政経塾出身者は国会を通じて28名に上るそうだ。故松下幸之助さんの遺徳を偲ぶ。
- 最高裁は在外選挙権の制限を違憲と判断した。今までの最高裁は政治については、例えば1票の重さの不公平に関する判断でも、及び腰で、施政者の裁量範囲とか云って逃げてきた。政治からの独立ばかりに気を取られて本来責務を果たさなかった。今回の違憲判断にもかかわらず、憲法裁判所設置の検討を進めるべきである。
- 9/13カネボウの粉飾決算に関し中央青山監査法人の公認会計士4人が逮捕された。粉飾指南までしていたという。中央青山は足利銀行より粉飾に加担していたとして訴えられた。中央青山は大企業を含む5000社の監査を行う大手法人という。公認会計士制度も疲労しているらしい。9/21読売によれば過去に不正処理として摘発された会計監査に対して公認会計士協会は何らの処分もやっていないと言う。平成16年からは公認会計士・監査審査会が公的機関として設置された。金融庁長官に対して懲戒処分等の勧告が出来ることになっている。だがその種の審議が行われたという議事録は発表されていない。自浄能力が問われている。公認会計士に限らず、弁護士をはじめ「士」の値打ちを引き下げる行為があとを絶たない。
- 6ヶ国協議が開始以来2年あまりを経てようやく合意に達し、共同声明を採択し閉会した。北朝鮮は核を放棄し、引き替えにアメリカは北進しないと約束、日米は北との国交正常化への努力をすると言った内容であった。将来の目標は定まったが、かって北は米朝合意を一方的に破棄して今日の核危機を招いたと認識されている。核放棄が現実のものとなるか単なる時間稼ぎ外交ルート繋ぎだけの口約束か、前歴が前歴だけに今後の一層の監視が必要である。拉致問題には一転して柔軟姿勢を見せた。実効のあるものか否かこれも今後次第である。
- ダイエー創業者の中内功氏が9/19死去した。小売業界に流通革命をもたらしたが、バブルまでは読み切れず、グループは2兆円の負債を背負い込んで引退に追い込まれた。私は西宮時代に草分け時代の主婦の店・ダイエーを見ているし、絶頂期のハワイのダイエー店も見た。ダイエーと言う名のバス停留所があって、運転手が大声でダイエーと怒鳴ったのでえらく印象深かった。特許法に守られ容易には真似が出来ない技術革新と違って、流通の新手法には、有用と認められれば次々に追従者が出てくる。小売りから他の業界にまで手を広げたのが、世間を甘く見すぎたと云うか慢心というか、そもそもの間違いの元であった。風雲児の冥福を祈る。元自民党副総裁・後藤田正晴氏が死去した。危機管理に手腕を発揮し、自衛艦派遣に反対した。カミソリの綽名を取り、引退後もご意見番としてマスコミの紙面を飾った。
- 大相撲秋場所は朝青龍(モンゴル)が優勝決定戦で琴欧州(ブルガリア)を下し、史上2人目の6連覇を達成した。野口みずきがベルリン・マラソンで日本新記録で優勝。愛知万博が閉幕。入場者数は2200万で大阪万博6400万あまり、大阪花博2300万あまりに次ぐという。我々はついに行かなかった。人波報道に恐れをなした面もある。
- 読売の解説記事「膨張中国 第3部 市場経済の虚実」がなかなか読ませる。9/27には日本だけが被っているチャイナリスクが取り上げられた。中国製品の排日運動への便乗である。9/28は「あふれる海賊版 命も脅かす偽物天国」であった。繁栄には汚い裏面が付いて廻る。自国やアメリカが対象だとばんばん書くが、なぜか中国が対象になると腰が引けてしまう新聞がある中、取り上げ方が公正である。毎日は「原発震災」の解説シリーズを連載し始めた。今中国で原発設置が盛んである。私は原発災害と聞くと、真っ先に中国原発のチェルノブイリ型放射物質まき散らし災害を考える。偏西風に乗って日本中にまき散らされたらどうなるか。このチャイナリスクを取り上げるかどうか注目している。
- NHK受信料不払い世帯が3割に達するという。NHKは簡裁を通じて督促する方針だ。受信料制度は確かに制度疲労に陥っている。私はNHKを高く評価しているから、財政基盤にひびが入る不払い増加に危惧している。イヤな人にまで支払って貰うことはない、以前にも書いたが、ニュースだけは無料にしてあとの番組はスクランブル制にしようと云うのが私の意見である。
- 朝日新聞がNHK問題に対し、取材不十分であったが訂正不要との結論を出した。社外識者によるNHK報道委員会の見解を錦の御旗とした。NHKが求めた録音の公開は行われなかった。録音開示で信憑性がハッキリするに。アメリカの大審院がNYタイムス記者の情報源開示拒否に対して記者を収監した。新聞社は特権階級だと言わんばかりの態度をうち砕くには、アメリカ並みの立法が必要である。社外識者による委員会と言っても、朝日が選んだ、被害者のNHKと自民党・安倍氏、中川氏には承託を得ていない委員会では錦の御旗にならない。これからは責任ある立場の人は、新聞記者との会話には万一の用心に録音録画が必要である。
('05/10/01)