8月の概要(2020)U
- 7/31の新型コロナ・感染者数は全国1580人、東京都463人、愛知県193人、福岡県170人、沖縄県71人でこれまでの最高記録を更新した。大阪の最多数は7/29の221人 。7割近くが20〜30台。重症者、死者が少ないと言う安心宣伝は聞き飽きた。第2波は政治の責任である。7/31沖縄県知事は県独自の緊急事態宣言を発令した。沖縄は人口10万あたりの近直1週間の感染者数は全国一の22.37人である(8/2)。愛知県も「独自の緊急事態宣言」。ワクチン接種が行き渡るまでは全国を緊急事態とすべきだ。中央、自治政府の自粛要請だけではもはや第2波の拡大は防げないところにきた。政府と与党の自民党、ことにGOTOの直接責任者:赤羽一嘉国土交通相を出している公明党は、強権発動体制になぜ踏み込まないか(8/1記)。
- 政府のコロナ分科会は(第2波の)感染者発生数ピークが先月末(データ実際は8/8頃)だったと発表した。第2波を括弧にしたのは、「今まさに第2波の真っただ中」と感染症学会理事長が発表したのに、西村大臣が第2波の定義が不明確だとして用語として使わないからである。口先技術で我らの不安をコントロールできると思っているのだろう。8/24時点で、死者中60歳以上の割合が95%を占める。その日の毎日の「余録」に、日本初の大規模検疫は、日清戦争帰還兵に対するもので、後藤新平が統率したとあった。彼は医学校出身の当時37歳の官僚。お友達内閣でもかまわぬ。しかし高度な科学技術世界になった今日、閣僚の半数は理系であるべきだ。今はゼロではないか。重症者発生数のピークは8/14頃、死亡者発生数のピークは8/23。
- 大相撲、歌舞伎座公演、プロ野球試合、大型飲食店など忠実に対策を取っている映像は安心させるが、近隣の飲食店などには、おおよそ危機感のないやり方をしている店がある。強制が必要だ。
- 政府は、米製薬大手ファイザーが開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、開発に成功した場合、来年6月末までに6千万人分の供給を受けることで同社と基本合意したと発表した。接種は1人2回。アメリカでは1人分4000円。このmRNAワクチンは新しいタイプで世界で承認された例がなく、日本においても安全性と有効性の確認が課題となる。ファイザー社は2021年より供給を開始するとしている。ロシアがワクチンの治験を完了したと発表した。科学的データの詳細を発表しないから世界は眉唾もの?と思っている。8/25の毎日に、「中国(シノファーム)ワクチン販売へ〜年末にも1回7500円以下」という記事が出た。要2回接種。世界で最終段階の治験に進んでいるワクチンは7種あり、その半数が中国系だという。
- 吉村大阪府知事が、ポビドンヨード型うがい薬使用で新型コロナ陽性率が減少したとして、このうがい薬使用を推奨する発表をした。41人の実験結果。識者は殆どが効力に対し慎重発言。トランプ大統領推薦の薬(専門家が後日否定した)の例もある。吉村知事は先月はワクチン研究に口出しした。科学を、自分を目立たせるための材料にしている。
- BS1スペシャル「原子の力を解放せよ〜戦争に翻弄された核物理学者たち〜」は大戦末期の日本の原爆開発事情(海軍(大佐レベル)→京都帝大委託)を、米軍調査団報告、押収資料、科学者日記などを駆使して纏めていた。受託は核実験物理学の荒勝文策教授。基礎〜ベンチ実験の研究段階だった。委託から敗戦までわずか1ヶ年。アメリカは'42年にはマンハッタン計画(研究員数千人、20億ドル)を立ち上げた。取り組みの鈍さは歴然としている。日本の指導層は、巨艦巨砲の過去の延長線上にしか未来が描けなかった。八木アンテナ(八木大阪帝大教授発明)すら、電探(レーダー)への応用をイギリス軍からの押収機器により教わる始末であった。
- ドイツは原爆には力を入れなかったが、新技術ロケットV1&V2をものにしている。現在でも日本政界中枢部のこの未知分野への臆病さは「伝統」になっていて、科学技術の開発に後れ(「科学技術立国のたそがれ」('20))を招いている。アメリカが日本の原爆研究に気付いたのは、洋上拿捕のU-ボートに日本行きのウランが積まれていたことだったという。荒勝は原爆投下後の広島に調査団を3回送り、軍部のいう新型爆弾が原爆であると科学的に同定した。敗戦で実験設備を破壊され、実験ノートまで押収されて、荒勝はその後の核研究を断念した。最後に、シンクロトロンで研究する成木恵京都大准教授を映し出した。大学の素粒子研究の伝統は引き継がれているようで、ホッとした。
- 湯川秀樹京都帝大教授は原爆開発研究のメンバーの一人だった。日記には東条内閣の科学者総動員方針に従うという記載があると、13日の毎日が報じた。研究者の戦争協力だとか何だとかあげつらう人が多いが、それは平和時の議論で、民族が生きるか死ぬかの戦中では協力が当然であろう。戦後の湯川は核兵器廃絶・科学技術の平和利用を訴えたラッセル〜アインシュタイン宣言に参加し、原子力委員会では、急進的な正力(読売新聞社社主)と相容れず辞任している(Wikipedia)。今日の原発事業の泥沼状態に対して慧眼であったといえるのだろう。
- 今年の「猿橋賞」にニュートリノ実験研究の市川温子京都大准教授が選ばれた。猿橋賞は女性科学者に贈られる歴史ある賞(「ダーウィン展」('08)、「四月要諦」('09))。新工夫の装置が新知見をもたらしたという。
- 8/4日大ラグビー部でコーチが飲酒強要、部員の頭にようじを刺す暴行をしたことが明るみに出た。メディアへ情報を漏らしたとされる部員に対し暴力団まがいのメールを送り、中には家族にも危害を加える可能性を暗示する内容があった。コーチは無謝罪のまま辞任。日大の、アメフトであれだけ世間を騒がせた反省の結果の、選手ファーストは微塵も感じられない。
- 将棋名人戦に渡辺王将・棋王が勝ち3冠王になった。藤井棋聖が王位を獲得、八段に昇格した。最年少の2冠・八段になった。
- 開園してから94年の遊園地「としまえん」が廃園になった。跡地にアメリカ映画「ハリー・ポッター」のテーマ・パークが計画されている。
- 大相撲7月場所を照ノ富士が13勝2敗で30場所振りに制した。モンゴル出身で、怪我と内臓疾患のため、大関から最後は序二段まで落ちたが屈せずに再起した。
- 前回五輪で我が国バトミントン界初の金メダリストになり、今の黄金期のきっかけとなったタカマツ組の高橋選手が年齢(30歳)理由に引退した。
- 山崎正和氏死去。文化勲章受章者で大阪大名誉教授。劇作家として評論家として幅広く活躍した。毎日新聞は「時代の「灯台」を演じきる」という見出しの弔文を載せた。「国家権力を相対化」し「あるべき保守を示す」ヒトであった。翌日27日の毎日に「知力で戦後日本支える」と題した五百籏頭真氏の追悼文が出た。知的巨人であった。引退していた政治家・渡部恒三氏が死去した。衆議院議員(福島県)を連続14期務めた包容力のある保守進歩派だった。ご意見番として愛された。最後は民主党最高顧問であった。俳優・渡哲也死去、漫才師・内海桂子死去。名脇役の岸部四郎死去。
('20/9/1)