六月のニュース

- 5/27読売に解説記事「渇く中国」がでた。1人あたり水資源量では水不足国に部類する中国が人口増加、生活水準向上、河川汚濁で困難な局面を迎えようとしている。さしあたっての対策に節水があるという。上水道15%、農業用水6-7割という信じられぬほどの漏水率を改善しようと言うものだ。日本のソフト面での援助が期待されると言う。6/1毎日に(中国)内モンゴルの草原を守ると言う記事が出た。第10回日韓国際環境賞を受けた日本NGOの活躍ぶりを報道した。内モンゴルの恩格貝には故・遠山鳥取大名誉教授の砂漠緑化の実績がある。現地には先生の銅像があるそうだ。
- 6/1毎日に一昨年の都道府県決算の内訳が出た。トップの東京とボトムの鳥取を対比すると三位一体改革の問題点が浮き彫りにされる。鳥取人の支払う一人あたりの地方税は少なく、東京人の26%つまり1/4ちょっとである。しかし都県の財政規模は一人あたりにすると鳥取の方が45%も大きい。そのギャップを国の地方交付税などが補う。都は全く交付を受けていないが、鳥取は地方税の3倍近くをもらっている。国の税金は都会民の貢献が圧倒的に高い。非常に端的に表現すれば、都民が鳥取県民以上の規模で県財政を支えている勘定になる。国庫支出金とちがい、地方交付税は原則的には地方税と同じ使い方だから、都民側はあまり身勝手な主張をするなら切ってしまえと言うことになる。地方交付税を続けるには、例えば原発問題のように都民にも還流していると実感させる必要がある。鳥取県片山知事が東京都のホテル税に対して文句を言ったことがあった。長い目で見れば、財政支持母体の小股をすくうような発言は慎むべきであった。
- 佐世保の小学校で、小学6年の女児が同級の女児をカッターナイフで斬り殺した。おいおい報じられた直接的原因は、ホームページへの書き込みが頭にくる個人攻撃であったと言うことらしい。表面上は2人は仲良しであったが、加害者が元クラス1番で転校生の被害者に首席を奪われたとか、5年生になった頃から、そのクラスは崩壊が始まっているとか、なにやらもやもやとした雰囲気であったようだ。小さな食い違いが「売り言葉に買い言葉」になり、さらに刃物沙汰に発展したのだろう。NHK大河ドラマ「新選組」に、大阪で新選組隊員が力士を斬り大事件になりかかる話がある。ドラマでは近藤勇が小野川部屋親方に和解を申し入れて収まる。そのとき親方が言う台詞に、喧嘩には両方に火種があるという言葉がある。収まるかエスカレートするかは、取り仕切り人の器量次第でもある。昔なら番長とか先生とか両親とかに信頼できる取り仕切り人がいた。最近私が見たのは孫世代の喧嘩である。男の子をからかった女の子が反撃を食らった。女の子の親が何が何でも謝らせようと代理戦争にやってきた。世間の見識がこれでは、佐世保の悲劇も起こるべくして起こったと云えるであろう。
- レーガン元大統領死去。ゴルバチョフ相手に強硬対ソ戦略で冷戦を終結させた。国葬で中曽根元首相が参列。面白いのは国葬にするか否かは本人が生前に選択する点である。二人はロン・ヤスの仲と言われ、信頼関係を誇示しあった。日本における「平和主義」マスコミの評価は在任時はよくなかった。当時の日本マスコミは「話し合い」教条主義で、力には生理的に反発していた。
- 2003年の女性生涯出生率が1.29と厚労省より発表され、年金論争の基本であるだけにショックが走っている。厚労省の国立社会保障・人口問題研究所は02年1月に公表した将来推計人口(中位推計)で、合計特殊出生率が07年に1.306で底を打って回復し、32年ごろから1.39で安定する、と予想。03年は1.32と想定していた。底を打って回復するという予想は過去にも何回も出されたが、一度も底を打たずどんどん低下している。大変なことだ。都道府県別の合計特殊出生率は東京が最低(1を切った)で、最高は沖縄の1.72。江戸時代にも都会は周辺田舎からの人口流入でやっと人口を維持していたが、根本原因は都市民の早死だった。今は出生率低下で地方の若者の流入を加速している。この数字を年金法成立まで隠していたという疑惑が走っている。確かにこの数字が先に出ていたら、世論は多分意識的に甘くした数字での改革を認めなかったであろう。
- イラクの混迷はますます深みにはまって行くようで、先の見通しが付かなくなった。暫定政権の高級官僚、新設イラク国軍の志願者など、再建を願い実行しようとする側に、テロの矛先が向いている。6/25の新聞にはイラク自治官庁とか警察省を対象に大規模なテロがあり、80人が死んだと報じられた。6/28の新聞は中央イラクのシーア派住民地域で爆弾テロがあり23人が死んだと報じた。同国人に対する大量殺人テロをどう判断すればよいのか。韓国人(通訳)拘束のニュースは6/21に流れた。結局彼は殺された。サウジ・アラビアにおける外国人襲撃も後を絶たない。住友化学、三菱化学のサウジ・アラビア進出を危ぶむ声が出始めている(6/24読売)。三井グループがイラン・イラク戦争のあおりで、イランの石油化学事業から撤退を余儀なくされ、大損害を被ったことは記憶に新しい。原料が安くてもそれに倍するリスクがある。
