4月の概要(2021)

元慰安婦第2次訴訟で、ソウル中央地裁は4/21、国際法上の「主権免除」を認め、原告の請求を却下した。同地裁は今年1月第1次訴訟判決で、日本政府に賠償を命じている。ただし、その強制執行については国際法上、日本政府の資産は差し押さえはできないと決定している。
日韓請求権協定は,日本から韓国に対して,無償3億ドル,有償2億ドルの経済協力を約束する(第1条)とともに,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない(第2条)としている。日韓請求権協定が成立している中でのこの騒ぎだ。韓国との交際は当面は中止すべきだ。
米大統領はアフガニスタンからの完全撤兵を宣言した。'01/9/11の同時多発テロから20年、アフガンの不安定状況は続いているが、無期限駐留は終了する。NATO軍も歩調を合わせる。
米中は特使間で温暖化に関するパリ協定順守の共同声明を出した。
菅首相訪米。4/16米大統領との会談後の共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性」「香港と新疆ウィグル自治区の人権問題への「深刻な懸念」」に触れた。
中国の1〜3月GDPの前年同期比が+18.3%と言う驚異的な数値になった。アメリカは+6.4%。我が国のそれは−5.5%と予想されている。コロナ禍、経済、五輪の三兎を追った結果である。
「世界長者番付」が発表された。ビリオネア(保有資産10億ドル以上)の数は過去最多を更新。2755人となった。今年の番付に入った富豪たちが保有する資産は、合計およそ13兆1000億ドル(約1445兆円)。昨年の約8兆ドルから大幅に増加した。最もビリオネアが集中しているのは、1149人が番付に入ったアジア太平洋地域だった。1位アメリカ、2位中国、3位ドイツで、インド、香港やシンガポールは15位までにあるが、日本は入っていない。我が国は存外に個人ベースでの所得格差が低い国のようだ。その反面、大企業の内部保留と言う形での資本が470兆円にも増大している。これは法人税引き下げの継続が、国の財政赤字増大を尻目に進められたツケでもある。
4/21の毎日は、中国人民解放軍の指示を受けたハッカー集団が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など約200の国内の研究機関や企業、大学などに大規模なサイバー攻撃をしていた疑いがあることが捜査関係者への取材で判明したと報じた。警視庁公安部は20日、中国国営の大手情報通信企業に勤務するシステムエンジニアの中国共産党員を私電磁的記録不正作出・同供用容疑で書類送検した。彼はすでに帰国、また元留学生ですでに帰国した男性にも同様の疑惑が掛けられている。
4/22の毎日は、「チャイナリスクに警戒 日本企業「撤退せぬが、正直怖い」 個人情報筒抜け?/米との対立/人権問題の踏み絵」という解説記事を掲げた。
上海モーターショーに50万円の価格破壊EV車が登場した。中国自動車大手の上海汽車集団や米国GMの合弁会社が出品する軽自動車並の大きさで、継続走行距離120km、最高速度100km/hという。IT会社からの出品も目立つ。
4/25の衆議院北海道2区、参議院長野と広島の選挙では、いずれも野党系候補が議席を取った。注目の広島は接戦であった。名古屋市長選では河村現市長が5選を果たした。その他の地方首長選挙では相変わらず保守系優勢である。
4/28の毎日に、福井県知事が40年超の原発3基の再稼働を認めると出ていた。
