核反対、地雷反対


インドの核地下実験がニュースになり、その國の知人に反対の手紙を送った。前に書いたが、フランスがやったときも、中国がやったときも反対声明をそこの国籍の知人に送った。日本人の中だけで「君も反対か、僕も反対だ、意見が合ってよかったよかった」と云っているだけでは何も反対したことにならないというのが私の意見である。地雷反対を入れたのはついでである。
フランスからも中国からも何も云ってこなかった。それでも知人に云う方が政府に宛てて手紙を書くよりは、同じ蟷螂の斧であっても、効果があると思う。というわけで、ひいひい云いながら英語で手紙を書いた。何しろ英語が準国語の國である。完璧な英語を書く相手なので結構手間がかかった。だが、私は英語を国際語と認めるにはKing's Englishではだめで、もっと規則的な、外国人が容易に使える英語にする必要があるという意見であるから、ついでながら不規則変化はなるべく訂正して書いた。
例えばI hear him singは私の英語ではI hear him to singである。まだ動詞の活用を全部規則化するところまではやっていないが、追々例外を省いた文で練習してみたい。発音も辛うじて外人が聞き分けるJapanese Englishで上等である。我々は逆立ちしてもシェークスピアの英文を書けるはずもないし、そのつもりもない。だから英語は、最小限の意思伝達が可能であれば、どうだって良いのである。学びやすければそれでよいのである。
アメリカがえらく張り切って制裁を口にしている。ずば抜けて大量に核を保有し、唯一の人間殺傷の実績のある国がそんなことを言えた義理かと思う。アメリカそのほかの核保有国のなすべき道は毎年継続的に核の保有量を削減して、着実に核が無くなる方向に世界が進んでいることをアピールすることである。未臨界核実験で核爆弾の改良を進める國が何を云っても、当事国に冷笑されるだけである。少数保有国の中で最も大切なのは中国の決意である。インドの最大の脅威はいつも勝っているパキスタンではなく、中国である。かって中国は領地問題を種にインドに攻め入っている。その中国が核を持つことが、インドの核保有願望の最大の理由のはずである。
インドに続いてパキスタンも核実験に踏み込むであろう。核爆弾保有に対する両国民の熱狂ぶりはどうだろう。年々の世界最大の援助は、世界政治に対する日本の唯一とも云って良いフィロソフィー「核廃絶」に何も役立たなかった。今後は願いをあからさまに条件にして援助をしてはどうか。現実的なのは援助をお役所任せではなく、現地に設置する、民間有識者を含む援助審議会議に任せることである。
さすれば、援助を要求する人は、援助を行う人の強固な意志を、顔を合わせることで毎々理解するであろう。それから、顔の見えない土木工事のような援助はもう止めて、ボランティアが引き受けねばどうにも成らぬ援助に主体を移すのである。ボランティアが来るかどうかが額を決めたらよい。外交官をはじめとするお役人だけでは反発への事なかれが先に立って、日本の目標など「云っておきました」程度に済んでいると思うがいかが。ともかく援助の分だけ核開発を助けた結果は残念で仕方がない。

('98/05/18)