- 三菱ふそうの欠陥隠しとそれが原因と見られる事故が後を絶たない。損害保険会社は、過去の保険金について三菱に損害賠償を要求するところまで来た。親会社三菱自動車の筆頭株主ダイムラークライスラー社は、損害賠償請求訴訟も視野に入れて検討すると発表した。昔、住友金属鉱山が廃鉱の採掘権を買ったばっかりに、一度も採掘をしていないのに、廃坑の公害に対する賠償を請求され支払ったことがある。宮崎県土呂久鉱山は、江戸初期の貞亨年間に銀山として採掘が行なわれて以来、断続的に鉱業が行われ、終期には三酸化砒素の生産が行なわれていた。その砒素公害が対象であった。住友金属鉱山には、公害を銭を出して買ったような、踏んだり蹴ったりの交通事故的損害賠償であった。だが、株主は会社を訴えなかった。ダイムラークライスラー社は、賠償請求どころか、欠陥自動車によって命を落とした人たちに責任を取るべき側と思う。ダイムラークライスラー社は撤退の意向であるが、三菱主要三社は三菱自動車に1200億円の増資支援をする。三菱他各社にとっては、支援が焦げ付きに終わる可能性が高いだけにつらいことだろう。看板大事の気持ちは分かるが、ここまで来たら三菱自動車切り捨ての方が正しい選択ではないだろうか。日産自動車が本社を横浜に移すという。三菱自動車は京都に移る。生産会社は基盤工場の位置に本社を置くのが原則だ。トヨタは豊田市、マツダは広島県と自動車産業界ではだいたい工場と本社が密着するようだ。将来の発展に望ましい傾向と思う。
- 来月11日投票の参議院選挙が24日スタートした。前回参議院選挙('01)に比し倍率は大幅に下がった。立候補者の減少はよい方向ではない。6/24毎日に一票の格差の問題(東京選挙区対鳥取選挙区の格差が5.14倍)が取り上げられていた。毎度おなじみの問題である。良識の府の一票格差が何年経っても直らない。議員と政党が自己都合を国家の大儀に優先している結果である。また違憲訴訟が起こるであろう。日本の司法は三権分立に拘りすぎて、違憲問題に尻込みする傾向が強い。その方が司法にとってさし当たっての安易な道ではあるが、後世の災いの種になる。5倍を越えても立法府の酌量範囲などと言って逃げないでほしい。
- 景気回復に伴い採用にも明るいムードが漂い始めている。だが実際は採用枠が増大するだけで、枠が満たされなくても期待人材の応募がなければうち切るという。その一方でエリートと期待できる人材には、並とは違う給与を奮発する会社もあるという。戦前は帝大出と私大出の間には初任給に格差があるのが普通だった。戦後はスタートラインは皆平等になったが、そうも言っておれない情勢になってきたようだ。ソフトバンクの採用風景が新聞に載った。大阪会場では応募期待数3000人に対し1800人ぐらいにとどまったとか。顧客情報漏れで話題の会社なのが響いたのか、それとも優秀学生には平均の1.8倍の給与を出すというので、きつい競争を予感した学生が敬遠したのか。昔終身雇用が当たり前の時に、学生採用依頼に会社回りをしたことがある。学生の出来の悪さを正直に言うと、会社で教育し直すのだからと応対の人事担当者に慰められたものである。今は悪く言えば使い捨て時代なのだ。いつ辞められるかも分からぬ相手に将来を目指した教育などやれないだろう。新卒の97-8%には、昔の雇用形態の方が幸せであるように思えてくる。
- アテネ五輪出場選手がほぼ決まった。選考基準が明朗で、情実を思わせる選手はほとんどいないのがよかった。それでも選考漏れの馬術選手から日本スポーツ仲裁機構に仲裁申し立てがあった。結団式ではさすがに「楽しんでくる」的発言がなかったのはよかった。脳梗塞療養中の長嶋監督は、五輪野球チーム監督をあくまでも引き受ける意向らしい。病がどれほど彼の動物的スポーツ感覚に影響したかは分からない。しかし意志疎通に問題がある人に監督をしてほしくない。長嶋さんは功成り名遂げた人なのだから、後進に道を譲るべきである。前回五輪で日本野球は惨敗した。実力の劣るアマがプロの足を引っ張った結果であった。まだ五輪はアマのものという意識が、奇妙な選手構成にしたのであった。世界に日本的温情は通用しないことを改めて自覚すべきである。
- 大型液晶テレビ特許問題で、シャープが台湾メーカー製品の販売停止の仮処分を申請した。台湾製品を格安目玉にしていたスーパーのイオンが、シャープとの取引の即刻停止を発表したが、消費者の反発を招き、1日で和解した。イオンのHPにはシャープが謝罪したとあった。奇妙な強がりであると思った。そもそも特許問題のある外国製品を販売増進に使うのは論外である。
- 台湾の追い上げが、実は、日本液晶メーカーに納入している機械メーカーから、そっくり同じ機械を購入して工場を作ることで始まっていることは周知の事実で、NHKで報道されたばかりであった。半導体製造技術の重要な位置を占めるステッパーは、日本の光学機械メーカーの得意分野であったが、電子立国とまでうたわれた日本が、簡単に追い越された裏には、ステッパーの輸出があったことは歴史的事実である。機械メーカーは高技術水準の精密機械を安易に輸出してはならない。たちまちブーメラン効果が我が国の高い所得水準を襲うのであるから。
- イオン社のように、そのときの一瞬の営業成績のために、日本産業の知的所有権を守ろうとしない姿勢は排斥せねばならない。ここの社長は民主党岡田代表の兄弟であることはたいていの人は知っているから、近視眼的発想は彼のためにも良くない。富士通が日米で韓国のサムスンをプラズマパネル特許侵害提訴した。この紛争はサムソン側の特許料支払いで解決された。我々は、技術移転の公正さに関して、厳しい監視の目を注がねばならぬ時期に来たと感じる。特に営業責任者が、知的所有権問題は誰の問題と言った態度から早く脱皮しなければならない。
('04/06/28)