十二月の概要(2016)
- 次期米大統領トランプ氏は台湾・蔡総統と電話会談した。またTVインタビューで「一つの中国」に対し疑問を呈した。トランプ氏は国務長官にエキソンモービルのCEOのティラーソン氏を選ぶという。彼はロシア・プーチン大統領とエネルギー問題を通じての親交がある。ほかの重要ポストにも実業界の大物が登用される見込み。トランプ氏は、ソフトバンクが対米巨大投資により8000名の雇用を創設してくれたと、孫正義社長を称賛した。オバマ大統領はロシアの在米諜報員35名を追放処分にした。大統領選におけるサイバー攻撃が主たる理由。プーチン大統領は報復を回避、トランプ氏就任待ちの姿勢。
- 安倍首相が真珠湾を訪問し、各所で献花、オバマ大統領と最後の首脳会談を行った。所信表明では、不戦の誓いと日米和解の意義を強調した。日米のマスメディアは共感したが、中韓では反発が強かった。韓国では日本総領事館前に慰安婦像を設置しようとデモが押しかけ警官隊ともみ合った。地方政府は結局設置を許可した。昨年の「永劫解決」は日本の10億円拠出(終了している)だけに終わりそうだ。首相所信にある「寛容と和解」は、日韓間ではまず今後100年は通用しないだろう。残念ながら、日韓間は実質無交際状態におく方が、無理な友好促進よりはるかに得策である。
- アメリカFRBは1年ぶりに政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、年0.50〜0.75%とする追加利上げを決めた。イエレン議長は米国経済の好調を確信している。14日円安は118円に進んだ。新興国通貨安が停まらない。メキシコ・ペソとトルコ・リラはことに下げ幅が大きい。前者は大統領戦後ドルに対して12.5%、後者は11.7%下げている。大納会株価は年初より660円ほど高い16114円で終わった。
- プーチン・ロシア首相が来日した。山口県の会談会場で安倍首相を2時間待たせる遅刻だった。法王、英国女王、岸田外相などとの会談でも同じだったという。見え見えの位取りじらし外交で、鼻につく非礼な大国姿勢である。安倍首相は派手な歓迎パーフォーマンスを繰り広げた。しかしプーチン首相は北方4島はロシア領という姿勢に譲歩気配を微塵も見せず、「特別な制度」のもとに共同経済活動できるよう協議を進める、旧島民のビザ無し訪問を可能にする検討をすると約束するに留まった。EUとアメリカが経済制裁を継続している中で、陣営の一角の日本を突き崩したのはロシアの外交勝利だと外国紙は論評した。アメリカ経済が上向いているときに、結束を乱してまで経済効果を日本が優先する意味があるのかと私は疑問に思っている。
- イタリアの国民投票で、現政権の改憲案(下院に権限を集める改正)が否決され、レンツィ首相は退陣を表明した。今後のイタリア政治経済の混迷が心配される。しかしこの結果は、国の揺り戻し装置が正常に機能したと受け止めるべきで、読売のような、ポピュリズムの横行といった大衆に対して敵意を持った見解には頷きかねる。オーストラリアの大統領決選投票ではリベラル候補が勝利を収めた。
- 朴韓国大統領が国会の弾劾可決により停職となり職務を黄教安(ファン・ギョアン)首相が代行する。野党のこれまでの主張から見て、好転しかかった日韓関係は再び冷却に向かうと予想される。年末予定の日中韓三国の首脳会議は先送りとなった。読売は「弾劾 検証・韓国」の解説記事を載せた。その「中」編では、「(歴代政権で不正が絶えないことは)王朝時代からの「悪弊」」で「企業(が)「モラルより「発展」(を選ぶ)」という題目が付いていた。
- OPECが8年ぶりに主要国の4.5%になる原油120万bblの減産を決めた。インドネシア不参加。ロシアも30万bblの減産を行う。あと非加盟国の30万bblの減産を見込んで、世界総生産高は3250bblになる。原油相場急伸中。円安、株価上昇も進行中。
