
- アメリカ映画「U-571」を見た。第二次大戦中の大西洋での潜水艦戦である。アメリカ特殊部隊がドイツの潜水艦を襲撃して暗号機と暗号表を盗む物語である。筋は、輸送船の撃沈に成功したU-571が護送駆逐艦の爆雷攻撃に会う。何とかまくが動力源の内ジーゼル機関は左右両方、蓄電池も大半を失う。救援に別の潜水艦が向かう。それをキャッチしたアメリカ海軍が行動を起こす。偽装潜水艦が乗っ取りに成功する。だが到着したドイツ潜水艦に撃沈されてしまう。あとは乗っ取ったU-571のアメリカ部隊がいかに暗号機と書類を持ち帰るかというハラハラドキドキ物語になっている。
- おかしな作意とかご都合があちこちに顔を覗かせる。私はドイツ駆逐艦にソナーが取り付けてあったとは知らなかった。間違いではないか。1発の魚雷が艦首に命中したらあんなに大爆発を起こして駆逐艦が1人の生存者も無しに吹っ飛ぶなんてあり得ない。ドイツ潜水艦の乗組員が直せないジーゼル機関を乗っ取り主体の特殊部隊が戦いの最中に直してしまうのも奇妙だ。半身不随を通り越している、慣れない敵潜水艦を操作しながら新手の敵潜と駆逐艦を魚雷のただの一回の攻撃で葬るのだからどうもついて行けない。
- 「眼下の敵」は軍人の人間性を唄った物語だった。もと貨物船の航海士で駆逐艦の艦長になったアメリカ海軍士官と生粋の第1次大戦以来のドイツ潜水艦長との神経戦、作戦戦略。絶えざる爆雷攻撃にヒステリー状態になった潜水艦員を勇気づける艦長。なかなか見せ場が多かった。最後の戦死した副長の告別式も良かった。だが、今度の映画は非情冷酷の本当の戦争はこうだという映画である。
- 非情でもドイツ映画「U-ボート」には偶然の重なりが少なくて無理なく見れた。敗色が濃くなったドイツ海軍基地からジブラルタル海峡を潜って地中海に向かう命令を受けた潜水艦が海峡のイギリス海軍に捕捉され、正に命からがら元の基地に引き返す顛末を見せた。最後はやっとたどり着いた基地で空襲に会い戦死沈没する虚しい戦記になっている。命を懸けた戦争のむなしさが響く映画であった。こんな戦争批判もこのU-571にはない。面白可笑しくその時だけ楽しければよい娯楽映画である。そう思ってみるのが良い。夕闇の中荒れる大西洋で偽装潜水艦から出発したゴムボートが相手艦に到着し、無事何人かを乗艦させた瞬間、隠し持った銃が雨具の下から覗き見つけた敵と最近接の銃撃戦が始まる。ハッチを閉めて潜水に移ろうとする敵とハッチを閉めさせまいとする特殊部隊の攻防は、この殺戮映画のハイライトである。敵艦長の、捕虜になってもモールスで捕獲を知らせようとするドイツ軍人魂も印象に残った。
- 題名は忘れているが、日米の潜水艦戦を描いたアメリカ映画も見たことがある。魚雷がくぐり抜けてしまうおとり貨物船とか、駆潜艇以外に潜水艦がいる2重防御とか、当時の日本軍にあまりピッタリしない設定でかつ米軍兵士だけの顔しか見えない映画であったため面白くなかった。
- 当たり前の人間が非情冷酷残虐をものともしない人間に変わるのが戦争である。戦中に日本に非人間的行為があったといって「正しい歴史認識」を主張して止まないどこかの主席や総書記にもご覧戴いて、戦えばこうなるのが当たり前よと、日本をぐるりと海軍舟艇に巡回させたり、ロケットを日本領土越しに飛ばしたりする好戦的姿勢を反省して貰いたいものである。
(2000/10/11)