六月の一面記事

- 北京の韓国大使館領事部に北朝鮮難民が駆け込み、阻止しようとする中国警官と領事館員が腕力でぶつかった。領事館に逃げ込んだ難民を警官が引きずり出したのである。領事館員及びマスコミ記者に怪我人が出、韓国は公式謝罪を要求した。中国側は駆け込み行為者の保護は外交特権の悪用で、第三国人の処置は国内問題だと主張している。
- 中国の報道に対する規制は敏速であった。韓国のTVニュース電送は阻止された。日本のマスコミは韓国館員の「勇気ある」姿勢を評価したが、中国警官ともみ合っても、得られた結果が相手の激昂的反応では、日本と五十歩百歩か、考えようによってはそれ以下である。日本の対応のまずさから学んだあとの、十分考えた対応なのだから、それほど日本のマスコミが褒め称える理由はない。わが国のマスコミはバランスを欠く。
- 結局、双方が「遺憾」の意を表明し、過去に逃げ込んで領事部に保護されていた難民とも合わせて合計26名が無事韓国に入国できた。難民の「人道的」扱いは日本やその他の国の場合と同じである。きつく対立したからと云って、中国が基本姿勢を変えてくるわけではない。反政府感情を煽るような自虐的報道を繰り返しているようでは読者は白けてくる。それよりも毎日6/25朝刊の余録の記事が気になった。首尾良く韓国入りを果たした人々とは別に、4-5月に1400名もの脱出者が北朝鮮に送り返されたという。日本もEUもアメリカも密入国には手を焼いている。中国が密入国者を取り締まるのは当然である。だが、自由主義圏の取締は、情報公開のもとで、国民は勿論世界が監視している中で行っているのに、中国の内情は何も出てこない。触れれば国内問題だとの猛烈な反発を食らわす。上記1400人は人権団体の発表という。中国は世界の信頼を得るために、情報公開を急がねばならない。
- 鈴木宗男議員に対し衆議院で議員辞職勧告決議が出た。彼は辞めないと言明している。マスコミには次々に彼の悪辣な利益誘導ぶりが報道されている。毎日6/23朝刊の「宗男議員逮捕C」には、道東のムネオロードの写真出た。牧草地帯の、走る車がただ1台という高速並の立体交差型4車線道路である。その前日の記事では、国有林盗伐で入札参加資格停止処分中の製材会社やまりんが入札できるように、宗男議員が林野庁に働きかけた経緯が出ていた。斡旋収賄容疑の直接の対象である。時の農相島村氏の反対意向で、これは成功しなかった。鈴木議員の干渉を、見て見ぬ振りをした河野洋平氏ら元外相の面々は、どんな気持ちでこの記事を見ただろうか。
- 千葉県だけで、中小企業対策の貸し金保証事業で、既に550億円を超える不良債権を国が背負ったことも知った。皆倒産による。少しの間、多分1ヶ年ほど倒れるのを引き延ばしたために財政に穴が開く。承知の上で保証しているようだ。なんともバカらしい不景気対策だ。公共投資圧縮の目玉、道路公団民営化の検討委員会の人選で、もう自民道路族は猛反発をしているとか。他方で、国土交通省は車交通量の2030年をピークとする減少予想を発表し、本州四国架橋および東京湾アクアラインの失敗を認めた。公共事業に採算は度外視という姿勢が、修正され始めたのは良い傾向だ。
- 医療法案が衆議院を通過した。最も重荷になっている高齢者の自己負担が増加するのは仕方がない。英サッチャー首相がイギリス病の財政建て直しに使った手も、まずは福祉圧縮であった。帝京大学医学部の入試合格発表前寄付金騒動が持ち上がった。1人1000万円から1億円の、庶民には気が遠くなる寄付金を、お医者は子弟のためなら支払えるのである。しかしそんな余裕を高齢者の負担増を軽減する方向に回そうとはしない。福祉圧縮は殆どが患者側の負担増で補われようとしている。国民が納得しないのは、こういう不公平問題であろう。
- ハーバード大の新薬情報スパイ事件で日本人研究員がFBIに捕まった。毎日6/22朝刊には、教授との特許を巡るトラブルからだと書いてあった。昔々、九州大学の助手が留学先から帰国する寸前に、やはり情報持ち出しで捕まったことを思い出す。この場合も歪な性格の教授であったと記憶する。留学先を選ぶのも腕の内だが、彼女が将来を嘱望された研究者であっただけに、余計に残念だ。
- W杯サッカーは決勝トーナメントに入り、日本は第1回戦でトルコに敗れたが、韓国は勝ち進んで準決勝まで駒を進め、そこでついにドイツの軍門に下った。過去の実績と比較すると、両国代表チームの戦績は驚嘆の極みである。心からの賛辞を両チームにお送りする。ことに韓国の出来映えは素晴らしかった。ヨーロッパの強豪との対戦が多かった韓国より、日本の方がくじ運が良かった。にもかかわらず日本より立派な成績を上げた。私の素人目にも、韓国選手の、延長戦に入っても衰えない運動能力と敢闘精神は、目を見張るほどのものであった。前半は互角あるいは劣勢と思える戦いでも、後半に入り時間が経過するにつれて、優勢に戦いを進められるようになった。日本選手との差は後半にあったと思っている。
- 国を挙げての熱狂的応援に、韓国政府が機敏に対応したのもよかった。兵役義務免除と臨時休日である。勝利へのボーナスも、これは民間会社だったと思うが、タイミング良く提供された。日本もこうあらねばならぬと言っているのではない。だが諸事民意に鈍感で、外圧頼みとか先送りになることに飽きている我々には、記事になった韓国はまことに新鮮であった。口を開けば揚げ足を取ると、日本で嫌がられていた韓国マスコミも、W杯サッカー共催決定以降はだいぶ対日トーンが変わった。日本のサポーターたちが韓国の勝利に湧き、心から応援した姿勢は、これからの日韓共栄に好影響を与えるであろう。お互いに、隣国の態度は自国の姿勢の鏡であることを、改めてかみしめ合ったように思う。
- 会場の空席はNHKスペシアルが取り上げるほどの問題になった。殆どがFIFAの不手際のせいと思われる。だがFIFAは現地組織委員会が悪いと逆襲している。私も経験があるが、大陸人は、99.9%自分に非があっても残りの0.1%に掛けて、水掛け論としてドローに持ち込もうと粘るのが普通である。そう言う呼吸が、県庁出向者などが多いと聞く組織委員会にあるのか一寸心配である。
- チャイコフスキーコンクールのピアノ部門とヴァイオリン部門で、2人の日本女性が最高位に輝いた。暗いニュースが多い中で、嬉しかった。すぐ孫の鋸ヴァイオリンを思い出したのはご愛敬である。
('02/06/27)