2月の概要(2022)
- 近年希な大雪の2月であった。
- 毎日新聞の少子化考にフィンランドの出生率低下が載った。'10年には1.9ほどだった合計特殊出生率が年々低下し今は日本並み。移民が補っているが(今総人口の8%まで増加)、人口は減少傾向となり、福祉国家の維持に暗雲が垂れ込める。昔はジェンダーギャップと出生率との相関が唱えられたが、それよりも女性の社会進出と個人主義の伸長が、伝統の社会通念を変えだしたのが大きいという。我が国の出生率や人口はフィンランドよりずっと深刻。人口維持のために極端なほどの子ども養育優遇策が今必要だ。
- 今月に入り、ロシアが10万の陸軍でウクライナ国境を取り囲んだまま離れず、アメリカとNATO諸国を刺激していた。グルジア(現ジョージア)の一部、クリミア半島を謀略と軍事力で強奪したときと同じやり口で、今回は、ウクライナ東部のロシア系住民の多い地域を取り込む国境線変更を強行するのではないかと、西側の警戒心・猜疑心を煽っている。
- 2/21ついにプーチン大統領は、ウクライナ親露派支配地域(独立承認)への派兵を決めた。ケニア国連大使が、アフリカの苦難の歴史を重ねて、当時の帝国主義国と同じ行動だと非難した。24日、ベルラーシ国境、東部ロシア国境、ロシア占領中のクリミア半島境界から一斉に戦車先頭の侵攻が始まった。首都キエフ近郊を始め、ウクライナ国内各所の軍事基地が、空陸3方向からの攻撃で破壊された模様。25日、ロシアは侵略占領の意図を明らかにした。全面降伏武装解除とロシア傀儡政権樹立を狙っている。チェルノブイリ原発が占領された。27日には第2の都市ハリコフに突入、市街戦になっている。
- プーチン大統領のヒットラーもどきの侵略戦にほぼ全世界が非難の声を上げている。中国は国連安保理の非難決議に棄権した。ロシアは拒否権発動。
- 西側は武力支援と経済制裁に踏み切る。米国は400億円規模の緊急軍事支援を発表、ドイツも一転して武器供与に踏み切った。対戦車、地対空などのミサイルが含まれている。2/26米欧主要6カ国とEU欧州委員会は国債決済網からロシアを排除することで合意した。日本も参加する。また拒否権行使で機能しなくなった安保理に対し、国連総会特別会合が米国とアルバニアにより安保理へ要請された。これに対する拒否権発動はない。ただしその会合には法的拘束力はない。
- 毎日新聞は「差別を伝える〜(在米)日系人強制収容80年」の解説記事を載せた。ドイツ第三帝国の、ユダヤ人に対するアウシュビッツ収容所ほどの悲惨さはなかったが、18万人を超す日系人が、監視塔と鉄条網のある収容所に戦中隔離された。蓄積してきた社会生活基盤から根こそぎ排除されたため、日系人は、解放後また一からの下積み生活になった。同じ在米でもドイツ人、イタリア人には収容騒ぎはなかったから、その黄色人種に対する偏見差別ぶりは、永劫に忘れることができない。
- フランスのマクロン大統領は、10日、新たに原子力発電所6基を国内に建設すると明らかにした。さらに8基の増設も検討するという。既存原発の耐用年数も50年以上に延ばす方針。我が国も、国内では太陽光発電も風力発電も限界が見えている今日、放射性廃棄物処理問題解決(「正月の概要(2022)」)を急ぎ、その方向に進むべきだ。
- 黒田総裁就任('13/3)以来の国債大量購入で日銀の保有高は530兆円と4倍以上にふくれあがった。ETF(上場投資信託)も36兆円以上まで買い進められた。この途方もない日銀の債権は、金融政策をがんがら締めに縛る結果になる。経済成長促進あるいはインフレによる貨幣価値低減しか正常化の道がないが、今の日本にはそんな行動力はない。黒田総裁は日本破綻の第一級戦犯になる可能性が高い。
- 民法の「嫡出規定」見直し案が、戦後80年近くなって、ようやく国会早期提出と決まった。それも出生児のDNA判定の入らぬ古色蒼然たる見なし記述の塗り替えだ。出生児の無戸籍問題は改善されるであろう。
- 旧優生保護法下での不妊手術強制に対する大阪高裁裁判で、国に賠償命令が出た。旧法を違憲とし、20年超過による「除斥」を適用しなかった。
