八月の一面記事

- 福島県議会が核燃料税引き上げ案を可決した。それを踏まえた読売7/31朝刊の解説記事は読み応えがあった。福島県は東電から既に130億円からの公共施設の寄付を受けている、その上に今度の課税である。どれも最後は消費者の負担になるのだから、端的には電力大口消費地の東京から大枚の県税を取り上げるに等しい行為である。さらにこの解説には、公共性の高い産業である電気、ガスが異常に高い税負担を強いられていることを指摘している。売上高に対する税負担率が、全産業平均が2.0%であるのに対し電気では9.3%と5倍に近い。日本の産業は電力消費型の電気分解工業とか電気精錬工業から競争力を失っていった。不公平な税負担は産業構造をいびつにし、日本に不利益をもたらす。それに今や世界的に実施段階に来ている炭酸ガス排出量削減に、最も有効なのは原子力発電である。福島県議会の可決は、日本にも世界にも背を向けた利己的行為である。
- 毎日8/4朝刊に「「楽しさ」を強調する学生」と題する岩村氏の評論が出た。若者気質に対してなかなか辛辣である。就職試験で面接を実際にやった立場からの感想だ。「ここなら仕事が楽しめそう」で会社が選ばれている。受験者がアピールする自分の功績には、学校を楽しく過ごせる場に盛り上げたというのが多いそうだ。義務でやるのは嫌というのがその裏側にある。「メダルを取れなくても「競技を楽しめたから満足しています」と語るオリンピック選手、「国会を楽しんできます」と宣言した若い国会議員」という紹介がある。一方では「楽しくない」ことを理由に、大学の勉強や食事作り、子供の躾など、すべき事からさえも降り始めていると書いてある。
- なんだか南国気分というかラテン気分というか、現役時代には最先端のすざましい競争を見てきただけに、日本が今後確実に資産を目減りさせて行くと思わざるを得ない。生命の生物学的意義は種の永久保持である。それさえ「楽しくない」対象として忌避されつつあることは出生率の減少として現れている。クローン人間でつなげばいいと考えているのだろうか。「楽しさ」志向に歯止めを掛けないと社会が崩壊してしまう。
- 医療問題も止めを知らぬ。手術ミスに処置の誤り。近頃多いのは点滴ミスだろう。分量の取り違え、医薬の取り違え。患者の死亡や植物人間化で初めて明るみに出る。毎日8/23朝刊に出産直後死んだ赤ちゃんの診療記録が改ざんされていることが発覚し、家族に賠償金を支払ったという記事が出た。死亡直後の記録を強引に家族が撮影しておいたのが証拠となった。カルテを改ざんあるいは故意に破棄して、証拠を隠滅する。再々出てくる事件である。同8/25には、放射線の大量照射で脳障害を起こさせ死亡させた病院が敗訴した事件を解説していた。記録を隠しウソの説明を続けたとある。医療現場では当たり前のように行われているのであろうか。
- おかしなことに、それが刑事罰の対象にならないのである。医は仁術が立前であった時代はとうに過ぎた。医療法は改正せねばならぬ。同じ新聞に骨折で手術を受けた主婦が輸液量のミスで死んだという記事があった。この主婦は意識不明になってから人工呼吸器を付けられたが、その呼吸器が外れたままになったと言う二重ミスで死んでいる。患者の命は実験動物並みである。最低限の初歩的チェックも為されていない。レベルの低いミスにも刑事罰を科すべきである。
- 毎日8/10朝刊に瀋陽事件の亡命北朝鮮家族のインタビュー記事が出ていた。日本を非難している。総領事館の対応はそれでも外交官かと思えるほどの怠慢ぶりではあった。しかし、結果としてはわが国の世論とその後の外交努力の後押しで、彼らは亡命できたではないか。我々感覚では、真っ先に感謝の気持ちが伝えられるべきである。しかし彼らには感謝の言葉も、無関係の他国民に迷惑を掛けたことに対する謝罪の言葉もない。ただただ日本を非難し批判している。日本の外交は基本的には国民の世論が背負っている。外務官僚の弱腰をつつけば、彼らの「職業的見地」から何かが出てきた昔とは違う。日本国民の嫌朝感情を煽るような発言は、たとえ亡命者でも慎むべきである。日朝を争わせようと云うのでなければだが。日朝赤十字会談が開かれた。何も出てこなかった。最近の対韓、中、露外交攻勢と同じく、アメリカの高姿勢に慌てて話し合いのゼスチャーを見せたと云うところだろう。