日立製作所は米IT企業のグローバルロジックを総額約1兆円で買収する。グローバルロジックは米国のシリコンバレーに本社を置く'00年設立のシステム開発会社で、世界14カ国に2万人を超える従業員が在籍する。日本郵政が、'15年に約6200億円かけて買収した後も業績低迷(投資直後にすでに4000億円を超える減損を強いられた。)が続く豪州のトールの経営再建策として一部を切り売りする。売却に伴い、'21年3月期連結決算で、700億円規模の特別損失を計上する見通し。日本郵政の火遊びは、結局は国民の負担になる。しかも責任の所在がはっきりしない(4/23毎日社説)。
半導体大手ルネサスの那珂工場(茨城県ひたちなか市)で3/19発生した火災は自動車生産に大きな影響を与えると予想される。同工場で作られる製品の大半は世界的に不足する自動車向けの半導体。5/中にはフル稼働に戻すという。経済産業相は、台湾の半導体メーカーに代替生産を依頼すると言明(3/30)。
東芝の「ものいう株主」封じに英国投資会社CVCが株式公開買い付け(2兆円以上)を提案した(4/20取り下げ)。株式を非公開とし、経営への干渉を防ぐという。CVCから受ける利益追求の方がましだというのか。4/9の毎日の余録は、「からくり儀右衛門」「日本のエジソン」から始まる東芝の輝かしい歴史と、今日の世界の金融資本、というより、はげたかファンドの利食い投機対象になる凋落ぶりを対比させた。不正会計と米原子力子会社の失敗で、売れる事業を切り売りにした結果である。4/14車谷暢昭社長兼CEOが辞任した。新社長は元社長の綱川智氏。彼は東芝育ちだが、他の取締役はすべて外部からの人という。
大阪市内での聖火リレーが取りやめとなった。政府は大阪、兵庫、宮城の3府県の計6市に対し、飲食店への営業時間短縮などを命令できる「まん延防止等重点措置」を適用することを正式決定した。4/5発令。4/1の感染者数は東京が475名(100名:西浦教授正月発表の第4波食い止めの目標数字)、大阪が616名(65名:第4波食い止め目標、東京との人口比例で)。
感染力の強い(1.3〜1.7倍)変異株の蔓延が盛んに論じられ出した。今までの一重変異株に加えて二重変異のあるインド株が日本にも上陸している。今まで以上の、一度感染して回復した人の再感染、ワクチン効果の低下が心配される。アメリカは5/1インド滞在外国人の入国原則禁止令を出した。西浦教授は4/30の毎日の「新型コロナ」欄で、感染者が増えすぎ(インドは日に30万人)、集団免疫が出来掛かると、その免疫を免れる変異株が出てくると言う主旨の解説をしている。
4/13大阪はついに1000名を突破。4/29に死者44名(都道府県単位では新記録)。大阪府の吉村知事は前回緊急宣言解除を先走った。好転願望を愚かにも行政に反映させてしまった。西浦教授は14日、大阪府の確保重症病床数224床(重症者数は13日時点ですでに233人)にたいし、今月下旬には楽観的に推移しても重症患者が病床数の倍以上になるとした。
仲田教授(経済学、東大)らは4/25までのデータにより東京の感染者数は100名/日なら収束に向かうが、250名では7月第1週に1200名を超す第5波のピーク、500名では8月第3週に1880名を超す第5波、年末には第6波が2000名を超す大きさで来るとした。正月に発表された西浦教授の第4波に対する免疫統計学的予想は正鵠を射ていた。その予想と軌を一にしている。統計学を信じて政策を決めるべきだ。
東京、京都、沖縄にも4/12に「まん防」発令。20日からさらに埼玉、千葉、神奈川、愛知。計10都道府県。東京、大阪、兵庫、京都に4/25〜5/11予定の第3回緊急事態宣言が発令された。だが繁華街や交差点にさほどの「密」減少効果は出ていない。「データ分析による因果関係の解析」('20)に書いているとおりの結果だ。政府は一挙にロックダウンに向かうべきだ。
NHKによると、4/24時点の世界のワクチン接種回数(100人あたり)は、立ち上がりの遅れた韓国ですら日本の倍以上になっている。アジアでは中国、インド、インドネシアがトップ18に入っている。日本の立ち後れは呆れるばかりだ。政府とその与党自民党公明党は、経済、休業補償、五輪などコロナから見れば副次的問題にばかり関わりあって、根本解決の問題を半ば意識的にあと送りにしている。
