10月の概要(2022)
- トラス英首相が辞任を20日表明した。大型減税策が市場の混乱を招くなど国際的な信頼を失墜した責任を取る形という。保守党新党首のスナク元財務相(42)が25日新首相に就任した。スナク氏の両親はインドよりの移民で、英国始まって以来のアジア系首相とメディアは騒ぐ。インドも歓迎。
- 中国共産党大会が10/16開幕、習近平総書記の3選が決まり、李首相ほか3名の中央委員は引退。習1強体制がさらに強化された。台湾統一の実現、製造強国志向、共同富裕などがうたわれた。
- 岸田首相訪豪。日豪安保新宣言で互いが事実上の「準同盟国」となる。
- イタリア新首相に右派連合政権のメローニ氏。初の女性首相。
- ロシアが併合を宣言した翌日の10/1に、ウクライナは東部ドネツク州の都市リマンを奪回した。ロシアは占領域にあるザポロジエ原発の国有化を発表した。10/9の毎日に、クリミア半島とロシア本土を結ぶ海峡大橋(クリミア大橋)の爆破が伝えられた。ロシアは首府キーウを含む全土20を越す都市のインフラを狙った報復ミサイル攻撃を実施。100人以上の死傷者を出した。国連総会の緊急特別会合は「併合無効」の決議案を採択。143ヶ国賛成、5ヶ国反対、中印を含む35ヶ国が棄権。29日、クリミア半島のロシア海軍基地が無人機で攻撃された。ロシアは対抗するようにウクライナからの食料輸出合意からの離脱を発表した。
- 北朝鮮の弾道ミサイルが、10/4日本列島(青森県)を飛び越して太平洋EEZ外4600kmの位置に着水した。予告もなしに日本上空を原爆搭載能力のある飛行物体を通過させる行為は、明らかに恫喝行為である。その後も短い距離の弾道弾を日本海に撃ち込んでいる。
- 本年度のノーベル医学生理学賞に独マックスプランク研究所、沖縄科学技術大学院大学のスバンテ・ペーボ教授が選ばれた。絶滅人類デニソワ人の遺伝解析に対する功績。Wikipediaによると、デニソワ人はネアンデルタール人と近縁なグループで、80万4千年前に現生人類であるホモ・サピエンスとの共通祖先からネアンデルタール人・デニソワ人の祖先が分岐し、64万年前にネアンデルタール人から分岐した人類であることが推定されている。毎日10/6の余録でペーポ教授は「日本人はネアンデルタール人とデニソワ人双方に由来するDNAを持っている」(cf.「大論争 日本人の起源」('22)、「日本人の先祖は縄文人」('22))と発言している。ホモサピエンスとの混血はチベット、中国南方、フィリッピン先住民からメラネシアにかけて濃厚である。
- 物理学賞は、量子もつれを実験的に証明した欧米(仏、米、オーストリア)の3氏に授与される。量子コンピュータの可能性が膨らんだ(ref.「量子コンピュータ」('20)、「情報工学のあらまし」('21))。化学賞は米国の2教授、デンマークの1教授の3氏に分子合成研究、創薬への貢献に贈られる。文学賞はフランスの小説家が受賞。平和賞はロシア、ベラルーシ、ウクライナの人権侵害記録をとり続けている活動家や団体に贈られる。侵害者の主体はロシアである。ロシアとベラルーシでは関連活動家や活動団体が政府より拘束されあるいは解散させられている。経済学賞はアメリカの3氏。金融危機が起きる仕組みを解明し、その対処法を示した。
- 英THEが今年の世界大学ランキングを発表した。100位まででは日本勢は東大、京大の2校のみ(シンガポールと同数)でそれも順位を下げている。上位10位までが英米系。100位までには中国本土7校、香港5校、韓国3校が入っている。ノーベル賞を出したこともない大学が東大、京大の上を行き、すでに受賞者の出た北大、東北大、東工大、名大が100位にも入らない。メディアや世に言う識者の一部は、ことあるごとにこのランキングを自論の傍証に取り上げるが、英米中心のこのランキングをいつまでも有り難がるべきでない。
- 10/9の毎日の「時代の風」に、日本GDPの史上最高額は'12年の6.3兆ドル(野田首相時代)で、'19年には5.1兆ドル(安倍首相時代)と2割も下がっていたと書かれていた。改めて国葬決定の「軽さ」を思う。国会での追悼演説を野田氏がおこなったというのも皮肉な話だ。
- 政府の「総合経済対策」が閣議決定を見た。国として29.1兆円、自治体負担分を入れて39兆円、民間支出を入れると71.6兆円の規模になる。超大負債がさらに膨らむ。この大型バラマキで物価1.2pt下げを狙う。バラマキは何度も行われたが、日本だけは成長率が低いままだった。欧米の金利引き上げが続くのに、我が国だけは大規模金融緩和策を続ける。
