下諏訪−時の科学博物館とオルゴール博物館−


時の科学館・儀象堂に入る。2Fの映写室で下諏訪紹介の立体映画を見る。時計の展示は古物から最新のものまで、想像通りであった。時計原理の推移も日時計、漏刻という水時計から振り子、バネテンプなどの機械式時計、水晶発振器を使った電子時計、さらに原子時計へと順序よく並べてあった。私は和時計の不定時法を西洋式の定時法時計にどう組み入れるのか興味があった。聞いた話は昼用と夜用の2本のテンプを備えた時計であった。貰った資料には、両方を自動切り替え出来るように工夫し、毎日の手間が省けるようにしたとある。テンプの周期を決める分銅の位置は季節に合うように手で操作する。資料には文字盤の時間間隔を操作する方法も普及したとあった。
庭には中国古書に基づく壮大な時計が再現されていた。基本的には水時計だが、天体観測と同期するようになっているため、手動調節ながら非常に正確だったようだ。中国も不定時法だったから、和時計同様の回転速度調節に工夫が要っただろう。この時計は水運儀象台と呼ばれ時の科学館の名前の元になったようだ。なんと11世紀に宋の宮廷に作られていたという。ヨーロッパの機械時計は13世紀頃からである。
諏訪湖オルゴール博物館・奏鳴館にゆく。ここでも時間が来るとガイドが説明をしてくれる。いつも思うのだが、ガイドのあるなしは博物館の価値を大きく左右する。特に専門博物館の場合はそうだ。オルゴールの演奏本体が円筒型のときは高価であったが、円盤形になってから大量生産可能になりオルゴールも大衆化した。円筒型では演奏できる曲数も限りがあるが、円盤形では取り換え自由容易の構造のためその制約が無くなった利点も大きい。最初に聴いたオルゴールは19世紀製作の品だったが、今も昔のゼンマイで動いている。バネ材料の耐久性に感心。
櫛形金属片を弾くだけで、単純な音しか出なかったオルゴールだったが、そのうちにドラムを叩き、トライアングルを鳴らし、アコーデオンを演奏できるように複雑化する。一番感心したのはバイオリンを組み込んだオルゴールであった。絃1本にバイオリン1基が対応し、リング状の弓が弦を振動させる。音の高低は指先を真似た道具が弦を押さえることで出している。残念ながら機械は修理中で演奏は聴けなかった。
オルゴールは基本的にはディジタル・コントロールの道具だから、音に滑らかな強弱を与えることは出来ない。しかし円盤がさらにテープに進化することにより、楽器の種類を増やすと共に多少の強弱を付けるところまで進歩したと思われる。オルゴールも蓄音機の出現で再生音楽の首座を明け渡した。ちなみにオルゴールの語源はオランダ語だそうで、長崎から伝わり伝わり訛って今の言葉になったらしい。外国ではmusic boxとでも云わぬと通じないそうである。
下諏訪ではもう一つの専門博物館、浦野染織資料博物館の見学を予定していたが、無くなったと聞いた。経営体に異変でもあったのだろうか。

('03/09/19)