十一月の概要(2017)

北朝鮮が11/29に大陸間弾道ミサイル(火星15号型)の実験を行った。最高高度4500km、水平距離1000km(日本EEZ内)で、ワシントンにまで届くミサイルであった。トランプ氏の再々の脅しなど何処吹く風の強硬姿勢だ。
11/15アフリカ・ジンバブエでクーデターが発生した。独立以来の37年間をムガベ大統領(93歳)が独裁している。ムガベ氏の旧悪を裁かないという条件で政権委譲が行われる模様。
シリアのアサド政権軍は9日、イスラム国ISが支配するシリア最後の拠点である東部アブカマルを奪還した。ISはシリアとイラクの全都市拠点を失って崩壊に近づいた。隠れ蓑或いはヒトの楯なしの近代戦では、ゲリラは正規軍の敵ではなくなる(ref.「2050年の技術」('17))。エジプト・シナイ半島でIS系とされる武装集団がモスクを襲撃し、305人を死亡させた。
トランプ大統領が来日し、3日間滞在、安倍首相のゴルフや会食の大歓待を受けた。あと大統領は韓国から中国を訪問した。習主席は大統領を故宮に案内し国賓以上のもてなしをした。各国で対北制裁を主題にしているが、抜け目なく貿易改善にも触れた。つづいてのベトナムのダナンにおけるAPEC会議では、アメリカ・ファースト的発言が目立った。日米中露とASEAN首脳が集うEASはマニラで開催され北の核への非難が相次いだ。
文大統領は習主席とダナンで会談し、中韓改善に向けて、中国側の日米韓軍事力増強を防ぐ3要求「THAADを増強しない」「アメリカのミサイル防衛網に加わらない」「日米韓軍事同盟を結ばない」をのんだ。トランプ大統領訪問時の接待では、元慰安婦を同席させたり”竹島”エビを出したりで、日本の感情を逆撫でする小細工が目立った。対北戦略で同盟するのはいいが、いつ自由圏国の足をすくってくるか判らぬ怪しい相手である。韓国国会は「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」を定める改正法を可決した。読売は社説で「政府・国会・司法が揃って、韓国の市民団体が煽る反日運動に迎合する。極めて深刻な事態だ。」と書いた。
日本主導のTPP11はカナダの抵抗で共同宣言寸前で進行が止まっていた。11/10になり、「大筋合意」の発表があった。4.9億人、世界GDPの14%をカバーする。20項目が凍結され4項目は未決着という。発効不安が囁かれている。
アメリカで2州の知事選があった。いずれも民主党が勝った。NY市長選も民主党が抑えた。
第4次安倍内閣が発足した。閣僚は全て再任だった。学歴にハーバード大院とあるヒトが東大(院)と同数の4名になっていた。
希望の党の共同代表に、小池路線を是とする玉木雄二衆院議員が選ばれた。11/13のNHK世論調査では、希望の支持率は対前回2.2%減の3.2%で、立憲民主は逆に、3.0%増の9.6%であった。自民は+4.3%の37.1%。11/14小池氏は都知事に専念するとして希望の党共同代表辞任を表明。
東芝が伝統のTV事業を中国家電大手に売却すると発表した。NEC、Panasonic、Fujitsu、Sharpに今回のToshibaと、続けさまに日本の家電産業は新興国メーカーに事業を売り渡した。11/15の読売の伊藤忠社長インタビュー記事に、「今では韓国のLGやサムスン電子が一流ブランドと評価されているが、中味は日本製の部品だ。技術は日本が圧倒的によいが、高級イメージ感を韓国に取られた。マーケッティング力の問題。」と出ていた。私には、文系優位の社会風土企業風土に、経営陣があぐらを?いたとどのつまりと思われてならない。Sharpなど台湾企業の指揮に入ったとたん黒字回復してしまった。
