皐月談義


小泉内閣がスタートした。NHK-TVの国会中継が人気を呼んだ。かってなかった出来事である。ともかくも政治に市民の関心を呼び戻しただけでも大成功である。小泉内閣は、甘言とばらまきで選挙民を釣る手練手管だけの政治では先が不安になった国民の選択である。まだフィロソフィーだけで具体論が出てこないが、それでも国民は一安心しているといったところか。でも次の参議院選挙には迷ってしまうだろう。小泉党なんか無いんだから。近いのはむしろ野党第1党民主党である。だが代表の鳩山先生に迫力がない。彼の代表質問はえらく旧来型である。米大統領親書問題にしても小泉首相が面談受領しているから何も不作法ではない。外相が会わなかったことでアメリカさんの機嫌を損ねたと云っているが、マスコミの何処にもそんな報道はない。我々の主張よりもアメリカさんのご機嫌、中国様のご機嫌、韓国先生のご機嫌に一喜一憂する旧来型外交は河野さんで終わりにして欲しいと国民は思っている。
ファイルを整理していたら読売新聞の「あすでは遅すぎる 税制改革への提言」と言う記事の切り抜きが出てきた。橋本内閣時代天皇皇后両陛下英国訪問前の頃の記事である。それには納税者比率で僅か6.4%の中堅以上のサラリーマン(1000万円以上の所得者)が所得税額で全体の40.1%を支払っている実状が先進国として異常だと言っていた。無税層が1200万人に及ぶとは全く驚かされる。フリーターでも食える時代だ。年収200万円もあれば平等に税金を納めるべきである。
税金に急な傾斜を付けて収入を調整するやり方は食えない時代の政治手法である。先進国の競争は新しい価値を早くたくさん生み出す競争である。意欲溢れるレベル高いエリート層をより多く抱えた国ほど競争力が強い。野茂やイチローが流出したのは税金だけが理由では無かろうが、わが国が嫌気がさすほどの高税率であることは間違いない。
法人税となるともっと過酷だ。1%に満たない大企業が60%以上を支払う。国際競争に晒されるのはまずは大企業であるのに、彼らに弱者と称する中小企業の肩代わりをさせている。その最大が農業である。なにやらかやらの不平等税制の結果として、豊かさ指標第1位の福井県は最下位の埼玉県に対し地方税は1/5.7、逆に地方交付税のおかげで1人あたりの予算は2.7倍になるという。都会住民が納めた税金で田舎が豊かになるという構図である。高齢者は一括して弱者に分類されている。しかし高額納税者番付の21/50が高齢者だという。彼らも納税に種々の保護を受けているのだ。これも現役中高年圧迫の一因になっている。税金を納める痛みを平等に分かち合ってこそ、対等の政治談義が出来るというものだ。
小泉さんの云う痛みを伴う改革に上記の税制改革が入っているかどうか判らない。だが自民党の都市部での万年不人気が何に起因しているかは良く理解しておられることと思う。それにしてもあの時点で、読売新聞は新聞の売り上げ減少に繋がるかもしれない記事をよく載せたものだと勇気ある発言に感心した。紹介文には多少私語を挟んでいることをお断りしておく。
アメリカの環境対策案が原子力発電強化方向であることがはっきりした。私は前に「新エネルギー三題噺」と題して原子力以外に炭酸ガス問題を解決する道がないことをこのホームページで提言した。日本の識者やマスコミは新しいクリーンエネルギーに気を取られた発言を繰り返すが、現に今どんどん炭酸ガスは増え続けている、その炭酸ガスは一旦大気中に拡散したら最後、回収は経済的に不可能なのである。原子力は怖いが、人知を尽くして管理をすれば押さえ込むことは可能だし、既に完成度の高い今使える技術である。経済性も立証済みだ。作業員の被爆死亡以上の大事故は少なくとも日本では起こらなかった。かの東海村の悲惨な作業員の被爆は全くの人災であって原子力物理に反する操作の結果である。人知の範囲に入っていた。私は原子力による炭酸ガス環境の改善が国策として推進されることを希望している。
ゆとり教育に1つデータが加わった。小中学校生徒の1日の平均勉強時間が1.7hrと外国に比べ最低水準で、中国より0.8hr低いとか云う。この水準にさらにゆとりを与えるというのが文部科学省の方針か。京大学生新聞の最近号に学生の学習意欲の低下を示す大学自主点検の結果が出ていた。エリート学校がこれでは日本の将来はどうなるのか。私は毎年5円の割で円安が進むと言い続けているが、将来日本を支える層がこうだといよいよ本当に思えてくる。しかし、経済面だけで判断してはならないと常日頃自分を戒めている。ゆとり教育を受け勉学には興味が薄れた若年エリート候補たちは我々世代とは違った価値観の日本を作って行くであろう。それはそれで楽しみなのだが、これこそ小泉さん以上に漠として中身が判らないただの可能性である。私たちが持ち続けてきた価値観がださいのなら、そのカウンタープロポーザルを若い人たちがやってくれることを期待している。ひょっとして持ち合わせないのではないかという危惧感もある。

('01/05/14)