週刊文春4月8日号は「菅「ワクチン敗戦」」と言う題で、「日本は(ワクチン確保競争で)なぜ先進国最下位になったのか」を論じた。政府の現計画では、やっと高齢者の免疫獲得がぎりぎり間に合う程度で、それ以外の国民は免疫性がないまま、五輪の開催を迎えることになる(「正月の概要(2021)」)。4/10の毎日に、中止してオリンピック村宿泊設備を軽症感染者病棟に回すべきという議論が出ていた。政治の最優先事項は、お祭りではなく感染者救済である。毎日新聞の4/18の世論調査では、ワクチン接種を遅いとしたのが75%だった。
訪米中の首相はファイザー社CEOと電話会談し、ワクチン追加供給で9月中(五輪は7月)に国民全員接種を終える手はずにしたという。イスラエルは首相-CEO会談でワクチンを確保し、昨年から接種を開始している(「正月の概要(2021)」)。接種率は世界トップですでに6割を超す、日本は僅かに1.32%(少なくとも1回接種した人、4/26)。首相の行動力の差が如実に表れている。4/27首相は、東京と大阪に1万人規模の集団接種会場を、自衛隊の手で、5月に開設すると発表。
4/9の毎日に、「コロナ肺障害に生体移植(京大病院、世界初)」の記事が出た。回復後の後遺症には頭痛や発熱、嗅覚障害、睡眠障害、疲労・倦怠感、呼吸困難、関節痛、胸痛)などの数々が報告されている。オックスフォード大の大規模調査によると、新型コロナウイルスの診断から半年以内に、不安障害や脳卒中など精神や神経の病気と診断された人は、およそ34%に上ると推計されるという。重症化した人ほど、割合が高くなる傾向がみられた。後遺症としてインフルエンザより割合が多い。
福島原発処理排水を2年後に海洋投棄処分すると政府が発表した。欧米中国韓国各国は原発からの同様の排水を海洋に大量に投棄している。問題のトリチウムは放射能医学的に安全範囲のごく微量であり、工学的に除去不可能であることは明らかな物質である。漁業従事者の、「風評」被害を理由とする、日本政府だけへの反対はおかしい。
4/22の毎日夕刊によると、日本の原風景「棚田(千枚田)百選」の4割が面積を減少させ、中には藪化したものもあるという。存続の鍵は若手と都市住民という。農村が田んぼ文化を自分の手では維持できないとは情けない。
米民間宇宙船「クルードラゴン」が国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。クルードラゴンには日本の星出彰彦飛行士(船長)ほかの計4人が搭乗。回収型の宇宙ロケットである。
春の甲子園高校選抜野球を東海大相模が制した。コロナ禍回避に徹底した対策が取られた上での開催成功だった。規模が違う五輪にそんな対策が取れるはずがない。五輪は中止すべきだ。世論調査では国民の大半が反対で、近頃は欧米有力紙まで反対声明を出している。北朝鮮が参加中止を発表した。競泳日本選手権の男子200m平泳ぎで、佐藤選手が日本新記録をだした。白血症から復帰した池江璃花子選手は大会4冠を達成し、400mリレーと400mメドレーリレーの五輪代表に内定した。ゴルフの松山英樹選手がマスターズで優勝。男子日本選手での海外メジャー初制覇であった。
青色LEDで'09年京都賞、恩賜賞、文化勲章、文化功労者、'14年ノーベル物理学賞受章者の赤崎勇先生死去(「青色LED」('15))。俳優・田中邦衛氏死去。「椿三十郎」「居酒屋兆治」などでの個性的演技が印象に残っている。脚本家(「おしん」「おんな太閤記」「春日局」「渡る世間は鬼ばかり」など)・橋田壽賀子さん死去。文化勲章受章者。「おしん」は本HPに多く引用している(「母への挽歌」「歴史人口学で見た日本」「蟹工船、一九二八・三・一五」「馬」「蚕糸王国・岡谷」「酒田」など)。

('21/5/1)