
- この秋最初の寒波が関東に来た日に高尾山へ紅葉見物に出掛けた。高尾山は初めてである。千葉から高尾山口まで3時間ほどで、程良い日帰りコースと言える。
- ケーブルカーがちょっと混んでいるので、リフトで山を登る。両側には紅葉黄葉の樹木が並び、晴天の空によく映えて、来た価値があったと満足だった。モミジやカエデは当然ながらハゼ、ナナカマドもあった。花はこの季節だから寂しいが、サザンカの八重咲きが見られた。殆ど白だったが、1本だけ桃色であった。カンツバキかも知れない。なんとか云うシキミが赤い実を付けていた。リフトの道脇は植林で植物苑のようにしているのであろうか。
- 山頂までの途中に薬王院がある。山中の寺院にしては立派である。森林のスギとカツラは植林だという。参道の大杉並木はなかなかのものである。このように人の手が入った残跡はあちこちにあるものの、森は基本的には原生の姿を残していると云えるらしい。ブナの大木に説明書がある。本州では標高1000mほどの高地が普通なのに、ここでは600mを切る低地に育っている珍しい山だとある。植物図鑑では600mあたりから生えるが、乱伐と植林で原生は少ないとある。さらにイヌブナの大木を見る。図鑑にはブナほどには群生しないとあった。だが、ここには山中に群生林があるという。
- お寺の境内に神社がある。その拝殿脇から山頂に至る山道が続く。山頂に高尾ビジターセンターがあった。そこで貰った地図には明治の森高尾国定公園となっていた。森はハイキング・コースとしてよく整備されている。WCがここを含めあちこちにあるし、散策道も歩きやすい。低い山だから急斜面は続かない。適当な場所に売店がある。お寺もアクセントになっている。今度来るときはリフトやケーブルは使わずに歩いて登りたい。頂上付近にカシワの大木が並んでいる。こんなに数多く見たのは初めてである。山頂を取り囲む散策道5号路を歩く。ホオノキの枯葉があちこちに落ちている。こんなにホオノキを見るのも初めてだ。クヌギ、シラカシ、ウラジロカシ、アラカシなどの常連が顔を揃えている。立て看板によると高尾山系は樹木は70種ほどだそうだ。南面に常緑樹が多く、北面に落葉樹が多いという。平地で云うなら関東と東北の境ぐらいの気候と言うことだろう。
- 麓の高尾自然科学博物館に立ち寄った。前庭に大きなメタセコイアがある。中国で見付かった化石植物である。ほかドイツトウヒとカツラ。小さな博物館で高尾山系を地質、動植物について展示している。無料。
- 畝傍山、耳成山および天香具山は神話に名高い大和三山である。信仰が宿りお互い比較的近い位置にあると言う意味では、関東の三山は御岳山、高尾山及び大山であろう。御岳山には御師の家の見学を目的に登った。大山行きはドライブ・アンド・ハイキングの家族サービスが眼目であった。名物の猪鍋を注文したら、冷凍肉を慌てて煮たらしく、中まで火が通っておらなかったのを思い出す。我が子の登山姿を覚えているから何年前頃だったか見当をつけることが出来る。1人だった御岳山は何時だったかはっきりしない。三山を回ろうと決心してから今回の高尾山まで、20年以上かかったことは事実である。
- 「大山は相模の国御岳といわれ、古くから修験道の道場であった」と平岩弓枝「御宿かわせみ」シリースの「能役者、清大夫」に載っている。大山能の役者が絡む事件を扱っている。大山は一つの文化拠点であった。御岳山は正確には武州御岳山である。どちらも修験道の山伏が大和の金峰山から地方へ勧請した国御岳である。大山詣も盛んであったようだが、関東の修験道の中心は御岳山であったようだ。高尾山と同じく神仏混淆で、大山では阿夫利神社と大山寺、御岳山では御岳神社と世尊寺が対になっている。大山寺は今の大山不動尊か。世尊寺は廃寺処分を受けて現存しないそうだ。大山も御岳山も高尾山と同じく、信仰のおかげと言ってよいのだろう、自然が豊かに残っていて、関東一円の住民にとってよいピクニック・コースになっている。我々は昔の人々の熱い宗教心に感謝しなければならぬ。
('01/12/06)