十月の概要(2017)U
- 読売に労働生産率の比較が出た。アメリカ平均との比較で、製造業はほぼ同じ(化学は日本が上)だが、サービス業はアメリカの半分、農業などは2割ほどだった。GDPに占める製造業の割合は3割を切っている。我が国の将来はサービス業と農業の改善にかかっている。月末になって、IT技術取り入れによる人員合理化策がメガバンクから次ぎ次に発表されている。
- 10/23大型台風21号が本州を縦断し、多大の被害をもたらした。続いて22号が関東南海上を舐めるように通過。
- 「みちびき」4号の成功で、日本版GPS衛星体制が整った。
- 本年度のノーベル生理学・医学賞は体内時計の仕組みを解明したアメリカの3氏に贈られる。
- NHKスペシャル「人体」が始まった。半年8回という大型番組で、番組司会は、タモリと山中伸弥の両氏。イントロの初回では、臓器や細胞からのメッセージを伝える物質「メッセージ物質」(ホルモン、サイトカイン(細胞間情報伝達物質)やマイクロRNA)が数100種も発見されて、人体が情報交換の巨大なネットワークに包まれていることを説明した。山中教授が研究を始めた四半世紀前では、脳が情報の司令塔として支配しているという構図で人体が理解されていた。
- 第1集「「腎臓」が寿命を決める」では、体の酸素が欠乏した時に腎臓が出す物質「EPO」によって赤血球の増産が行われる話、難治性高血圧に対する「腎デナベーション」と呼ばれる手術、人を含めた動物の寿命が身体のリン含有率で綺麗に整理できる話などが私には新鮮であった。ref.本HP:「腎臓のはなし」('13)、 心拍数一定の法則(本川達雄:「ゾウの時間ネズミの時間」、中公新書、'92)
- iPS創薬を難病(FOP)患者に提供する臨床試験が、京大病院で始まった。iPSでの心筋細胞量産法が慶応大から発表された。大阪大はiPSによる心筋シートの事業化計画を発表した。
- ゲノム編集技術(ref.「ゲノム編集T&U」('17))を応用したインターフェロンβ製法が産総研関西センターなどのチームにより生産に移される。ニワトリの精子の元になる細胞(精子幹細胞?)の遺伝子に組み込み、生まれたオスと複数のメスを交配させ、遺伝子を受け継いだメスの産む卵に、インターフェロンβが入っている。
- NHKの「BS世界のドキュメンタリー シリーズ “もしも”の近未来 「オーダーメイド・ベビー」('17年フランス製作)」は、今日すでに世界各国で赤子の優生学的産み分けと選別が行われていることを報じた。アメリカの精子バンク会社には、例えば知能指数160-170のヒトからのものがあったりして、賢い子供を持ちたいクライアントがそれを選択するそうだ。
- NHKの「BS世界のドキュメンタリー シリーズ “もしも”の近未来 「DNA捜査最前線」」は、DNAの塩基繰り返し領域による個人識別が、全世界的に応用されていることを解説した。DNAによる顔識別は、髪、目、皮膚の色、民族的特徴については近未来に実用化しそうと云う。
- 読売が近畿大が先鞭を付けた完全養殖マグロの上市を報じた。ネット調査をすると、完全養殖ウナギは、まだ採算ベースに乗らないものの、実験的には成功していると判った。NHKは「ETV特集 「ウナギを追いつづけた男〜塚本博士の大冒険〜」」を放送した。世界初の「産卵の観察」?!のために調査船、深海潜水艇などの膨大な国家予算が使われている。その完全養殖技術の確立に対する意味付けの説明はなかった。「ウナギ権威」に対する予算のバラマキをやっているのではないか。
- ノーベル物理学賞は重力波を初めて観測したアメリカの3氏に決まった。
- 中性子星の衝突合体による重力波が米欧チームにより初観測され、鉄より重い金属の生成に関する謎の解明が期待される。
- 10/19の読売によると、最高位の棋士を倒したアルファ碁に100戦全勝というアルファ碁ゼロというAIがGoogleの英国子会社で開発された。人間による棋譜には一切頼らず、自己対戦3日間の学習でこの成果をあげたという。
- ノーベル化学賞は、たんぱく質などの分子構造を、組織が生きた状態で高精細に調べられる「クライオ(極低温)電子顕微鏡」を開発した欧米の3氏に贈られる。
- ノーベル文学賞はイギリスのカズオ・イシグロ氏(両親が日本人)に決まった。
- ノーベル平和賞を国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に授与される。私は「八月の概要(2017)T」で、国連採択の核兵器禁止条約に日本が不参加であることに対し、「人類理念という旗印−戦略−の方を今は取るべきではないか。条約参加の時期に来ている。」とした。禁止条約にまで「アメリカいのち」の安倍さんの姿勢は、被爆国国民として我慢できない。
- ノーベル経済学賞は行動経済学の米セイラー教授に決まった。
- 本年の文化勲章が奥谷博、芝祐靖、斯波義信、藤嶋昭、松原謙一の5氏に贈られる。また文化功労者には雨宮敬子、竹本駒之助、吉田都、喜田宏、坂口志文、杉本博司、コシノジュンコ、鈴村興太郎、高橋睦郎、東野治之、中村吉右衛門、成宮周、三宅義信、村井眞二、村松岐夫の各氏に決まった。
- 畑岡奈紗(18歳)がゴルフ日本女子オープンを連覇(40年ぶり、樋口久子以来)した。メジャー記録となる20アンダー/4日。昨年はアマでの優勝であった。世界体操で白井健三がゆか連覇を果たし続いて跳馬も勝った。女子ゆかを村上茉愛が制した。日本女子の金は63年ぶりという。フィギュアスケート・グランプリシリーズ第2戦カナダ大会男子シングルで宇野昌磨が優勝した。
- ボクシングWBA世界ミドル級タイトルマッチを村田諒太は7回TKOでアッサン・エンダムを下した。前回奇妙判定でエンタムに軍配が上がったがWBA会長から再試合の指示が出た因縁の試合であった。フライ級では比嘉大吾が初防衛に成功した。拳四朗はライトフライ級を初防衛した。パ・リーグのクライマックス・シリーズをリーグ戦優勝のソフト・バンクが、セ・リーグのそれを3位のDeNAが制した。
- 文化勲章受章者・沢田敏男・元京大学長死去。
('17/10/31)