終活

サンデー毎日'19年の「終活」特集号3冊(4.7増大号@、9.1号A、9.8増大号B)と中沢まゆみ著、小西輝子監修:「おひとりさまの「法律」と「お金」」、WAVE出版(2013)Cを借り出した。米寿を迎えたのを機会に、「終活」のアウトラインを知っておこうと市図書館の蔵書を検索した結果である。
@はライター・早川幸子氏の解説:「完璧な終活第6弾 "争続"防ぐ遺言指南」4pを載せている。冒頭に「お金はあってもなくても揉め事の火種になる。」とある。私は「なくても」の部類だから心配したことがなかったが、よそ事としては関心があった。ことに係累には「おひとりさま」がいるし、またいたのでその方からの関心もある。「おひとりさまで法定相続人がいない」ときは、財産は国のものになるという。ある場合は知っておったが紛争勃興を恐れて、ある場合は長年没交渉であったまま死なれて、相続放棄をやったことはある。このときも国に収納されたのだろう。遺言書に書いてあれば、特定の団体(お寺やNPOあるいは母校などなど)に寄付が可能になるとある。
法定相続人とか遺留分の話はどこかで聞いた話がぼんやりと頭に残っている。でも遺言執行者の知識は皆無だった。彼が指名されていないと、相続手続きに往生するケースがあるそうだ。法定相続人全員賛成でなければ執行できないから。海外在住者とか認知症患者が含まれているときのケースが書いてある。遺言執行者とは?を税理士法人レガシィのHPで眺めてみた。
遺言者の配偶者や子供など相続人の中から選任することも可能とある。「なくても」の部類の平凡な家庭はこれだろう。選任が必要なケースに、隠し子がいるときや相続人の排除が望まれる場合をあげている。恨み重なるあの野郎とか「早う死なんかい」式の介護者は排除組へ入れられるのだろう。その手続きを家庭裁判所で行わねばならないため、遺言執行者の選任が必要だという。遺産分割、寄与分、遺贈には遺言執行者の選任は不要。
本文、署名、日付は手書き。財産目録はPC作製可。土地の登記簿謄本や銀行通帳のコピー添付も認められる。自筆証書遺言の法務局での保管制度もある。紛失、改ざん問題に対応している。
Aは露木幸彦氏の解説:「完璧な終活第25弾 一筋縄ではいかない家族とお金〜前妻の要望で遺言書 愛人の子にお金を残したい・・・〜」4pである。私の周辺には再婚者はいない。元妻とか元夫とは無縁である。読み飛ばしてもいいのだが、何か気になる。しかし私のような環境にあるヒトの確率はごく低いらしい。直近では4組に1組以上が再婚組だという。法律は血縁ファーストだから、"元"への手当は、一手間も二手間も掛かるというのが説明の前置きだ。
ケーススタディが4件掲載されている。愛人との子を"遺言認知"し"家族信託"でお金を残す。愛人の"婚外子"に財産を譲りたい。前妻からの"退職金狙い"を恐れて遺言書を。婿養子でも"遺産協議"に呼ばれず。私の周りは"品行方正"な方々ばかりか(外に漏れていないだけかも知れないが)、離婚騒動も愛人騒動も聞いたことがない。でも(私を含めて)寄る年波は逃げられず、ついにおひとりさまになった、なって行く縁者友人知人は次々に出てくる。最後の婿養子のケースはその意味で割と応用性がある。
私らの年代層には姉さん女房は滅多にない。だから概して妻の方が長寿だ。そのために長男の嫁はときおり悲惨な目に遭った。夫が死んだあとも義父母を看取る介護に明け暮れたが、義父母の遺産は世話をしなかった相続人の手に渡って、嫁には全く入らなかったという話はときおり起こった。養子縁組を生前にしておかねばならない。ただ'19年からは介護看病者に特別寄与料を請求できるようになった。
Bは古田雄介氏の解説:「完璧な終活第26弾 墓じまい完全マニュアル」4p。
