プライド・運命の瞬間


第二次大戦の日本側の戦争犯罪を裁く目的で開かれた東京裁判を、真っ正面に見据えた映画が公開された。東条英機が絞首刑になって今年が丁度半世紀というから良い企画である。見に行きたいと思いながら行けず、行けるようになったら終わっていた。だが、この映画に対する中国の反響を聞いて、逆に中国を考え直す機会を与えてくれた。
中国の反応として伝えられた話は駐日大使のアナウンスその他の公人のものである。日本人は正しい歴史認識が必要だ。東条の見解など伝える映画を製作公開すべきでない。まあこんなつもりで云っている。裁判の判決文がいわゆる正史で、敗者の歯ぎしりなど取り上げるのは、百害あって一利なしと言っているように思う。映画は連合国側と東条の激しいやりとりに、当時の身動きならぬ日本を浮かび上がらせたというから一方的な東条思想の宣伝映画ではないし、第一そんな映画なら誰も見に来ない。中国の公人たちの言い方は、ただただ連合国側の判断を恐れ入って聞けと云う「ご指導」のたぐいで、民主制が根付いていない国家とあらためて認識する。
次から次へ中国人の大量密入国が発覚する。密入国組織で船底に隠れてやってくるもの、偽装結婚、残留孤児子弟偽装者など。尖閣列島には中国人が領有権を主張して上陸を繰り返す。東シナ海での資源保護を無視した異常な乱獲と日本漁船韓国漁船の排除。近頃急に多くなった外国人の犯罪に占める中国人の割合は大きい。戦前からの中華街と中国人に抱いていた親しい印象が、警戒すべき覇権国国民としての印象に変わりつつある。映画への「ご指導」よりもこんな犯罪や紛争の種まきへの「ご指導」を公人たちによろしくお願いしたい。
この「ご指導」問題には毎日新聞の社説(6/24)にちょっとだけ触れていた。多様な意見が自由に話せる日本の社会を、しっかり理解して欲しいと云った柔らかな不快感の表現であった。映画の内容に踏み込んだのが京大学生新聞(6/20)であった。東京裁判の判決が勝者の敗者に対する一方的な処罰で、公正とは言い難いと一刀両断にしているのではないが、破れた日本側の再評価が無価値ではないことを云っている。勝者側にこの機運が生まれる頃に真の友好の道が開けると思う。中国公人の発言はその道のりがまだまだ遠いことを自覚させた。

('98/06/25)