二月世相寸描

- 盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏が第16代韓国大統領に就任した。2/25の就任式には小泉首相が出席し、会談した。日本側の最重要問題は北朝鮮の核武装阻止である。韓国では北朝鮮が同民族に核を使うはずがないという素朴な楽観論が根強いという。核武装しても、アメリカと親米を国是としてきた日本に向けられるはずと確信しているのであろう。朝鮮戦争は明らかに北で計画された侵略戦争だった。同民族という担保だけで南への攻撃は二度とないと安心できるのだろうか。不思議である。
- 読売2/28朝刊に「テポドン」噴射実験の大見出し、その前日に実験原子炉再開のニュースが出た。国際社会が散々な思いをしながら営々として築いてきた平和共存システムなど糞食らえと云う挑戦姿勢である。読売に「北朝鮮危機」という連載が出た。北は総兵力が117万、予備兵力が600万と云う。米韓合わせて73万と比べれば数では圧倒的だ。国境線には数千門の長射程砲が並ぶ。ミサイルは日本の米軍基地破壊を目的に開発された。朝鮮戦争で北の野望を挫いたのは在日米軍であったからだ。
- 2/26のNHKクローズアップ現代「北朝鮮は今〜最新映像が語る食料事情〜」では児童の半数近くが栄養失調というWFP(世界食糧計画機構)とユニセフの調査結果を報告していた。栄養不良児の顔が白い。免疫低下でかびが生えているという。大袈裟でなく鬼気迫る映像に思えた。「欲しがりません、勝つまでは」という標語があった二次大戦中の日本でもこんな悲惨な状態は無かった。(都会民が餓えを感じたのは、焼け野原になった敗戦前後の混乱期だけである。)その時日本の人口は1億で、自給自足の江戸時代の3倍だった。朝鮮半島は李朝時代600万だった(鬼頭宏:「人口から読む日本の歴史」、講談社学術文庫、'00)。今は南北合わせて7千万ほどだろう。この半島の12倍近い人口増加は、国際協調しなければ生命維持すら難しいことを端的に示している。鎖国など以ての外と言わざるを得ない。
- 脱北者の駆け込みも小さな記事にしかならなくなった。「北朝鮮危機」の記事だが、韓国亡命の元政治将校によると、金正日将軍様が部隊視察に来るときは、銃器から銃弾はもちろん、雷管と撃針まで外されると云う。「軍こそ人民であり、国家であり、党である」と云いながら、軍に対しても安心出来ないでいるという。彼が何を起こしても不思議でない情勢になっていると言わざるを得ない。日本では、総連系企業のミサイル関連機器取引と万景峰号を使った輸出ぶりが2/5新聞の記事になった。
- イラク武装解除問題が大詰めを迎えようとしている。西ヨーロッパを中心に戦争反対のデモが盛り上がっている。日本ではそれほどでもなかった。毎日2/26の「記者の目」と同じ日の読売の社説は共に、安全保障に対する国連の権威喪失が将来の重大な禍根に繋がると警告している。フセイン政権はクエート侵略戦に破れたが、大量破壊兵器を保有しないと云う条件で存続を許された。だが遵守しない。国連からは12年間に17枚ものイエローカードをもらっている。仏独露中の査察継続論は誤魔化しである。今ブッシュ大統領がそれに従ったら、アメリカは2度とイラクに向けて20万近い軍隊を動員することはないであろう。国連はこれからもイエローカードを虚しく乱発するのみとなり、紛争解決能力が無いと各国は判断するようになるだろう。あとは2国間あるいは多国間の力対力の関係になることが目に見えている。
- 毎日2/12に「梅棹忠夫の文明巷談「日本語の将来 ローマ字表記で国際化を」」が出た。梅棹さんは盲人になってもう17年という。耳だけで日本語を感じると、漢字に頼ってきた欠陥に気づくという。ローマ字表記論者として氏は有名だ。私は日本文化継承のために、仮名・漢字併記の現状にローマ字を更に併用すればよいと思っている。今カタカナ語として高齢者を悩ませている欧米起源の言葉を、原語綴りのままで取り入れようと云う案である。そうすれば理解層は意外に少ないから商魂からのカタカナ語乱発はなくなるし、将来の全面ローマ字表記への布石にもなる。
- NHK2/18クローズアップ現代「氾濫する“カタカナ語”〜始まった言い換えの試み〜」は、カタカナ語の大部分は従来の日本語で十分表現できるが、新しい概念の表記には原語をそのままに使った方がよいと思われる単語もあることを理解させた。平安朝の昔、抽象語は漢字のままで受け入れたのと同じ姿勢で、原語をローマ字綴りのままで受け入れてはどうか。現時点で、梅棹さんの云うように、日本語を完全ローマ字表記にまでしたら、今までの仮名・漢字文化はどうなるのか。ベトナムはとっくに漢字を捨てて(フランスに捨てさせられて)ローマ字化した。南北朝鮮も漢字を捨てた。両国特に前者についての解説が欲しいと思う。
