残雪の五色沼


JR東日本・猪苗代駅付近はJR北海道・根室駅付近のような雰囲気だった。人影疎らである。シーズンにはどっとレジャー人が押し寄せるとは聞いた。猪苗代町は駅から外れていて、そこは家並みが詰まり道幅も狭い本州の雰囲気である。駅前発の会津バスの乗客は我々以外2人だった。時間表通りに五色沼入り口に着いた。途中風呂場のマットを抱えたおばあさんが乗った。外は風、何ともあやしい足取りなので乗車降車を家内が手助けをする。驚いたのはバスの運転手までがばあさんと一緒に礼を言ったことだった。
毘沙門沼、赤沼、みどろ沼、弁天沼、るり沼、柳沼の順で歩く。道にアカマツが茂る。グループにボランティアのガイドが付いた一団がいて、これがクルミだと説明を受けていた。丸坊主の木はなかなか素人では区別がつかぬものである。このハイキングコースを若い頃に一度散歩したことがある。あのときは小野川湖側から入り赤沼、深泥沼あたりまでで引き返した。40年近い昔の11月下旬で、もう客など殆ど無い秋の暮れであった。家内が濃赤色の格子模様が入ったコートを着ていたのを覚えている。毘沙門沼の立て看板にその青さの秘密がケイ酸アルミニウムのコロイドの反射であると書いてあった。空が青いのと同じ原理なのである。赤沼も、一部が黄緑っぽい深泥沼も覚えていた。
雪解けの季節だからであろう水量が多く、ある場所では道まで溢れるほどであった。道は殆どがぬかるんでいて歩きにくかった。遊歩道脇には残雪があちこちに堆積していた。磐越西線の車窓から見ると、磐梯山やその東の厩岳山は勿論、その奥にうっすらと見える山々もまだたっぷり雪を被っている。猪苗代湖に注ぐ川がどれも増水しているはずである。この散歩はガイドブックでは1時間10分だったのに、1時間半かかった。全4kmと云う。終点が会津バスの磐梯高原駅である。バスの運行間隔が大体この程度で、我々には丁度良かった。
30分ほどで猪苗代駅前に着く。我々は午後に喜多方観光を予定していたが、喜多方行きJR列車は1時間ほど待たねばならない。昼食に駅前の食堂でみそラーメン600円を食った。選択肢は多くない。だがこのラーメンが結構いけたのである。都会の安ラーメンには時折ひどい薬品臭の豚が入っているが、こちらのは全く自然の豚である。それがたっぷりのっているのと出汁がよいのとで食えた。麺は普通。都会の1食半ほどの分量だった。これもびっくりだった。

(2000/05/7)