12月の概要(2020)

英国とEUがFTA、運輸、司法、安全保証に関し合意した。関税のない自由貿易が維持される。日英EPAは来年早々に発行する。これで我が国は英国離脱前とほぼ同じ自由貿易体制になった。
イスラエルがモロッコとの国交を回復した。トランプ政権の仲介による。イスラム圏ではアラブ首長国連邦、バーレーン、スーダンに次ぐ4番目の国になった。
政府は12/15の閣議で、「2020年度第三次補正予算案」で19兆円の国債を新規発行する。その半分は経済施策向けである。これで今年度の国債発行は112兆円に上る。赤字は出し放題で財政健全化の道は全く示されていない。コロナを隠れ蓑とする目玉政策への出費が目立つ。12/21の閣議決定で、21年度予算は上記補正予算を合わせた15ヶ月予算と名付け、過去最大の106.6兆円規模になった。4割が国債による借金。12/22の毎日社説は「コロナに乗じた野放図さ」と書いた。借金は地方と併せて1200兆円の累積になる。私の現役時代に比して金価格は3倍になった。築何10年の中古マンションが新築売り出し時の価格を超している。戦後インフレで国の実質借金は大軽減された。円の将来不安から、金や不動産への投資が(他国に比し)異常になるのは当然だ。
12/25の毎日に、「桜を見る会」問題の安倍前首相不起訴、公設第一秘書の略式起訴が出た。吉川元農相元自民衆議院議員の収賄容疑および黒川元検事長の博奕容疑再捜査も同じく一面記事として出でていた。
自民、公明両党は10日、2021年度与党税制改正大綱を決定した。新型コロナウイルス感染拡大への対応が柱。固定資産税の据え置きやエコカー減税の延長など、税負担を軽減するメニューがずらりと並んだ。脱炭素化やデジタル化など、首相の肝いり策を税制で後押しする減税も新設した。'22/1より後期高齢者の現在1割負担者のうち、年収200万円以上は2割負担に増額される。
12/2新型コロナによる1日の死者が41名出た。新記録。医療切迫が各地より報告されだした。12/5全国の新型コロナ重症患者数が520名になり記録を更新した。重症者用病床使用率が50%のステージ4に大阪が到達、東京、沖縄もそれに近くなった。大阪では非常事態宣言の赤信号が点灯した。NHK、毎日に東京医科歯科大付属病院で重症者受け入れ不能状況の詳細が報じられた。5日の全国患者発生数は2509名。10日2972名。依然増加中。政府の言う勝負(期待)の第3週の終わりは15日。12日、ついに3000人を超す新記録の感染者発生を見た。東京も621人の新記録。
北海道民間病院に陸上自衛隊の看護官が派遣された。大阪にも派遣。医療体制最後の防波堤にまで追い込まれている。17日東京800人超の速報。この2週間の死者は急増して550人。12/22死者計3千を超す。12/26すでに4日連続で全国感染者数が過去最多を更新した。東京は29日時点で15日間連続曜日最高を更新している。
英国からの帰国者5名に感染力7割アップの変異種が発見された。28日には南アの変異種が帰国者7名に感染していたことがわかった。
12日の時点では政府は未だにGoToの来年6月までの延期を取り下げない。そればかりか相変わらず経済との両立をめざすと言う。もうコロナ抑制最優先を国が先導する時期がとっくに来ている。だのに政権は根拠の薄い楽観的予想の下で、8割のGoTo反対世論をなだめるように、甘いお願いベースの感染対策しか言わない。全滅に近かったインパール作戦と同じだ。その一方で、経済重視で大盤振る舞いした持続化給付金への不正があとを絶たず、6千件30億円という無視できぬ高額に上っている。都市封鎖をやるべき時期はとうに来ている。NHKは、29日、上海ではもうマスクなしで済ませる状態であることをを見せた。この日中の差は明確に菅政権の失政の結果である。年末の帰省ラッシュは今年は避けられた。民衆にはそれなりの良識が働く。結集できないのは政権の読みが甘いからだ。
ついに12/14菅首相は11/28〜1/11のGoToトラベル全面停止を打ち出した。「勝負の三週間(西村大臣)」の最終日でも一次波終焉期の3.7倍の人出であった。GoToキャンペーンが人混みの密を解禁したと国民に捉えられたことは明らかだ。こうなることは「データ分析による因果関係の解析」('20)ですでに明らかなことなのだ。
NHKが、マスクが無症状感染化に役立つという論文を紹介した。マスク着用によりウィルス吸入が減少し、自然免疫体制が効果的に対応している間に中和抗体を産生する獲得免疫を得ると考えられる。本HPの「新型コロナ7つの謎」('20)にも同じ主旨の解説がある。横浜市大は、中和抗体が感染から半年後 も98%の人に残ることを、376名の回復者へのアプローチで検証した。
