
- 韓国元首の国会演説の全文を読んだのは初めてである。今までの韓国大統領の発言は、嫌韓ではないつもりだが、カンに触る言い草が多くてとても読めなかった。実質は自国民宛であろうが、訪問国国民にも聞かせる内容の演説とは難しいものである。
- 冒頭の死の峠を5回越えた話は、後の、民主主義を鉄の意志と努力で自ら勝ち取ったくだりを自然と納得させる出だしで、感動的である。韓国には、日本の主権を踏みにじった韓国官憲の外交上あるまじき暴挙よりも、金大中氏拉致事件に関し日本の人権姿勢を批判する意見があることが報道されていて、やりたい放題で平気なんだと嫌韓を掻き立てていた。大統領は、韓国からは初めて、死刑回避への日本の努力に素直に感謝を表明した。
- 釈放時のむくれ上がった顔を思い出す。足が悪いのは拷問の結果か。それでもこのトーンは、今の彼の北韓(北朝鮮とは云わない)に対する姿勢、和と協調を第一にしかし毅然として柔和にという難しい姿勢を真摯に追いかける態度が本物であることを伺わせる。日本の援助が真っ向から感謝されたのは今回が初めてである。非核平和主義を評価されたのも初めてである。過去のあら探しだけでは友達は出来ないのは判っていても、口にするには勇気が要ったであろうと拝察する。
- 毎回毎回日本の政治家が謝罪を口にする。今回もそうであった。これは我々の嫌韓の明確な理由である。現在の日本の現役は戦前を全く知らない世代で、その代表の政府が国交正常化も終わった国に何の理由で過去の謝罪をするのか。敢えて問われれば歴史上の事実として認識すると発言するだけで十分である。上が謝罪ばかりやると一般国民は嫌みな相手と敬遠するだけである。日本には韓国に深入りしなくてもやるべき事業は山のようにある。今回で終わりにしたいという意志表示は大統領の国会演説にはなかった。そのニアンスの気持ちがあると伝えられていただけにちょっとがっかりした。
- 国家元首の往来は間違いなく両国民間の親密度を増す。有機的に繋がり合うことが平和共存にどれほど意義があることか計り知れない。殊に韓国は隣国である。だがこの元首往来は来来で往はない。再三天皇訪韓の招待があるのだがなぜか実現しない。過去があるから不人気はやむを得ないが、金大統領のような死地をくぐるわけではない。かの地での天皇スマイルがどんな反響を呼ぶか計り知れないが、今後の両国の関係にプラスがあってもマイナスは決してない。招待への返事は「ありがとう。政府に任せた。」と言う内容だったと聞く。「直ぐにも行きたい。」が付いていたら素晴らしかったのにと思う。天皇訪韓時の話題にいやらしい政治問題が入るわけはない。先手先手の元首らしい行動をお願いしたいものである。知日派大統領の今ほどいい時期はないと思う。
('98/10/22)