- セブン&アイHDが、米投資会社の要請を受けて、事業成績がよくない百貨店そごうと西武を売却し、好調のコンビニ事業に重点をシフトするという。西武HDがプリンスホテルなど30施設をシンガポール政府系投資ファンドに売却(ca.1500億円)する。落日の観光事業を象徴する話。
- '21年度当初での公立校教員の定員未達成(2558名)が、現教員の残業慢性化と教員応募者減少につながっている。毎日の2/3の追跡に、長時間労働が常態化する国家公務員の絶望と改革への動きが出ていた。確かに、身近にいる吏史を見ていると、公務優先私生活後回しの執務姿勢が気掛かりで、労働のあるべき姿ではないと感じる。
- 新型コロナ感染者数は2/1全国8.2万弱、東京1.4万強(病床使用率50%強)、2/2東京2.2万弱(大曲氏予測(「正月の概要(2022)」)と一致)、2/5全国10.1万弱、2/10全国10.0万弱、2/14全国6.0万強、2/28全国5.1万、東京1.0万弱。2/2の3回目ワクチン接種率4%(自衛隊接種会場予約はすぐに埋まる盛況なのに、その他の接種が進まない。)、2/14で9.4%、2/27で19.3%。
- 第8回京都賞シンポジウムで京大医のMア洋子教授は、ワクチン接種副反応(発熱、接種位置の痛みetc.)が大きい方が、免疫発生力が高いと述べた。
- 2/9の毎日は、現在「1〜2類」扱いの新型コロナをインフルエンザの5類なみの扱いに緩和しようとする動きが政治家に出ているとした。感染のピークアウト(頭打ち)(2/10前後)後の高止まりを尾見氏は警戒している。塩野義製薬が抗コロナウィルス飲み薬の申請が間近だと発表した。2/10ファイザーの飲み薬「パキロビッドパック」が認可された。
- 第6回エリザベス女王工学賞に、ネオジム(永久)磁石の佐川眞人氏(神戸大→東北大の工学博士で発明当時は住友特殊金属(現、日立金属))が選ばれた。この賞は賞金100万ポンド(1.56億円)の大型国際賞で、佐川氏は4人目の日本人受賞者。ネオジム磁石は従来になかった高い磁束密度によりハードディスクドライブのアクチュエーターからEVやハイブリッドカー用モーターにまで応用され、技術革新の一つの要となっている。
- 2/3の毎日のクローズアップに札幌の'30年冬季五輪誘致運動が出た。日本は昨年の東京五輪で懲りたはずなのに、またまた五輪五輪と騒ぐのは、民衆の空気から随分ずれていると感じる。年々派手な演出や拡大する競技種目による予算膨張で、五輪に立候補する都市が減少し、常に政治問題でIOCが揺さぶられている。五輪は精神性を大切にした素朴な古代ギリシャの原点に戻るべき。今の五輪では、火傷すると判っているのに、手を出すような馬鹿な真似はしないことだ。W杯だけで十分だ。
- 北京オリンピック(2/4〜2/20):スキーフリースタイル男子モーグルで堀島行真選手が銅メダル。ノルディックスキージャンプ・男子ノーマルヒルで小林陵侑選手が金、ラージヒルで銀。渡部暁斗選手がノルディック複合個人ラージヒルの銅、団体は渡部兄弟、永井秀昭、山本涼太の4選手により銅。フィギュアスケート団体(男子SP:宇野昌磨、男子フリー:鍵山優真、女子SP:樋口若菜、女子フリー:坂本花織、ダンス:小松原夫妻組、ペア:三浦・木原組の8選手)はオリンピック初の銅。個人戦男子で鍵山選手が銀、宇野選手が銅、女子では坂本選手が銅。ペアは7位入賞(日本初)。
- スピードスケート女子1500m、500mで高木美保選手が銀、1000m金。男子500mで森重選手が銅。アイスホッケー女子が予選を1位で通過した(オリンピック初)が準々決勝で敗退、6位。スノーボード女子ハーフパイプで富田せな選手が銅(初)、男子も平野歩夢選手が金(初)。スノーボード女子ビッグエアで村瀬心椛選手が銅(冬・日本女子で最年少)。木美帆、菜那(姉妹)、佐藤綾乃の3選手が女子チームパシュートで銀。カーリング女子(吉田智那美、夕梨花(姉妹)、鈴木夕湖、藤沢五月および石崎琴美の5選手)も銀(日本初)。日本は金3、銀6、銅9計18個のメダルを獲得し、新記録になった。
- 将棋の藤井聡太竜王・王位・叡王・王座が王将位を獲得、5冠年少記録を更新した。
- 元都知事、元国会議員の作家・石原慎太郎氏死去。
('22/3/1)