欧米では今月初旬から医療関係者にワクチン注射が始まったが、日本の関係者にはまだまだ先のようだ。日本ではワクチン供給がなぜ遅いのか。
12/20のNHK SP「パンデミック 激動の世界(6)「“科学立国”再生への道」」を見た。WHOデータベースの新型コロナ関連論文数で日本は世界の第17位にすぎなかった。司令塔がない、研究の主役たるべきポスドクの不安定雇用状態と博士コース学生の減少などが取り上げられた。日本の研究陣は、過去に輝かしい成果があるのに、どんどん劣化して行く。私には、将来に向けていっこうに動かない、文系のみによる政治が一番の原因であるように感じる。
12日の毎日新聞と社会調査研究センターによる世論調査では、内閣支持率が11/7調査に比し17%急落し40%となり、不支持率が49%に上昇した。なお12/7の共同通信世論調査では、菅内閣支持率は12ポイント急落し50%になった。同じ日の読売新聞世論調査では、支持率が61%だった。読売と共同通信、毎日、朝日の間にはいつも支持率に関し、読売側に+10%ほどの差が出る。なぜだろう。
BS朝日の「龍宮は舞い降りた〜1300年の時を超えて甦る薬師寺 ▽大講堂再建のドキュメンタリー」で、あの白鳳伽藍復興事業と言う大事業が、国費や公費に一切頼らない「お写経勧進」によるものだと知った。私は「11月の概要(2019)」などで、国費による首里城再々建に苦言を呈している。一度は国費で立派に再建された。再々建は、利益享受の地元が大半を負担するのが筋である。清水寺の門前町消防隊と対比しているが、防火活動にすら地元は傍観的であったのではないか。沖縄最大の琉球王朝の菩提寺・円覚寺は戦災後復興されなかった。寺は文化の一大中心。県民の文化意識はどういうものか、クルーズで立ち寄ったときに疑念を感じた。
大阪地裁は関電大飯原発3、4号機への国の設置許可を違法とした。いずれ敗訴の関電から高裁へ上訴されるであろう。原発を巡る地裁と高裁の判断が分かれるのは5例目だという。私は基本的に司法の理工学レベルを疑っている。高度で複合的な理工学問題である。裁判官に何人の理学博士、工学博士がいるのか。おそらくゼロだろう。裁判官に判断力があるといえるのか。
トヨタ自動車は第二世代(初代から6年ぶり)ミライの市販を開始した。水素燃料電池車で未だ高価(7〜8百万円)だが、究極の環境対策車。水素ステーションの普及とコストが問題。
鳥インフルエンザが全国的な広がりを見せだした。西日本ですでに(14日現在)336万羽の鶏が殺処分された。
筑波大発のベンチャー企業によるゲノム編集トマトが商業生産に入る。ガンマアミノ酪酸(GABA)の含有量が高いトマトになる。GABAは高血圧抑制に効く。
11日朝のNHKで、八丈島付近にゴンドウクジラが500頭いると知った。太平洋、日本近海の鯨がアメリカの捕鯨船の乱獲により絶滅に近い状態になってから100年、やっと回復してきたかと嬉しかった。
小惑星「りゅうぐう」探査機「はやぶさ2」が無事故で6年の旅を終え、オーストラリアの砂漠で回収された。岩石サンプル採集は成功していた。
今年の上原賞は、京都大ウィルス・再生医科学研究所の影山龍一郎教授と慶応大医学部の吉村昭彦教授に贈られた。副賞3千万円。前者は幹細胞の分化の特性を明らかにし、後者は免疫の仕組みを分子レベルで解明した。
アメリカンフットボールの東西大学王座決定戦「第75回毎日甲子園ボウル」で関学大が42―24で、「悪質タックル」問題から帰ってきた日大を破った。
都大路恒例の高校駅伝では、男女とも広島県立世羅高校が優勝。男女とも走力抜群のアフリカ人留学生選手が優勝に導いた。ほかのチームにも留学生選手がいて、ごぼう抜きの走力を見せ、順位を上げていた。京都の洛南高校男子チームは日本人選手だけの場合の高校記録だったが、それが3位でしかなかった。外国人スカウトに成功したチームが優勝するのでは、スカウト合戦のための駅伝になる。見ていて興味をそがれるレースだった。びわ湖マラソンと大阪マラソンが統合される。
バトミントン全日本総合選手権男子シングルス優勝は桃田、女子は奥原、ダブルス男子は遠藤、渡辺組、女子は福島、広田組であった。フィギュアスケート全日本選手権男子シングルスで羽生結弦が優勝、女子では紀平梨花が4回転を決めて優勝。'02年に世界で初めて安藤美姫が決めて以来日本人選手としては2人目の女子4回転である。ほかにロシアの選手2人が決めている。スピードスケートの全日本選手権女子で、高木美帆が全種目(5種)を制した。
人間国宝の講談師・一龍斎貞水死去。落語家・林家こん平死去。「石狩挽歌」の作詞家、映画にもなった「長崎ぶらぶら節」の直木賞作家としても知られる、なかにし礼死去。

('20/12/31)