3月の概要(2023)

岸田首相がウクライナ首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談した。G7首脳としては最後の現地訪問である。G7広島サミット(我が国は今年の議長国)前で時期的にも適切だった。台湾への中国の侵攻が危惧されている今日では、民主主義陣営の有力国が断固支援する姿勢を誇示することは大切だ。ただし憲法九条厳守の姿勢を世界にアピールすること。
スイス金融大手クレディ・スイスの金融不安説が市場に流れたが、スイス金融最大手UBSが買収合併することで収拾された。スイス国立銀行と金融監督当局の後押しで2日間という短期間で処置が終わった。
オーストラリアが'30年代に原潜を導入する。米英豪の安全保障枠組み(AUKUS)に基づく対中強化策。フィリッピンは南シナ海南沙諸島を巡る紛争を契機に、米日豪が対中防衛協力の強化を推進している。
ホンジュラスが台湾と断交し中国と国交を樹立した。アメリカの裏庭:中米・カリブ海ではパナマ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ニクアグラに次いで5国目。訪米前の蔡総統にとっては打撃であった。
中国の仲介でイラン・サウジの外交が正常化された。中東の緊張緩和に資するであろうが、米国の影響力の退潮をも示す出来事である。
全人代2023で習氏が中国国家主席に全会一致で3選された。新人事では胡錦濤(前主席)色は一掃された。
韓国側の徴用工問題解決案が3/6の毎日朝刊に出た。「日本「おわび」継承」という見出しが入っている。日本はもう何回も内閣首班が変わるたびに「お詫び」「お詫び」をしているのではないか。今回は、韓国最高裁判所の国家間条約無視の判決による韓国の行政対司法の問題で、その解決に日本にお詫びを確認させるという。3/7の毎日には「完全決着に懐疑も」とあり、政権が変わればまた再燃する可能性を指摘した。それが反目状態を100年続かせる結果になっても、「お詫び」に関する実りのない議論を排除すべきだと思う。
3/16尹(ユン)韓国大統領来日、岸田首相と会談。首相は韓国の元徴用工訴訟の解決策を評価し、シャトル外交再開に同意した。安保対話が再開され、対韓輸出規制は緩和される。「お詫び」に関する報道はなかった。
3/2の毎日の「侵攻が変えた世界」は、ロシアの中国への経済依存が急上昇していると報じた。欧州が経済制裁で天然ガスを買わなくなったのを受けて、中国は'19年の3倍を買っている。(ただし中国、インドが購買を増やしても欧州の量には達しない。)貿易高は'18~'20年ごろより8割は増え、年総額1900億ドルになった。ロシアの国別貿易高としては最大だ。今までロシヤ側が否定的であった黒竜江を跨ぐ自動車専用道路が開通している。
3/3の「侵攻が変えた世界」は、ウクライナの戦場がドローン戦争になっていると報じた。自国製のほかに中国、イラク、トルコ、イスラエルよりの輸入品が幅を利かせている。中国製には1機54万円という安値の機種があり、大量配置を可能にしている。侵攻開始以来有人の爆撃機や戦闘機による戦闘ニュースはほとんど聞かない。
3/4の「侵攻が変えた世界」は、EU天然ガス供給網の変化で、ロシアからの輸入量が1/4ほどに下がり、主力がノルウェー次いでアメリカ、中東のカタールの順になっている。アルジェリア産がロシア産の代替として注目されているが、パイプはフランスの原子力事情を反映してフランスに到達していない。日本は原発に舵を切っている。
3/6朝刊でロシア軍がウクライナ東部主要都市バフムトの包囲網を狭めたと知る。3/23時点の報道では包囲戦は完了しておらず、岸田首相との会談直後にゼレンスキー大統領がバフムトを訪問している。ロシアはベラルーシに戦術核を配備する。
「春闘」では大手労組が相次いで満額回答を得た。公定地価の2年連続上昇が報じられた。地方圏住宅地が28年ぶりに上昇した。
当選後一度も登院せず海外滞在を続けたガーシー参院議員が参議院から除名された。政治家女子48党(旧NHK党)所属の全国比例選出議員。
毎日の3/12の社説は、退任した黒田日銀総裁の異次元の金利緩和を「無理を重ね禍根残した10年」と総括した。ゼロ金利だから政府は赤字出し放題のバラマキ財政になり、それこそ異次元の大借金(国債)をこれからの世代に残すことになった。産業界もゼロ金利とバラマキ頼りになり、世界との競争意欲を疑うぬるま湯的経営が全国に蔓延し、GDPの伸びが先進国の中では最も低い部類になってしまった。成果!の円安が、同日の「時代の風」は、ドルと株を保有する資産家層を喜ばせているだけだと酷評している。株価の上昇は、金融緩和で世に出た現金が株に流れた結果である。そのお金はほとんど目的であった消費に回っていない。