墓じまいには「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」があって、新たな遺骨の居場所が求められる。お墓の引っ越しはとかく面倒な手続きが必要(墓じまいチェックシートには16項目が並んでいる)で、閉眼供養、墓石撤去、新墓設置と費用も結構掛かる。お寺から高額の離檀料を請求された例が出ている。最近は樹木葬とか納骨堂に収められるケースが増え、従来のお墓と半々になったという。独断で墓じまいをしてトラブルになるケースが上がっている。知らなかったが、レンタル墓や死後事務委任契約を使う手もあるという。
5/21の毎日に「墓じまい」の1面広告が出ていた。永代樹木葬が前面に押し出されていた。入会金を入れて全53万円ほど。
Cでは第2章の「離婚したいと思ったら」以外の3章を読むことにした。
第1章は「葬儀と相続には、ドラマがいっぱい」。
喪主にならなくても、近親者の葬儀を経験したら、誰しも葬儀は戦争と実感するであろう。預金口座は、銀行が預金者の死亡が判った時点で、相続が確定するまで入出金がストップされてしまう。自動振替の電気ガス水道やクレジットカード支払いは変更手続き要注意。自動引き落としのサブスクリプションとか会費も要注意。故人の健康保険は死亡とともに失効する。扶養家族のヒトは一刻も早く国民健康保険に加入せよとある。
相続に関し、養子縁組という便法が乗っている。遺書がない場合などに有効だ。2種あって普通養子だと両方の相続が出来る。借金の相続もあるから、遠縁のヒトの突然の相続話は要注意とある。「スープの冷めない距離」にあって雑多な音信交流が絶えない程度の信頼関係がないと受け取る方も二の足を踏む。期間を限って相続放棄はできる。その場合には他に相続人がいなければ遺産は国庫納入になる。被相続人の遺産が元サラリーマンの稼ぎ程度なら相続税の心配はいらないだろう。
第3章は「お金は大事、損しない」。
身の周りにおひとりさまがどんどん増えて行く。若くてあるいは働き盛りで独身を通しているヤツはあまり心配しないが、高齢ことに後期高齢者には注意している。注意すると言っても日頃のお付き合いの範囲内だから限定的だ。本書に出てくる事例などからも判ることだが、おひとりさまの方から積極的に、これと決めた相手に、微妙な変化の気配が伝わるように情報開示を日頃から心がけておく必要がある。
「おひとりさまの老後は危険がいっぱい」という節がある。自治会だよりにまで詐欺とか悪質勧誘とかが顔を出す。人ごとではなく我が家も臨戦態勢にある。おひとりの高齢者はいいカモらしい。ことに女性は狙われやすい。本人に代わって財産管理をし、本人が締結した不利な契約を取り消すことが出来る成年後見制度がある。この制度は認知症対策だが、お金を損する問題だけではない。生活全般への相談相手として親身になってくれるヒトを、老齢に達するまでに作っておかねばならない。
「生命保険や年金保険をどう考える?」という節は、そろそろ人生の先が読めるようになったころに読むと値打ちがある。日本には、終身雇用の伝統があった。定年を迎えると家1軒をもち、あとを悠々自適?で暮らせるような仕組みになっていた。公的年金制度はその延長先にある。他国と比較したことはないが、平均寿命が急伸長したのにもかかわらず、その精神は生かされている。同様に我が国の公的健康保険制度、公的介護保険制度も充実している。民間の諸々の保険商品に投資するのは、+アルファ的ならいいが、将来をかけるような投資にすべきでない。資金回収率はたぶんというより当然競馬競輪クラスだろうから。
第4章は「おひとりさまが病気になったら」。
かかりつけ医は大切だ。その理想が書いてある。でも100点満点の先生などいやしない。私は、長年、近所の病院の内科の常勤の先生を杖とも柱ともたのんでいた。ところが先生は遠くの別病院に転職してしまった。今は「かかりつけ医」のいない「かかりつけ病院」と考えてお世話になっている。このギャップは自分で勉強してカバーする以外にないと諦めている。病院は、先生方の移動がことに非常勤では結構多い。彼らはたいてい大学派遣で、最新治療法については詳しいヒトが多く、それはメリットだと思っている。