- 毎日8/18朝刊に「昭和天皇をめぐって」という記事が出た。昨年のピュリツァー賞を受けた大作「昭和天皇」の著者H.ビックス教授のインタビュー記事である。マッカーサー元帥のGHQの統制が取れたあとでも、私の記憶では、少なくとも朝日、毎日、読売の三大新聞の主流となっている主張は、天皇は平和主義者であったのに軍部が大戦に引きずり込んだ、天皇に戦争責任はないと云うものであった。事細かに天皇の平和志向の証拠が書き出されるたびに、ではあれだけの絶対権力を持ちながら、なぜ戦争が止められなかったのかというのは、誰しもの素朴な疑問であった。教授は、天皇は自分こそ国家であり、国益は皇室の護持と同じだと深く信じており、内閣の決定には天皇の賛否こそが決定的だったと述べた。この結論に到達するために、幼少時の帝王学も含めたあらゆる文献資料を読破し、天皇の全体像を描いている。天皇タブーというのがあって、迂闊に日本人は触れたがらなかった問題である。だが、5万といる日本の国史学者が、戦前戦中史の中心であり続けた人物の全体像を剔る著作で、アメリカの学者に後れをとった事実は、もう一つ別の問題として印象に残った。書店に行ったら、邦訳の「昭和天皇」上巻が並んでいた。
- 道路関係四公団民営化推進委員会の議論が反響を呼んでいる。議論が公開の場で行われているのが大きい。委員会に次々出てくる公団の実状は、古賀さんを初めとする道路族議員の影を薄くしている。なぜ道路族の天敵なのか知らないが、猪瀬直樹委員などテレビで見る限り意気軒昂である。40兆円か8兆円だか知らないが、結局は国民が負担させられる負債は、予想をはるかに通り越す金額であった。にもかかわらず、読売8/20朝刊に、公団の子会社と関連会社計82社に、1000億円を超す余剰金が内部保留されていることが明らかになった。公団が高コストで子会社に発注を繰り返した結果である。そこには公団OB400人が天下りしている。「私物化ぶり鮮明」という表題になっていた。一般有料道路で無料開放された路線の内、6割が建設費未完済であると報じたのは、毎日8/6?朝刊であった。山中の有料道路などペイしないのは当たり前なのに、無理に数字合わせをした結果である。先ず結論ありきの償還計画であったのだろう。その結論は、道路族議員からか、地元業者からかそれは知らない。
- NHK総合TV 8/23 pm7:30に、スーパーの金庫あらし専門の中国人盗賊団を特集していた。埼玉に数人のグループが少なくとも3団いるという。捕まったグループの主犯格は語学留学で来た。残りは密入国だそうだ。互いの連絡がいいのか、そのグループが捕まると、埼玉県での活動はぴたりと停まったそうである。東北の田舎で、祖父母の殺人を計画的に実行しようとして捕まった4人組の中学生がいた。直接の原因は花火を注意されたことだとか。養育されている身でありながら、僅かの忠告叱責にも腹を立て、身の毛もよだつ報復を実行してしまう。体は大きくなったが、精神未発達のまま、堪え性もなく直情的に行動してしまう。高等動物界では、子は親と同じほどの大きさに成長したら、家族や巣から追い出される。特にオスはそうだ。理由は親と競合相手になるからだ。人間も同じ遺伝子を伝えられている。現代では中学生になるともう大人の体格になる子が多い。同居を続けるには、小学生高学年あたりから、共生のための哲学を真剣に具体的体験で教えて行かねばならぬ。
('02/08/25)