- 読売2/11朝刊から「治安再生」の連載が始まった。「第1部「不安」の浸食−1」が「犯罪・芽のうちに断て」で、小さな犯罪の取締を訴えたものだった。NYで無賃乗車や落書きなどまで取り締まるようになったら凶悪犯罪が1/3になったという例が挙がっていた。私はこの間公園でゴルフボールをウッドで打っている少年を見た。その先には茂った常緑樹があったが、打球がいつ突き抜けるか知れないし、しかも幼児がチョロチョロしている。公園の芝生で練習するなど以ての外である。だが誰も一言も注意しなかった。幼児の母親は別の場所へ避難させただけであった。私が注意すると、その少年は「オレの自由だろ」といわんばかりに挑戦的だった。私は警察ばかりではない、市民の「ルール違反に目をつぶらない」という意識改革が必要だと思っている。「−2」は「「常識」通じぬ外国人犯」だった。中国人、韓国人の犯罪が目に余る。私は彼らの犯罪を外交題目にせねばならぬと思う。民族のプライドに訴えるためである。
- 鹿沼市環境対策部幹部職員が廃棄物業者に殺害された。毎日2/17朝刊には廃棄物不法投棄に関し21の自治体で業者からの脅迫、暴力が記録されていると報告された。脅し行為を小さな犯罪と思っている間に、殺人にまでエスカレートしたと云える。数年前に焼却炉のダイオキシン排出が問題になったとき、焼却炉附近はTVカメラが迂闊に入れない雰囲気であることを写し出していたから、廃棄物処理に関しては既にもう根深くなっていたのである。27日堺市の病院で、元患者に看護師が射殺され医師が重傷を負った。元患者は、病院で焼き肉をやるなど勝手な行動が多く退院させられた人という。ルール無視をたまたま咎められて、むかっ腹を立てたのが深因なのだろう。誰もが小さいルール違反でも何なりの反応を示すような社会にしたいと思う。
- 大邱(テグ)市地下鉄で2/18放火火災事故が起きた。読売2/24朝刊では死者220人説があるという。運転手ら7人が逮捕され、火災中の処置の怠慢、判断ミスから人災だとされている。TVでは日本地下鉄との難燃性比較をやっていた。日本では消火性難燃性材料が使われている。2次大戦において日本の戦闘機には、消火器とかガソリンタンクの穴を塞ぐニトリルゴム・ライニングが施されていなかったために、飛行性能以上の被害を被ったことを思い出した。同市の地下鉄が開業したのは1997年というから、それまでの日本の地下鉄火災と防火対策の進歩は参照されたはずだ。設計に採用されなかったのはいかなる理由か。映像でチラと見えた車体メーカーはドイツのSiemensであった。内装までSiemensであったかは知らない。もし日本のメーカーが落札しておればこんな設計にはしなかっただろう。残念だ。
- 読売2/5朝刊に小さい記事で「家庭用燃料電池実用試験始まる」と出た。結構なことだ。だが記事の二酸化炭素を出さないと云うのは大間違いである。燃料のプロパンガスの持つエネルギーのかなりは分子骨格の炭素に負っている。水素だけを燃料としない限り、二酸化炭素を出さない発電などあり得ない。馬鹿げた記事が無審査で通っている。
- 同じように首をかしげた記事が毎日2/17朝刊「理系白書 第9部 研究的人生 1」だった。オウム真理教地下鉄サリン事件で死刑判決を受けた2人が理系エリートであったことから、「理系の陥りやすい盲点」を突こうとした記事である。教団は世界「救済」に大量殺戮兵器を必要とした。兵器製造と散布の技術は理系の独壇場であった。と言うことで教団は理系を優遇(と言っても幹部の1/3だそうだ)した。現在のイラク、北朝鮮で起きている事実のミニチュア版である。これらの国々でもし理系エリート(どこでも少数派に過ぎない)が独裁者の意向に反して「陥りやすい盲点」に気付いたら、世界が安堵する方向に政治が動くだろうか。本当に怖いのはメジャーである文系の「陥りやすい盲点」である。
- 読売2/16朝刊に21種目のアミノ酸をタンパク質に取り込めるスーパー細菌を生み出したという記事が出た。生物進化40億年の歴史によって生命体は20種類のアミノ酸を自在に操れるようになったが、遺伝子の核酸配列から云うと64種まで可能であるのにもかかわらず、それ以上は出来なかった。どんな福と災いをもたらすのか、研究の展開が楽しみである。
- ハウステンボス倒産。次々にリゾート施設が倒れて行く。順調なのはディズニーランドだけだそうである。東京一極化の端的な象徴でもあろう。早く州制にしないと、何もかも東京におんぶに抱っこでないと成り立たぬ国になってしまう。
('03/03/01)