二月の一面記事

- 小泉内閣の支持率は、田中外相更迭により直後では50%弱に下がった。読売新聞の調査である。その後の各マスコミの調査では、やや持ち直して、55%程度を維持している。国民に、田中前外相は、掛け声ばかりの中で改革に本腰で手を着けた唯一の人と言う評価が定着したようだ。根回しとか面倒見とか貸し借りのバランスとか、評論家でも旧来型の人は真紀子さんの欠陥を論っていたが、それよりも、単刀直入に分かり易い政治姿勢を取ることが、これからの社会には先ず第一に必要になるだろう。田中さんは国民の耳目を政治に惹き付けたという意味でも功績甚大であった。私も予算委員会のTV中継をこんなにしっかり見たのは始めてである。新聞の文字だけでは伝わらぬ人間の品性がTVでは伝わってくる。この騒動であぶり出されたのが鈴木宗男衆議院議員と外務官僚の癒着ぶりである。新聞は蔭の大臣という称号を奉った。特に人事に対する干渉は激しく、一丸となって表の大臣の意向を排除したようだ。
- この蔭の大臣にも国後島ムネオハウスの暴露は青天の霹靂であったろう。共産党の調査力はたいしたものだ。最後は外務省内の無期限秘の資料まで出てきた。政治思想がどうあれ、私は共産党は1割程度の議席数を保つ必要があると思う理由である。おかげで我々はこの3800人ほどしか住んでいない島に4億円以上もの経済援助を行っており、島民は、外務省のお役人を従えて鈴木議員が上陸すると、まるで大黒様をお迎えするような歓迎ぶりだと知った。国税の私物化がこんなに端的に現れた例は余り知らない。その施設の建設業者選定に関する黒い情報が次々出てくるに及んで、私は最近彼を選んだ選挙民の良識を疑い始めている。地元におれば臭い匂いは真っ先に嗅ぎつけられると思うのだが。彼は衆議院北海道ブロック比例区の選出議員だ。次回選挙に注視したい。
- 読売の2/20朝刊に麻生太郎自民党政調会長のインタビュー記事が載っていた。高額所得者の税率、遺産相続税を下げよと言う主張であった。国の債務が700兆円を超し、小泉さんが大声を張り上げても、まだ毎年30兆円は赤字国債で賄わねばならない国家の非常時に、呆れるばかりだ。一方では消費税を10%に上げて値上げ分の一部を年金目的税とするとも云っている。消費税は低所得者に特に重くのし掛かる。これ以上大衆の消費マインドを落ち込ませてどうするつもりだろう。第一、年金を税で賄っては社会がますます無責任になる。今でも日本は社会主義国が目指した以上の超福祉国家と言われているのだ。自己責任感が薄い国家は滅びるしかない。彼についても選挙区民の良識を疑う。福岡県旧筑豊炭田地区の、中小都市が集まる8区である。彼のホームページには仰山の「地方貢献」ぶりが載せてある。一般化は憚られるが、国益蔑ろの議論や行動が出てくる国会議員には地方選出が多いのではないか。
- ソルトレークの冬季オリンピックが終わった。連日TVで雪上氷上の熾烈な競争華麗な演技を堪能させて貰った。皆さんご苦労さん、有り難う。だが、わが国の成績は散々であった。新人スターはついに出ず仕舞いで寂しかった。メダルは「旧」人の銀1銅1だけだった。200人を越す代表団にしてはお粗末だ。費用は何らかの形で国民が負担している。国家全体が諸費削減に務めている時節である。こんなに振るわないのなら100名以下で十分だ。代表選手は透明な選定基準により選ばれるようにすべきだ。その年の実績に重点を置いて選び、過去の栄光に惑わされないことだ。
- 選手団の予想は金3他に銀、銅と報じられていたのを思い出す。アメリカの新聞の予想は遙かに厳しく銅3だったと記憶する。数ではその予想すら下回る。わが国は冷徹な戦力分析が出来ないのか。話かわって恐縮だが、景気の回復が危ぶまれ始めた頃に、アメリカの企業格付け会社が日本企業のランクを下げたことがある。わが国の経済人は日本の特殊性を取り上げて猛反発した。しかし現在の状況は明らかにアメリカの、例えばムーディー社の方に軍配が上げられる。また同じことが起こった。わが国は何事につけ論理的な判断力を養わねばならない。この際の論理的とは定量的と云うことだ。唐突なようだが、以前にも議論したように、それには理系思考法の浸透が第一だと思う。社会構造からして上を見れば法学部出身者ばかり、その法学部は、欧米とは違い、理系単位の修得には全く冷淡というのが日本の現状である。
- 審判のミスジャッジが次々に話題になった。TV映像が再生できるから、ミスが水掛け論ではなくなる。1500mショートトラック決勝では1位の韓国選手が失格になったが、映像からの印象は2位選手のゼスチャーに誤魔化された誤審を示唆していた。審判は、判定異議に対して、映像を使って説明するぐらいの透明化努力が必要だ。あるいは大相撲やアメリカンフットのように判定毎に審判員に説明させる仕組みにすべきである。それが出来ない競技はオリンピック種目から外すべきである。
- 秋田短大の中国留学生が東京に出たまま戻らない問題に端を発して、中国政府の公認あっせん機関が、日本就学に偽造書類を作って日本に留学生を送り込んでいる犯罪が暴露された。大学卒業証書や預金証明、日本語学習修了書などの偽造だそうだ。騙しおおせて日本に来た連中は就学ではなく就労するのである。読売新聞1/25のスクープであったと記憶する。記事が出てから大使館は中国外務省に抗議したようだった。外国人の犯罪の中に占める中国人の割合は非常に高いのに、またまた今度は準政府機関の犯罪であるとは、まことに深刻である。私は「なんでも鑑定団」というTV番組を時々見る。しばしば偽物が登場して大笑いになる。中国で掴まされた品が多い。ホンダ、ソニー、ナショナルなどのまがい物が本物の何倍も売られているのも中国である。このままでは中国(人)というだけで疑われることとなろう。猛省を促したい。それから中国人留学生だけで日本人学生の殆どいない秋田短大とは一体何なんだと言う疑問に、短大経営者は答えて欲しいと思う。
- 生命科学の記事が目に付く。ES細胞による糖尿病治療の成功は京大医学部の研究だった。ただしマウスの実験で、人間相手の研究はこれからだそうだ。アルツハイマー病誘因物質を発見したのは阪大チームであった。このニュースは一面記事ではなかった。明るい話題の少ない日々である。もっと大きく取り上げても良かったのではないか。加藤レディスクリニックと言う病院の研究が紹介された。年を取ると妊娠しにくくなる。卵子の細胞質に妊娠を拒否する性質が出てくるからだそうだ。老齢者の卵子から細胞核だけ取り出し、それを若い卵子の細胞核と入れ替え、あと人工授精する方法が成功したそうだ。ただし遺伝子は細胞質の中にもある。ミトコンドリアDNAのことだろう。だから3人の遺伝子を持った子供が産まれる。ミトコンドリアDNAは母系遺伝だからそれに関する限り、借り腹の女性の遺伝がその子孫に伝わり、老齢者側は途絶える運命になる。倫理的にどうなるか、議論は尽きないであろう。
('02/02/25)