- 旧統一教会による被害対応として、政府は「解散命令」を視野に入れて「質問権」を行使する。又今国会に被害救済法案を提出するという。このようなカルト教団に対し多数の国会議員(ほとんどが自民)が何らかの友好関係を持っていた。24日山際経済再生相(衆院神奈川18区選出)が辞任(事実上の更迭)した。接触の事実を外部から指摘されるたびに後追い釈明を繰り返した。最後は教団の韓総裁との接触事実だった。自民議員の何名かは、'21年衆院選挙前に、旧統一教会の求めに応じて政策案に署名している(朝日新聞)ことも判った。国民にとって危険な行動だと思わないのだろうか。
- 10/9の毎日に、「大阪府「特例」天下り23人、公募せず知事推薦」という記事が出た。「維新規制条例自ら骨抜き」ともあった。
- 10/10の新型コロナ感染者数は全国で1.3万人に減少した。第8波がインフルエンザと同時に襲来する懸念が論じられている。名工大・平田教授は正月中頃が第8波ピークと予想している。
- 10/12円急落で一時146円台後半につけた。24年ぶりという。世界が金利を上げる中で、経済規模が縮小し続けている日本だけのゼロ金利異次元緩和が、歪みを作らないはずがない。政界経済界は目先の小揺れを恐れて、その日暮らしを続けている。何時かは日本は再起不能の大打撃を受けるだろう。10/14為替相場は148円台に顔を出した。停まらぬ円安に、毎日の「焦点」は「経済力低下「負け組」の代表」という見出しをつけた。2022年4―9月の累積赤字額は11兆円。年度半期ベースで過去最大だった。9月の消費者物価は前年同月比3.0%上昇。21日深夜152円に接近したとき円買い再介入が行われ146円台に戻った。数兆円規模の大型介入とされている。
- 大阪高裁は7月の参院選の1票の格差(最大3.03、都会住民が割を食っている)を「違憲状態」とした。都市市民の1票を軽んじる議員(ほぼ保守勢力優勢の地方人口希薄帯選出)など要らない。カルト宗教への色目使いもそうだが、おおよそ国家の本質と品格にかかわる問題に、私利優先を思わせる人格の持ち主には政治を任せられない。
- 10/3の毎日によると、大阪大発の製薬ベンチャー「アンジェス」が新型コロナウィルスワクチンの開発を中止した。投資額は約130億円で、その内の国費は75億円という。臨床試験は大阪市立大付属病院で最終段階まで来ていた。大阪府知事、大阪市市長などの政治的思惑が絡んで、専門家の発言より進んだ期待が先行した。
- 国産ワクチン等の開発にはほかに塩野義製薬などに490億円、第一三共などに320億円、VLPセラピューティクスなどに190億円、KMバイオロジクスなどに240億円の補助金が出ていて、いずれも臨床試験中という。研究開発に失敗はつきもの、75億円をどうこう言わないが、政府が補助している最終段階の試験の数が多すぎる、日本の財政事情から見れば当然2件ぐらいに絞るべきだ。他国ではもうとっくに実用化して市販しているワクチンの開発方向を絞る見識さえないと言うことか。
- 富士フイルムは14日、富山化学(東京・中央)が新型インフルエンザ用に開発した抗ウイルス薬「アビガン」について、新型コロナウイルス治療薬に転用するための開発を中止すると発表した。
- 12日JAXAの固体燃料ロケット・イプシロン(6号機)が打ち上げの6分28秒後、姿勢制御問題を起こし、破壊指令で爆破された。初の打ち上げ失敗。
- 東工大と東京医科歯科大は'24年を目途に合併する基本合意書を交わした。
- プロ野球のパリーグ最終戦でオリックスが逆転連覇を果たした。セリーグ最終戦で、すでに優勝のヤクルトの村上宗隆選手が、56号本塁打を放った。王選手の持っていた日本記録(55本)を越し、セリーグ打撃三冠王(本塁打、打率、打点)になった。日本シリーズではオリックスがヤクルトを4勝1敗1引き分けで下し日本一になった。米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が投打で規定回数に到達した。メジャー初の快挙。
- ゴルフ日本女子オープンを勝みなみ選手が逆転で連覇した。日本オープンゴルフ選手権でアマの蝉川泰果選手が優勝した。卓球世界選手権(成都)では男女とも日本チームは中国に敗れた。張本智和選手が中国のナンバーワンとナンバーツーに勝ったのは収穫であった。サッカー天皇杯で、J2甲府がJ1の5チームを破って優勝した。フィギュアスケートGPカナダ大会で、シングルは男(宇野昌磨選手)女(GP初出場の渡辺倫果選手)とも、ペアは「りくりゅう」三浦璃来、木原龍一組が制覇した。ペア優勝は日本勢としてはGPシリーズ初めて。
- ソウルのハロウィーン雑踏で日本人女性2名を含む153人が転倒で死亡した。
- アントニオ猪木氏死亡。元プロレスラーで、参議院議員も務めた。
('22/10/31)