昨年度出生数が80万人を切った。私が社会に出て10年目頃、すべてが上昇期にあった日本の出生数が200万人(戦後第2のピーク)ほどだったから、その4割以下になろうとしている。しかも数年前から人口減少が加速化している。なりふり構わぬ出生数向上策が必要だ。何度もこのHPに登場させているが、ローマ皇帝アウグストゥスがやった紀元前18年の「ユリウス正式婚姻法」(本HP:「パクス・ロマーナ(中)」('05))式の強力な方策を打ち出すべきだ。
長崎県の諫早湾干拓事業潮受け堤防の開門に関する最高裁の判決は「不許可」で、漁業側の敗訴となった。そもそも農産品自由化の中で、継承できている漁業を不利にするこんな干拓事業にどんなメリットがあったのか、バラマキの土木事業ありきの工事ではなかったのか。20年をかけて争われた不毛の訴訟だった。開口型の湾の長い堤防の写真を見るとため息が出る。
セブン&アイHDはヨーカ堂店舗を2割削減する。ヨーカ堂は洋品店「羊華堂」が原点。祖業の衣料店から完全撤退する。
袴田事件再審が東京高裁差し戻し審で認められた。すでに事件以来57年を経過している。裁判の遅さは勝っても負けても被告の人生を破壊する。司法に時間制限を導入すべきではないか。
京都市が「空き家税」を'26年度にも設置すると発表した。江戸時代の米の売り惜しみのように、社会では住宅不足なのに値上がりを待つ投機対象の空き家が増える不自然は阻止して当然だ。各都市は見習うべし。
新型コロナ感染者数1週間平均が3/5時点で1.1万弱/日となった。3/17、それが8千弱/日に落ち着いた。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に5/8から移行する。ワクチン廃棄分が契約数の9%で、2120億円相当と報じられた。2725円/回。
3/2夕の毎日特集ワイドに、エーザイのアルツハイマー新薬「レカネマブ」の開発秘話が出た。遺伝性アルツハイマー症の研究から、脳に蓄積するタンパク質アミロイドベータが注目され、その抑制に有効とされるレカネマブが創薬された。レカネマブは米国で今年1月に「迅速承認」され、日本では同月、承認申請された。ただし高価で、米国では年360万円という。
春一番(関東では3/1)が吹き花粉の季節となった。花粉光環が報告されるようになった。スギ花粉等の球形に近い花粉で光が回折して発生する大気光学現象という。
JAXAのH3ロケット(だいち3号:可視光などで地表を観測する光学衛星を搭載)が2/17に続き3/7も打ち上げに失敗した。2段目エンジンの着火に異常があった。2段目はH2Aのを改良した程度という。三菱重工が主力受注会社になり、日本の機械工業の技術を結集したロケットだったと理解している。三菱重工は15年かけた国産ジェット開発から撤退(「2月の概要(2023)」)したばかりである。検査システムに問題があるのではないか。JAXAは昨年10月の小型主力機イプシロンロケット6号機にも失敗している。北朝鮮のICBMが次々に試射に成功しているのになんたることか。
理研が国産初の量子コンピュータを公開した。IBMは'21年に商用機を川崎に設置している。
フィギュアスケートの世界ジュニア選手権(カナダ・カルガリー)に、女子シングルスで14歳の島田麻央が初優勝を決めた。合計得点224.54点はシニアを含む今期世界最高得点(ISU公認)。昨年12月のジュニアグランプリファイナルと合わせ世界ジュニア2冠となった。続いて17歳の三浦佳生が264.74点で男子シングルスに優勝した。四大陸選手権に続く快挙だった。世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)では、ペアに三浦・木原(りくりゅう)組が今期世界最高の222点あまりで優勝、年間グランドスラムを達成した。日本勢では全種目を通じて初めて。男子は宇野昌磨、女子は坂本花織が連覇を果たした。
東京ドームでのWBCは連日観客で一杯だった。日本代表は1次リーグB組を全勝で通過し、準々決勝でイタリアを征した。フロリダでの準決勝ではメキシコを倒し決勝ではアメリカを2:3で下し優勝。MVPは大谷翔平選手。栗山監督の選手掌握が光った。第72期王将戦は藤井聡太王将が、かっての王者・羽生善治九段の挑戦を退け初防衛を果たした。また棋王位を渡辺明名人から奪取し、最年少6冠になった。大相撲春場所を新関脇・霧馬山が征した。モンゴル出身。
ノーベル文学賞の大江健三郎氏死去。劇団民芸代表の奈良岡朋子さん死去。個性派女優として光っていた。

('23/4/1)