海洋科学技術センター見学


海洋科学技術センターJAMSTECに行く。海洋科学技術センター法に基づく半官半民の研究機関である。見学者には何でもオープンと云うことだった。今6隻の研究支援船がある世界最大のセンターだそうで、船は年に300日は稼働しているという。大学の船はその5-6割だそうだ。アメリカなどは特別の支援船を持たないから、研究者はスケジュール的に苦労すると云った話を聞く。目玉の有人潜水調査船で見せて貰ったのはしんかい2000だった。2000は今年を示すのではなく、潜水可能最大潜航深度のことである。他にしんかい6500がある。その他無人探索船とか海底生活研究施設とか。後者は研究を終えていた。
停泊中のしんかい2000の母船「なつしま」に乗る。船内は狭ぐるしい。「なつしま」とは施設所在地にある夏島貝塚から取ったのであろう。1万年昔の貝塚だそうだ。船は1500トンあまりで、所有船中一番小さいそうだ。航行速度は12ノットほどで、他の船は16ノットは出せるらしい。潜ったしんかいとは超音波で連絡する。静止画像を何秒か遅れて司令室に送ってくる。だからサンプル採取とか危険対処などの瞬間的判断はしんかい任せになる。成果についての説明の中で記憶に残ったのは、炭酸ガス・ハイドレートを沖縄沖で見つけた話であった。メタン・ハイドレートの話はフロリダ沖の飛行機事故などで有名だが、CO2 hydrateの話は殆どマスコミの話題にはならなかった。もし大量に海底に堆積しているのであれば、温暖化で、今までは固化されていた炭酸ガスがどうなるのかは、メタンと同様に人類の将来に大きく響く問題である。
しんかいは1ノットでゆるゆると海底を動く。本物が整備工場にあり、模型が展示場に置いてある。内径が2.2mの耐圧球殻の中に3人入って、主操縦士が椅子で壁面一杯のメーターの監視と操縦をやり、副操縦士が小さいガラス窓から海底の様子を目で監視する。後の一人が研究者観察者なのであろう。この2人は腹這いである。初期の宇宙船のように狭い。
水圧試験でしんかい6500は15000m相当圧力で圧壊したという。130%の余裕である。地球最深海溝はマリアナとかで、そこの一番深い場所が10000mちょっとだそうだから、この容器は自然の中では壊れないことになる。今はどこかに出かけて実物は見えなかった。
相次ぐロケット打ち上げ失敗で批判の多い宇宙開発と違い、事業は順調なようで同慶の至りである。だが、創立来30年近くなり、年間300億あまりの予算と230人からの職員を維持するだけの成果と将来予想があるのか、国家の借金財政と民間の経済不況の中で今後は厳しい審査に晒されるであろう。

(2000/04/02)