えきねっと限定 大人の休日パス東日本SPの旅
- 9/25~9/29を掲題の旅行に使った。今回の目玉目的地は一関。ジパング倶楽部('25/9-10)誌に記載されたのが切っ掛けである。それを9/26とし、初日に松本、27日に前谷地、28日に左沢、29日に成田とした。介護要支援に認定されてから初めての旅行。腰骨への負担が怖いから、カメラも弁当も飲み物も菓子類も一切持たず、歩数は出来るだけ少なくする前提で計画。杖も止めよう。体調管理上出発は9時以降だ。日帰りで我が家に到着する時間を8時までとする。だがこうも制限が入ると観光地をめぐり歩くような旅は出来ない。自然と乗り鉄、駅鉄型の旅行になる。幸い好天に恵まれた旅行になった。
- 9/25松本着が13:35、発が14:50。松本には7年前に訪れている。それが2回目だったか(「大人の休日パス旅行('18/6)」)。今回は僅か1:15の滞在時間。これを松本電鉄(アルピコ交通)上高地線の乗車経験に当てることにした。3つ目の駅・信濃荒井駅までがぎりぎりだった。乗客は多く座席は埋まっていた。単線で、駅は無人駅だったが、待合室はきっちりしていた。到着前に電車は鉄橋を渡る。駅から歩いてその川(奈良井川)の土手まで行ってみた。鵜を何羽か見た。先日ブラタモリで上高地の清流・梓川を紹介していた。地図を開いて奈良井川が梓川と10kmほどさきで合流して犀川(千曲川の支流)になると知った。駅付近は住宅街で、道路は狭かった。新建材の住宅が多かったが、昔風の大きな和風家屋も何軒か見ることができた。
- 9/26一関着12:38、発15:48。観光に3時間10分とれた。一関に降り立つのは初めて。街は碁盤の目のような道路区画で判りやすい。まず旧沼田家武家住宅を訪れた。ほかに訪問者がいなかったせいもあってか、管理人がいろいろ教えてくれた。一関藩主家は田村氏で、伊達一族の3万石という仙台藩支藩である。伊達政宗の正室・愛姫は、そのころは三春にあった田村家からの輿入れだった。一関の田村氏はその縁であろう。沼田家は家老職300石で明治を迎えたとパンフレットに出ている。そう広くもない茅葺の質素な家屋だった。
- 世嬉の一酒造はごく近所だった。世嬉の一は一ノ関を逆読みにしたものとはすぐ判る。その敷地に醸造所ほか色んな観光施設が並んでいる。蔵元レストランせきのいちの「果報もち膳」が一関の名物。仙台藩から伝わった「もち食文化」が脈々と受け継がれていると情報誌に載っている。酒蔵とか米蔵とかの再利用で開かれたレストランはあちこちで経験したが、天井が高く、太い柱や梁の木枠がむき出しで、がっしり広い空間を支えている雰囲気はいいものだ。もう終わったが、NHKのふるカフェ巡りの番組にも蔵再利用店はときおり登場したように思う。
- 少し昼の時間から外れていたのに結構客が入っていた。果報もち膳は人気メニューのようだった。朱塗りの大型の碗9客(おのおの違ったもち料理が入っている)を、特製のこれも朱塗りの盆に並べて運んでくるから目立つこと目立つこと。一人旅らしい女性客が頬張っている。でも私は怯んでしまった。とてもそんなに食えない。量半分の一関餅膳にした。胡麻餅、ずんだ餅、あんこ餅、エビ餅と書いてあったが、沼エビは捕れなくなったのでと野菜の餅になった。これに雑煮が付くので私の胃袋では100%を越しそうだった。ただ食器は格落ちの実用品、なんだか惨めだった。幾分悔し紛れに、晩飯になら果報もち膳の量が食えるだろうから、次回は夕方来ると云ったら、このレストランは3時閉店ですとスタッフに言われた。みやげに六色もち弁当を買った。
- 土産物店に入ったら中国系の団体客がいた。こんな所にまで観光に来るのかと驚く。「世嬉の一」の2種を試飲。中辛か。清酒だけではないビールの醸造もやっていることを知り、もとは精米蔵だったというレンガ蔵の地ビール(いわて蔵ビール)醸造所を2Fから眺めることが出来た。私は丹原町(現・西条市)にあった「梅錦ガーデン丹原麦酒醸造所」、五島市三井楽町にあった「みいらくブルワリー」それぞれの地ビール工場を見た覚えがある。インターネットで調べたらどちらも撤退していた。地ビールは取り付きやすいが経営はなかなか困難なものらしい。いわて蔵ビールの今後の健闘を祈る。清酒・世嬉の一の醸造蔵の見学コースも歩いた。ステンレス製タンクが縦横にパイプで繋がっている。社長が杜氏蔵人すべて兼務という。
- 酒の民族文化博物館を覗いた。私は伝統の発酵技術を見るのが好きだ。醸造用具を、杜氏や蔵人が手作業で使う小道具まで工程別に展示してあった。竹の輪で締めた木樽は懐かしかった。松尾神社の掛け軸がある杜氏部屋があった。醸造所付設の展示室はあちこちで随分見たが、杜氏部屋を見るのは初めてだった。組織図は、杜氏の下に頭(副杜氏のような役割)を置き麹屋、酛屋、槽頭、釜屋、精米屋の5部門を束ねる。その下に助手と働き(新参)が入っていた。「頭」と「屋」の違いを考えた。頭は作業統率力がより必要なリーダーだという意味か。
