5月の概要(2020)T

5/3の毎日は、半年後の米大統領選有力州の世論調査では、どこもハイデン民主党候補が優勢だと伝えた。
世界の景気後退は長期(2~4年)か。我が国の1~3月期GDPが年マイナス3.4%だった。2期連続減。4~6月期は戦後最悪のマイナス20%と予想される。
8日の発表で、アメリカの非農業部門の失業率が4.4%→14.7%(2050万人減)と急激に悪化したことが解った。リーマンショックでも10.0%だった。日本は2.5%を維持している。30日の毎日の報道では、非正規労働者が前年同期比で100万近く減少したと解る。子育て世代中心の女性の失業割合が特に大きい。小子化が将来の最大問題である時、もっとも望ましくない「資本」の対応である。政治家はこの資本の非情の論理をなんとかせねば、政治家としての価値がない。
ソフトバンクGの1~3月期は1.4兆円あまりの赤字だった。ファンドの損失が大きい(1.9兆円)。日産が6.7千億円を超す赤字を出した。電機大手では7社中5社までが減益だった。
トランプ大統領は新型コロナウィルスの武漢研究所起源に証拠があると発表し、対中報復を検討しているという。中国は起源については専門家の研究に任せようという。中国の調査から中国政府に不利な材料が出てくるはずはない。国際調査団を受け入れ自由に探索させることなどの可能性も多分ゼロだ。大統領の発言は、中国の体制が自由社会とはかけ離れた専制統制社会であることを、世界に認識させるのが狙いなのだろう。
5/15の毎日社説に「コロナ下のWHO総会 台湾参加が国際協調の道」という記事が出た。台湾参加は今回総会でもついにならず、アメリカのWHO脱退は必至になった。中国の恣意が防疫のネックだ(「4月の概要(2020)」)。ワクチン開発データ治療情報を狙って「中国がサイバー攻撃」していると米国セキュリティ大手が報じた。中国は汚さ報道に防戦一方である。
5/17のNHK BS1スペシャル「デジタルハンター〜謎のネット調査集団を追う〜」は公開情報の蒐集解析により、国家による醜悪な犯罪の立証がなされている事実を報道した。ロシア軍によるウクライナ上空でのマレーシア航空旅客機のミサイル撃墜事件では、「ミサイルが運搬車に乗ってロシアの基地からウクライナのロシア人地域に運ばれ引き返す、その時持ち帰られたミサイルの数は1発少なかった。ロシア軍の関係者の氏名写真まで割り出された。」ところまで追跡された。ほか中国警察の、新疆自治区におけるウィグル人強制収容所、イスラム革命防衛隊のイランでの旅客機撃墜事件など。あれだけ鮮明に証拠を出されては事実と肯定せざるを得ない。
中国は全人代で「国家安全法制」の新設を決定した。香港基本法が香港の自治を守る防波堤であったが、その頭越しに中国の法制を施行し、直接介入を可能にする。直接的には香港の反政府抗議活動の取締である。一国二制度は実質上崩壊するだろう。アメリカは香港優遇処置を取り消すと発表。
5/31の毎日トップに、「特権を問う 地位協定60年」が出た。在日米軍軍人軍属による犯罪の多さとその処罰の軽さを数字で論難する記事になっていた。公務中(米軍に一次裁判権)かどうかは米軍側に判断権があるという壁、起訴率は日本の半分。自動車過失致死を起こした軍属が免停4ヶ月という刑罰だったという。事件の半分以上が沖縄。米国が世界の警察官から下り米国第一主義を公然と唱える今、抑止力としての米軍の価値は下がっている。米軍か形だけでよい。日本政府が自主的に始めたとされる思いやり予算は全廃できるはずだ。それをタネにまず米軍駐留員数の半減から話し合いを始めよう。
原燃再処理工場(青森・六ヶ所村)が安全審査をパスする見込みとなった。'93年に建設が始まり既に28年。建設費は予定の4倍の2.9兆円。'21年に予定通り運転が始まっても、サーマル発電原発はいまだ4基で、全プルトニウムの再利用(MOX燃料)に必要な16−18基にほど遠い。全事業費14兆円の負担も決まらない。だらだら引き延ばすだけの決心のない政治の産物である。