いい先生を選べ、いい患者を志せとある。医師と満足なコミュニケーションを取る工夫が書いてある。医師が苦痛の訴えを聞き取ってくれないと嘆く患者がいる、診察室の外で聞いていると、くどくどと同じことを何遍も言う患者にも会う。医師の返事が全くなかったり、素人判断を笑うような表現をとったり(我が身のことは自分が一番よく知っていると思っているヒトは多いし、半分は事実である)、専門語がらみの難しい表現だったり、コミュニケーション以前の問題があると感じる場面にときおりぶつかる。重大な診断が下るときは、理解力のある親族とか知己に同行を頼むといい。
インフォームド・コンセプトが行われるときとか、入院保証人、手術承諾書などにも親身になって健康な判断の出来るヒトが必要だ。身内でなくても良い。意識不明になったときのために、医療の事前指示書を書くように進めている。死後の臓器提供には年齢制限の目安があることは知らなかった。献体が大学では過剰になっているとは驚いた。「墓地がないから」で、献体では火葬費は大学持ち、実習に遺体が使われるので遺骨返還は何年か後になる。
第5章は「おひとりさまの終わり方」。
突然死は滅多にない。だんだんとあの世に近づく。スーパーやデパ地下に行くようになって、最近気付いたことがある。お年寄りがよく似た作りの手押し車で買い物に来ることだ。車は小さな買い物袋がついた、しっかりした構造で杖代わりになっている。ブレーキ付きにもしばしば出会う。私の使うキャリバッグとは違う。この手押し車は介護用具店が介護保険サービスの一環として貸し出しているものらしい。「介護のはじまりは「要介護認定」の申請から」という項があり、「ケアマネージャーの質が介護を左右する」という項に続く。
すでに成年後見制度には一度触れた。「認知症の味方、成年後見制度」の項にはさらに詳しく書いてある。おひとりさまは、まだらぼけが始まる前に、任意後見人契約を結ぶべきだ。認知症が始まっているのを知らずに任意後見契約した友人が、すべてをお任せする「よろず処理係」にされた例が載っている。よろずは財産管理に関わる。その委任契約(代理権)と遺言書を入れた3点セットがトラブル防止に必要だ。
「高齢者ホームについて知っておく」の節は、介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム(特養)から始まる。特養は要介護3以上で、月20万円以上という有料老人ホームなみのものもあるという。老人福祉施設にはほかにも養護老人ホーム、経費老人ホーム、ケアハウスなどがあるという。認知症グル−プホームというのもある。
近所に有料老人ホームがいくつもある。経費の違いには驚かされる。サービス内容もころっと違う。たぶん最後の大型買い物になるのだから、すぐには契約せずによく比較検討し、かつ契約書内容をきちんと把握せよと書いてある。サービス付き高齢者向け住宅(サ住)が急増している。こちらは高齢者が住みよい構造にした賃貸住宅で、介護は外部業者との別途契約になるのが普通という。
最後の節は「遺言だけは忘れずに」。年賀状のやりとり程度になっていた友人が逝ったという通知をもらったことがある。大学教授まで務めたがもう天涯孤独のはずだった。通知人に電話を入れて聞いたら、親以来の交友関係だったから葬式も出したと言った。私は礼を言って電話を置いた。その葬儀執行人が遭遇したであろうことがいろいろ書いてある。厄介なのは遺品整理だ。「愛犬」を残されたらどうする。あの葬儀執行人は「相続財産管理人」になったのかな。
遺言の種類、書き方、葬式のいろいろにも触れてある。

('22/5/29)