- 浦しま公園に立ち寄る。一関藩主・田村家の迎賓館跡を利用した公園とある。こじんまりとした日本庭園だった。市立図書館は人口6~7万にしては大型で立派だった。ここが中央図書館で、市内には6ヶ所にブランチがあると館員が教えてくれた。市には国立高専がある。
- 9/27は仙台市北まわりのローカル路線を新幹線古川駅から陸羽東線、石巻線(ジーゼル車が走る!)、仙石線と乗り継ぎ仙台に至るコースを予定していた。しかしこれだと仙台では、仙石線の地下ホームから新幹線ホームまで、足弱にはぎりぎりと思える9分しかない。仙石線地下ホームからの通路は一度通ったことがあるが、不案内者には真っ直ぐに間違いなく歩けるかちょっと自信がない。予定を変更した。前谷地から引き返し、東北本線で仙台に行けば乗り換えに30分ある。これでも私には初経験の路線だ。
- 前谷地は気仙沼線と石巻線が別れる駅。大震災で気仙沼線の大半は今ではBRTのバスになっている。この線もまだ未経験だから、次回のパス旅行では気仙沼線でかろうじて残った鉄路のターミナル・柳津からバスで気仙沼に行く旅をしよう。
- 東北本線に乗り換える駅・小牛田(こごた)では、時間がとれたので周辺を見て歩いた。引き込み線待機線の多い大きな駅だったが駅員の影はなかった。仙台駅では仙石線地下ホーム~新幹線ホーム間を実測してみた。懸命に間違いなく歩いても8分はかかる。コース変更は正解だった。私の歳では乗り換え時間、エスカレータまたはエレベータの有る無し、トイレ時間を「真剣に」考えておかねばならぬ。ときおりトイレのない電車に乗り合わせる。2時間以上乗車するときが結構多いが要注意事項だ。
- 車窓から稲刈りの季節であることが判った。昔は至る所にあった稻束の天日乾燥風景は殆ど見れなくなった。それでも東北地方独特の、稻束を立て杭に垂直に重ね掛けで干す姿を1~2ヶ所で見かけた。Copilotによると、今はコンバインが稲刈り、脱穀、藁分離、籾選別、籾としてから別の乾燥工程に送る。つまり乾燥工程の順序が機械化のときに変わった。昔は干してから脱穀だった。風味に影響がある。ちょっと気になったのは、背の高い雑草が未収穫の稲穂のなかに生えている田がある風景だった。その田は収穫を諦めて放置したのか、それともコンバインは雑草などものともしないのだろうか。飼料用のコメかな。
- 9/28日は仙台から仙山線に乗り北山形で下車、左沢を目指す、この左沢線は初体験。左沢は「あてらざわ」と読む。全国屈指の難読地名だそうだ。私が乗車したときはジーゼルカ―が4両編成で走った。晩飯用弁当を仙台で買ったのは正解だった。もし山形で探していたら指定券列車には乗り遅れたろう。それほど山形での左沢線から新幹線への乗り換えへは時間がタイトであった。終点の左沢駅近くで、最上川が大きくU-ターンする見事な景色を見た。ターミナル・左沢駅を目指した大人の休日パス旅行者を何人か見た。話は前後するが、仙山線の緑のトンネルはYouTube動画推奨の通り見事だった。山辺ではどの駅も垣根はほぼクズに覆われていた。山寺は遠くからだが眺めることが出来た。駅近くにりんご園があった。いがぐりをつけた木を沿線で見た。
- 9/29は行き先を成田にした。不動尊参詣もあるがもう一つのお目当ては鰻重。成田にはウナギを食べさせる店がたくさんある。参詣のたびに店を変えている。
- 表参道から薬師堂前を折れ、光輪閣前の道と2度のエレベータを使って三重の塔が見える新勝寺本堂前まで到達。左の先の本堂を見てから引き返した。計画通り近江屋に入り、靴を脱いで和室風部屋で着席。正午に近づくと長い行列が出来る店があるのは知っていたので、早めの11時半頃に店に入った。上鰻重肝吸い物付き4200円。割と安いのである。うなぎ屋に価格協定でもあるのかどうか知らないが、成田はだいたいどこでもこんな値段だ。
- 給仕に来たおばさんは気さくだった。近江屋というからには滋賀県の出身、店頭の蒲焼き見本は関東風だが、注文すれば関西風に出来るのかと冗談を言う。No。成田で関西風に焼く店は「三はし」だったが、今はどうかなと問うたら知らなかった。「三豊」で同じ注文をしたかと問い返すので、あそこは繁盛で忙しすぎる、給仕に問い合わす隙など無かったんだと答えておいた。私が京都出身と知って、給仕のおばさんも京都で実家は油小路と言った。父は1億で手放すつもりだった敷地は、5千万にしかならなかったという話をした。
- 昔からこの店は隣の隣などに比べると客足の少ない店。比較的空いているせいか外人客が多い。たいていは連れがいる。和室に上がり、まごまごしながらウナギ、天ぷらを喰う。そばを食っているヤツもいた。私が出るころ客の6割が白人系外人だった。そういえば盛岡の椀子そば屋でも同じようなことがあった(「卒寿第3回大人の休日パス旅行」('24))。ちょっと空席がある店に日本だけの興味津々の食い物。一人では入りにくいが、何人かだとみんなで渡れば怖くない心理になるのだろう。
('25/10/11)