5/3の憲法記念日にあわせるような安倍内閣の改憲意欲が報道されている。安倍内閣が新型コロナに緊喫に行動できなかったのが、手続き遅れのためで、あたかも平和憲法の議会尊重に理由があるかのように、感染騒ぎを利用しようとしているとも思われる。各メディアの世論調査は安倍内閣の下での改憲に反対であることを示している。
検察庁法改正案を急ぐ与党に対し抗議が殺到している(5/12毎日)。総理逮捕の権限のある検察庁幹部の人事を内閣が支配することへの危惧である。新型コロナ騒ぎの間隙を縫う姿勢は姑息だと野党は攻撃している。5/18法改正は見送りになった。検察OBの反対声明が有効だったと思う。差し当たりの焦点であった黒川東京高検検事長が週刊文春に新聞記者との賭け麻雀をスクープされ、辞任に追い込まれた。彼は官邸に近い存在で、政府の半年定年延長は将来の総長含みだと、言論界司法界は政府の恣意性を批判していた。安倍首相は一般職国家公務員の65才までの定年延長を見直すと発言した。黒川氏特例定年延長を、後追いで合法化する狙いであったのが頓挫したための、豹変と受け取られている(5/23毎日)。23日の毎日は内閣支持急落27%の世論調査結果を報じた。
緊急事態宣言は14日39県に対し解除、千葉、東京、埼玉、神奈川、京都、大阪、兵庫の7都道府県は継続。21日関西3府県解除。25日残っていた関東4都県と北海道を解除。1.5ヶ月ぶりの全面解除だった。首相は強制のない良心的行動だけの日本モデルの成功と胸を張った。知識層の分厚さによる理解力と、危機における国民の精神的団結力が結果をもたらしたと云えそうだ。10万人あたり直1週間の感染者数0.5人以下が目安で、これは世界的にも例のない厳しい基準だと云った。対応して各地方自治体首長はそれぞれの基準で緩和を段階的に実施する。欧米各国は、もっと状態が悪いのに経済復活への出口〜緩和〜を手探りし始めた。
医療関係者は献身的に防疫に尽くしてくれた。1人あたり20万円の慰労金が贈られる。1人何百万円かが危なくなった経営者に支援されるが、税金を払う方から見れば、我らの命に直接かかわり合ってくれた方がずっと少ないのが気に入らない。経営者は我らと平等に1人10万円でよい。後は自身の内部保留を切り崩す。内部保留など無いといって我らの税金に負んぶするのはお断りだ。常に異常事態に備えているのが私企業の経営者で、儲けは自分のものだが危険は国民負担というのは、あまりにも甘えた考えだ。ウィルス禍前の旧体制事業への支援補助は、新型コロナ蔓延で世の中に社会制度見直しの動きが出ているのに、そのいわば新芽の成長の機会を摘み取ってしまう。
この護送船団方式の欠陥は、今回ではワクチン開発の遅れとして出てきた。ワクチン開発方法は技術的には解っているのだ。だがせいぜい武田薬品程度の大きさの企業がいくら力んでも、米中に太刀打ちできない。現在1周遅れ(5/24毎日)。我が国製薬会社の経営における開発に対するびびりは「ゲノムが語る生命像(再読編)T」('19)などに載せている。ノーベル賞の本庶先生の成果の工業化に、日本の会社は、アメリカのベンチャーが立候補するまで、立ち上がろうとしなかった。
大阪府吉村知事は5/5自粛解除に独自の基準「大阪モデル」の3指標―@感染経路不明の感染者が10人未満A陽性率が7%未満B重症病床使用率が60%未満―を7日連続で達成することを発表した。5/14でその連続7日間をクリア。通天閣は黄色→緑色の飾り電灯を灯して府民にアピールしている。心憎い演出である。5/8毎日は大阪府知事の行動力に賛意を示す世論調査結果を発表した。
西村大臣は大阪の出口戦略先取り発表に不満を表明した。彼は決定が遅く解釈に幅がありすぎて解りにくいから都や府の知事が先行する。西村氏は不適任(「4月の概要」(2020)」)、安倍内閣自体も危機担当内閣として行動力不足と思った。基本的には、感染症問題に限らず、これだけ医、薬、理、工、農などの理系問題が多い世の中で、文系出身者だけのお友だち内閣というのはまことに心許ない。防衛関係でも同じことが云える。

('20/6/1)