
- シックス・デイという映画を見た。仮名書きの題名から原題をSix Daysかと思っていたが、正しくはThe Sixth Dayであった。だが、六番目の日と知っても何の意味か判らない。見終わってやっとそれが聖書に由来することを知った。日本人は大多数が不信心の氏子を兼ねた仏教徒である。キリスト教徒を自認する人だってシックス・デイではすぐにはピンと来なかったであろう。せめて表題ぐらいの翻訳題名だったら、不信心者(私)にだって教養の中から聖書を引き出せたかも知れない。
- クローン羊Dollyが1996年に誕生して以来、クローン人間の可能性と倫理問題がマスコミを賑わせている。一方では臓器の人工培養法の研究が進化著しく、また死体生体よりの移植技術は既に実用化している。永遠の生命という意味で、人はついに神の領域に到達するのではないか。多分その答えはここ数世紀はノーである。なぜなら頭以外の身体は部品交換が可能だし、全く新品のピチピチしたクローン人間も出来ようが、脳の劣化は不可逆的に進行するし、だからといって心をクローンに移し替える、あるいは脳の新品を追加移植するなどの実現可能性はゼロに近い。この映画はこのノーをイエスと仮定して物語を展開するSFである。
- アメリカン・フットボールの試合から映画が始まる。年俸3億ドルの名クオーターバックにベンチから指令が飛ぶ。あれっと思うのは、その指令がQBのかぶるヘルメットに文字で映る仕組みになっていることである。その時始めてこの映画が未来を想定していることに観客が気付く。QBはデフェンス側の猛チャージで頸骨を骨折し、植物人間化してしまう。それからの話がクローン人間の可否を問う深刻な物語でもある。QBを救急車の中で付添人が簡単にあの世送りにする。ところが何週間か後にQBは奇跡のカムバックを果たす。実は、CDに記録された心を受け取ったクローンがカムバックしたのである。秘密の工場があって、いつでも不慮の死に対応できるように、クローン人間が殆ど完成品の姿で培養器内にスタンバイしているのである。
- 秘密の工場になっている理由は、政治がクローン人間を禁止し、クローン人間は見付かり次第殺されることになっているからだ。技術があって政治とか倫理が禁じている、だからそこに甘い犯罪の罠があるという設定である。クローン反対の原理主義者がリペット社の幹部を襲う。リペットはrepetでペットを再生する意味である。それは表看板で、裏ではクローンをやっている犯罪会社である。原理主義者という言い方が面白い。原語が聞き取れなかったから間違いかも知れないが、イスラム原理主義者を意識した言い方なのだろう。犯罪に巻き込まれたチャーター・ヘリコプターの運転士がたまたま同僚の代行で、その同僚の名で運転していたためにクローン製造組織の秘密がおいおい暴かれ出すという話になっている。ヘリコプターによる渓谷飛行、お決まりのカーチェイスなどドキドキハラハラさせるための道具立ては一応揃っている。最後の出演者紹介の字幕に沢山のスタントマンの名が出てくる。SFものだが活劇ものでもある。
('01/01/17)