八月の概要(2017)U

中央防災会議の有識者会議は、東海トラフ地震は予測困難で、かっての地震研の予知出来るとする前提から出た大震法は見直す必要があるとした。多因子事象であることが判ってきた今日、地震学者村からだけではなく、NHKの社会問題解決型AIのように、従来は無関係とも思われるような事象まで広く総合科学的に知識を収集したAI予知機を研究する段階である。
8/9の読売に、日本の科学論文や博士号取得者数の際だった減少ぶりが報じられた。科学論文数では過去10年間に中国の323%を筆頭に、韓、独、米、仏、英いずれも増大しているのに、日本はマイナス6%であった。「七月の概要(2017)」に、日本の専門家冷遇社会という体質を指摘したが、その一つの証拠になってしまった。頭脳だけが資源の日本なのに、これでは将来がない。英紙は予算の横ばいを1つの理由に挙げている。
ハーバード大は'16年に1300億円(予算規模の4割?)の寄付を得、全米1位だった。半分近くを企業からの寄付が占めている。我が国のトップは東大だが、140億円台に留まっている。東大卒業生が官界財界に占める地位から見ても、せめてハーバード大の半分ぐらいまでは欲しい。エリートはエリートとして当然の自覚(ノブレス・オブリージュ)を示さねばならぬ。東大の予算規模はハーバード大の6割ほどに達してはいるが、殆ど税金だ。
トヨタとマツダが資本提携する。EV開発の遅れを取り返すのも目的に入っているという。トヨタが、JR南武線の沿線(川崎市)の国内大手IT企業が密集する通称日本のシリコンバレーに出した、IT技術者中途採用の広告が話題になっている。
ジャパンディスプレー(JDI)が3700人を削減する(殆ど海外)と発表した。全社員の3割に相当。有機EL開発競争で、韓国サムソンに遅れを取ったため。
日本のGPS衛星・みちびき3号のロケットH2Aの打ち上げが成功した(三菱重工とJAXA)。アメリカのGPSシステムだけでは10mの誤差が数cmに納まるという。続いて4号を打ち上げ、来年から日本GPSシステムとして運用される。
対馬でカワウソが撮影された。国内では38年前に高知で姿を消して以来だった。ニホンカワウソかどうかは確定的証拠がない。
東大分子細胞生物学研究所教授の論文不正が東大により認定された。'14年にも同じ研究所で不正が摘発されている。
京大霊長研で、チンパンジーの知能がヒトの4歳児に相当すると測定された。10匹のジャンケンに対する対応から見出された知見。
京大などのチームがiPS細胞を使って難病FOPの治療薬候補を見つけ、効果を確かめるための臨床試験を始める。体外で、iPS細胞を使って病気を再現させて、治療薬を開発する「創薬」は、iPS細胞応用の柱の一つとして期待されていた。
iPSによる血小板量産事業を京大発のベンチャー企業が着手した。
ヒト由来のiPS細胞に基づく神経前駆細胞を、カニクイザルに移植するとパーキンソン病の改善が見られると言う発表が、京大iPS細胞研の高橋教授グループからあった。教授らは2年後の臨床試験を目指す。
ES細胞による肝細胞の肝臓疾患乳児への移植が国立生育研から申請された。新聞(読売)記事からは、OTC欠陥症治療と思われる。アメリカでその生体内遺伝子治療を目指した臨床試験で、患者を死なせたゲルシンガー事件がある(石井哲也:「ゲノム編集を問う」、岩波新書、'17)。
国立がん研究センターなどのグループが、1滴の血液で、13種のがんを早期発見する新たな検査法を開発し、臨床研究を開始した。負担が軽く安価だが、精度に課題があるという。
幕末・明治初期の初代イタリア公使夫人の、公使の養蚕視察旅行(群馬、埼玉)同伴旅行記がスケッチとともに発見された。発見者(ベルテッリ・ジュリオ・ アントニオ阪大准教授)によると、北イタリアの養蚕業が蚕病のため大打撃を受けていたときで、公使は健康な蚕を集めることを第1の使命にしていた。ただ当時日本は蚕輸出を禁じていたため業者は密輸を行っていたという。
松山英樹選手は、今季3勝目となるゴルフ世界選手権シリーズのWGCブリヂストン招待に勝った。世界水泳の金無しは、かっての水泳王国日本を知るだけに衝撃だった。世界陸上でも金がなかったが、男子400mリレーでは銅、競歩50kmでは銀、銅を取った。
世界レスリング59kg級グレゴで分田健一郎選手が優勝した。グレゴでは34年ぶりという。女子フリー48kg級で須崎優衣、55kg級で奥野春菜、60kg級で川井梨紗子、69kg級で土性沙羅の各選手が優勝した。8階級中4階級までを日本が制覇した。53kg級の向田真優選手は銀。男子フリー57kg級で高橋侑希選手が優勝した。男子フリーでは36年ぶりという。
バドミントン世界選手権の女子シングルスで奥原希望選手が優勝した。五輪も含めシングルでの金メダル獲得は男女初めての快挙という。
ブタベストでの世界柔道選手権で、第1日目では男子60キロ級で藤直寿選手が優勝、女子48キロ級で渡名喜風南選手が優勝した。第2日目では男子66kg級に阿部一二三選手が優勝、女子52kg級に志々目愛選手が優勝した。第3日には男子73kg級の橋本宗一選手が優勝、女子57kg級の芳田司選手は準優勝だった。
プロ野球セリーグ・ジャイアントの阿部選手が2000本安打を達成した。高校野球夏の甲子園を埼玉代表の花咲徳栄が制した。
埼玉スタジアムにおける8/31のサッカーW杯予選で、日本はオーストラリアに2:0で勝ち、本戦出場権を得た。若手(22歳浅野、21歳井手口)がゴールを決めた。
文化功労者・京大名誉教授・坂井利之氏死去。「パターン認識」研究の先駆者だった。羽田孜元首相が死去した。自民党竹下派七奉行の1人だったが、自民党を離れてからは保守中道改革の反自民連合の中心になり、日本の2大政党体制を目指した。長崎の被曝者・谷口稜曄氏が死去した。反核運動家として生涯を貫いた。世界に知られた活動家だった。

('17/09/01)