
- 秋口北東北バスツアーの宿は4泊とも温泉だった。角館を見た後の第1泊は田沢湖東乳頭温泉郷の田沢高原ホテル。3階造りでエレベータ無し、和室だが鉄筋コンクリート造り、フロントは旅籠めいている。こんなのはホテルと言うべきか旅館と云うべきか。予定のホテルよりランクが下だそうだが、なかなか家庭的で雰囲気は良かった。夏の飛鳥クルーズでは乳頭温泉行きのオプショナル・ツアーがあったので、ここの温泉に興味を持っていた。硫化水素の臭いが少しする、硫黄コロイドで白く濁る温泉である。その日と翌朝の2回入浴。表皮が剥けるのか、肌がつるつるになって若返った気分にさせる。夕食に出た山菜が珍しく、この後のツアーの何処かトイレ休憩をした道の駅で見つけ購入することになる。ミズというのだそうな。おひたしとして食すると美味い。
- 次の日は男鹿半島から五能線に沿って北上。2両連結のジーゼル・カーが通るのを2回ほど見た。十二湖、千畳敷海岸で下車。自然のいたずらを後に鰺ヶ沢を通過。ここは太宰治「津軽」に昔、と言っても明治大正の頃だそうだが、銘酒屋があったと紹介されていたところ。銘酒とは女のことでつまり女郎屋の隠語だそうだった。今は勿論そんな酒屋は影も形もないだろう。弘前を通り抜ける頃にあたりは暗くなった。第2泊の大鰐温泉は青森ロイヤルホテルで、今回の旅で唯一の洋間だった。ベッド数3のクルーズ船ならスイート・クラスといえる立派な部屋だった。こんな格安ツアーなのに全く信じられぬ。夕食は前菜、スープ、肉、ライス、コーヒーにアイスクリームのフランス風だった。ゴルフ場も経営しているらしい。第1泊もそうだったが、ここも露天風呂が良かった。季節柄頭涼体熱でまことに気持ちがいい。
- 第3日は太宰の金木町から十三湖、竜飛岬を経て青森に出た。青森観光物産館で民俗玩具八幡馬を買う。これでわが家の馬は2駒となった。泊まりは浅虫温泉の南部屋。この町のホテルは見渡したところ殆どが和名なのがいい。歴史が古いからなのであろう。部屋は大きかったがバスは小さい。温泉の大浴場はまずまず。町中だからであろう、露天風呂はない。夕食までにJR駅まで散歩する。温泉町の繁華街だと聞いたが、「夢千代日記」の湯の町のような温泉劇場があるわけではない。ストリップ小屋など勿論無い。時代が違うのである。昔からの菓子屋を見た程度でまあ閑散とした風景だ。夕食は和食。品数は多いが取り立てて云うほどの特徴はなかった。桃川の冷酒を頼んだ。ここらのお酒では唯一覚えている銘柄である。飯の最中に白粉をこてこてに塗った老婆の三味線弾きが来、ついでやっぱり老婆の芸者が踊りを見せた。あんなものはない方が良かった。
- 第4日は強行軍である。仏ヶ浦、大間崎、恐山と下北半島を一周した。最後に立ち寄った下北名産センターで私はフィルムを買った。1本600円だった。ヨドバシカメラでは2本が660円、キムラヤが3本で600円弱だった。フィルムほど値段が違う商品はないのではないか。もう外は暗くなりかけていた。バスがどの道を通って十和田湖畔の休屋に着いたのか判らない。宿舎は十和田湖パークホテルだった。夕食に名産ニジマスの焼いた一匹が乗っていた。そのほかは平凡な内容だった。ちょっと遅かったが、念願の「ゆずりは」に赴く。なかなかセンスのいい店で、そこの女主人は土地の作家から気に入った品だけを買い入れ展示しているという。自身がモデルになって着てみせる。どれもが似合う。彼女は十和田観光ホテルの女将だそうだ。ゆずりはは丁度その真向かいにある。
- 翌朝ホテル前が十和田湖であると知った。夜に着いたのでよく分からなかったのである。最後の日は奥入瀬渓流の散策から始まった。発荷峠から十和田湖の全貌を眺める。家内は買いもの。又何か安い品を見つけたらしい。十和田湖を西に走るコースは初めてである。大湯の土産物屋で観光リンゴ園を見る。リンゴの実の区別は容易だが、葉とか枝ぶりだけでは木の種類の区別は付かないだろう。それほど互いによく似ている。リンゴ園によっては台風対策に早めに収穫したところもあったという。
('01/09/24)