神鋼はJISを、日産はISOを取り上げられた。幹部は「現場の問題を把握していなかった」と弁明した。三菱マテリアルの子会社で検査データの書き換えなどの不正が発覚した。東レ子会社(タイヤコード)でも検査不正が発覚した。コンプライアンスを棚上げにしても、生産性を向上させれば上の覚えがめでたいというガバナンスが蔓延っている。日本の代表的な会社がこうも次ぎ次に不正を発表しては、日本製品に対する信頼が失われる。
メガバンクの稼ぐ力の減退が9月中間決算で判った。マイナス金利の影響という。構造改革が軒並みに発表されている。みずほFGは、'26年度末までに1.9万人を削減し店舗数を'24年までに2割に当たる100店を削減する。三菱UFJFGは三菱UFJ銀行で、'23年度末までに9500人分の業務量を削減、既存店舗(フルバンク型)を半減。三井住友FG、三井住友トラストHD、りそなHDもそれぞれ発表。AIとロボットが事務業務合理化に活用される。
77万年前の地磁気反転(現在の地磁気方向になった)の証拠が千葉にあり、77万年前から12.6万年前までの地質時代をチバニアンと呼ぶことになりそうという。東大チームが南米で発生した地震の地震波データから、約1.8億年前に現在の太平洋東部に沈み込んだ古代の海のプレートの一部と見られる岩塊が、マントルと核の境界に近い深さ2500−2900kmに達していることを突き止めた。本HPの「日本列島の地学」('17)にこの現象の意味(プルーム・テクトニクス)を紹介している。地磁気反転のメカニズムを秘めている。
クフ王のピラミッドを、名古屋大学と高エネルギー加速器研究機構は、宇宙からの「ミューオン」により透視し、ピラミッドのほぼ中央にこれまで知られていない長さが30メートル以上もある巨大な空間があることを確認し、2日づけのイギリスの科学雑誌ネイチャーの電子版で発表した。
NTTや国立情報学研究所などが、量子コンピュータ(ref.「量子もつれ」('11)、「暗号技術入門」('17)、「2050年の技術U」('17)、「九月の概要(2017)」)の試作機を開発し、クラウドシステムとして一般公開する。理化学研究所と富士通が開発したスパコン「京」が実用性能評価で世界1位になった。
プロ野球日本シリーズで、ソフトバンクが4勝2敗でDeNAを制した。MVPには救援投手のサファテが選ばれた。彼は今年の正力賞も獲得した。ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017に、稲葉新監督率いる侍ジャパンが優勝した。新設のこの大会は日本、韓国、台湾のプロ野球が、24歳以下(第1回大会の場合1993年1月1日以降生まれ)、または入団3年以内オーバーエイジ枠が各チーム3名という選手たちのチームで争う。
オランダにおけるスピードスケートW杯第1戦で、日本は、女子団体追い抜き(高木美帆、佐藤綾乃、高木菜那)を世界新で制した。女子500mでは小平奈緒がW杯通算10勝目を挙げた。続いて1000mも制覇。1500mは高木美帆が取った。第2戦でも同じ3種目で小平、高木が優勝。スキー・ジャンプW杯第2戦で小林潤志郎が優勝した。フィギュアスケートのGPシリーズ第6戦アメリカで宮原知子(関大)がSP,FPとも1位となり優勝した。女子ゴルフでは鈴木愛が初の賞金女王になった。過去3年連続で韓国選手が賞金女王だった。宮原、鈴木両選手とも練習熱心で有名、結果は正直である。
モンゴル出身力士(白鵬、鶴竜も同席)が鳥取巡業中に宴会を開いたとき、日馬富士が貴ノ岩を殴り入院の重傷を負わせた。貴ノ岩側は被害届を島根県警に出した。日馬富士は3日目より九州場所を休場。相撲協会の判断を待たずに引退を声明。九州場所優勝は白鵬で、先人未踏の40回目の優勝である。横綱品格に関わる言動につき白鵬に厳重注意がなされた。
レオナルド・ダビンチの作品で、長らく所在がわからなくなり、幻の作品とされた、イエス・キリストを描いた油絵のオークションがアメリカ・NYで開かれ、500億円を超える価格で落札された。

('17/12/01)