長崎の寺町


飛鳥の秋の日本一周・韓国クルーズの第3寄港地は長崎である。昨年のおくんちに来ているので、その日は自由行動日とした。
思案橋へ電車で行き、お目当てのアンティークの店を探す。マジョリカという地下がメインのお店である。私は知らなかったが、以前東武船橋に物産展の時出展した店で、トンボ玉の装身具に特徴があるらしい。寺町を興福寺へ歩く。ここは黄檗宗の寺で、狭い敷地に多くの木造の伽藍が建ち並んでいた。和風である。山裾に数多くの寺が並ぶ。なかなかの雰囲気である。風致地区に指定されているようだ。寺前のせまい石畳道が寺々の石垣に沿っていて、幾分雨模様の中をゆっくり歩いた。長崎は今日も雨だったを思い出させた。昼食は思案橋横町の康楽亭を推薦されていたので、12時過ぎに訪れたが生憎と休みであった。推奨者にあとで恨みがましくそう告げたら、もう少しで開けるところだったのではないかと言った。のんびりした話だ。味は絶品だが愛想の悪いことでも評判の店だという。なんとも残念無念である。
気を取り直して崇福寺に出かけた。中国商人によって建てられたというお寺である。大雄宝殿を中心に建物が朱塗りの中国風である。門も宇治黄檗の万福寺で見たような独特の半楕円形の壁柱になっている。海神を祭るまそ廟がある。沢口靖子主演の「御宿かわせみ・山茶花は見た」で賊が盗んだ大金を隠した場所がまそ廟だったから、まそを覚えている。もっともそのまそ廟は品川のそれであった。人間は奇妙な連想で無縁な単語を覚え込むものだ。ここも山際に建っているため急階段を上らねばならなかった。
崇福寺の受付人に聞くと共楽亭のチャンポンならいけるという。海側に下って中島川を渡らずに川を少し遡った位置にある小さな店である。もう少し遡ると眼鏡橋が見える。今川のバイパス工事を附近でやっている。台風で大水になり川が氾濫するそうだ。石造りの橋はこれだけではない。俯瞰して眺めるとまことにいい景色である。共楽亭はあとで知ったが行列ができる店と言うことだった。だいぶ待たされたが、家内の皿うどんも私の長崎チャンポンもうまかった。よく煮込んだ豚骨出汁であった。
大丸長崎店の地下で松江のゆず菓子(柚衣)を見つけ土産に買った。丁度入荷した2本を買い占めた格好になった。包みを開くと柚の香りが漂い、頬張ると口いっぱいに柚の味が広がりしばらくは消えない。銘菓である。機会があったら是非お試しあれ。日持ちしないので、従来は遠くへは出していなかったはずである。戻ってから東京で調べたが、どこにも置いていなかった。大丸東京店に聴くと関西だけと言った。ということで、土産には長崎名産の方がよいと思ったが、なぜかここでは松江名産になってしまった。
長崎はなんと言っても出島である。しかし今回も関連観光ルートは見送ることになった。自由行動は気ままでよいが、精神的に疲れるのである。
夕食後に古今亭志ん五師匠の独演会を聞いた。古典落語2題をこなした。はじめのは雀のお宿の話、落ちは「親を篭かきにした」で、親の画聖級の絵かきが、子が描いた雀が逃げないように篭を描いたという話にかけた。終わりの話は夫の留守中に引き込んだ若い男を、急に戻った夫から逃がすために、兄貴が一世一代の芸を見せる話で、全く同じシチュエーションの嘘話で実演してみせるところがとても面白い。どちらも一度聞いた覚えがある。

('04/10/07)