- 「山・鉾・屋台行事」がユネスコの無形文化遺産に登録されることに決定した。'09年に登録された「京都祇園祭の山鉾行事」と「日立風流物」を拡張する形で、合計33件の登録になる。
- 政府閣議決定の'17年度予算案は総額97.5兆円、増収のアテが無いままの無定見な膨張が停まらない。国債の純増は11兆円、社会保障費が32.5兆円、防衛費5.1兆円(1.4%増)、公共事業費6兆円であった。保育士、看護職の処遇改善、給付型奨学金の創設、正社員転換促進などの「1億総活躍社会」を目指す予算に手厚く配分したと称している。スポーツ予算が3.2%増しの334億円になった。GDP実質1.5%増を目標とする。
- '16年度の出生がついに100万を切り98万となった。
- 過去何回も廃案になったカジノ法案が、国会延長の隙を縫うように、自民党議員から提出され、急遽わずか6時間の審議で委員会を自民党と日本維新の会の賛成で通過し、6日には衆院で可決された。参院修正の後衆院に戻され15日成立。大阪府知事と長崎市長の歓迎意見がTVに出た。大阪はユニバーサルシティ、長崎はハウステンボスで味を占めた。だが経済が潤えばいいというものではなかろう。賭博禁止は日本の優れた伝統道徳である。博徒との線引きを曖昧にすることによる社会への悪い影響をどう誤魔化すつもりなのか。賭博罪は刑法に記載されている。世論調査は国民過半数の警戒姿勢を物語っている。
- 年金カット法案が可決された。急に年金が減ることはないが、マクロ経済スライドがこれまでより強化され、物価より支え手の賃金に連動するルールになるとされている。
- 最高裁は厚木基地の騒音訴訟に対し、海上自衛隊の公益性を重視し、東京高裁が下した飛行制限を却下した。政府はすでに1兆440億円の住宅騒音対策を実施している。基地の過去と今を写真比較すると、昔は全くの田園風景だったのが、現在は密集住宅地帯になっている。騒音覚悟で住みついて、騒音を非難するのは不当である。最高裁における辺野古訴訟で国が勝訴した。米空軍基地用の埋め立て作業が再開される。
- 福島原発処理に従来予想の倍額21.5兆円が必要という試算が経産省より発表された。高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉が決定された。1兆円以上の予算をつぎ込んだがナトリウム漏れなどの事故が尾を引き、実質可動250日程度だった。政府は、次の段階実証炉研究を、フランスASTRID計画に相乗りする形で継続する方針という。当初から云われていた通り、核燃料サイクルは「便所=放射能廃棄物処分の場所」があってはじめて成り立つ。国内での便所建設は無理だ。安定した大陸プレート(例えばモンゴル、シベリア、北極圏。進行中のフィンランド最終処理場への相乗りでもよい。)に相応の対価を添えて最終処分地を求めよ。これは地球規模の外交問題として取り上げねばならない。
- 女子社員を過労自殺に追い込んだとして電通に捜索の手が入り、電通社長は引責辞任すると発表した。
- 新潟・糸魚川市の火災で約150棟4万平方メートルが燃えた。フェーン現象下の強風で消火に30時間を要した。死者はなかった。
- NHK会長が籾井勝人氏から上田良一氏に1期で交替することになった。籾井氏は独善的行動が多く再任されなかった。彼は三井物産系、上田氏は三菱商事系である。
- 東芝が新たに巨額損出(数千億円規模)を計上する見込みと発表した。米原発子会社WHが無償購入した原発建設会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスターに新たなマイナス資産があった。今季連結決算は1450億円の黒字だが、この巨額損失での今後の対処が注目される。台湾企業に買収されたシャープは黒字決算に転じる見込みという。
- 高階沙羅選手はノルディックスキーW杯(ノルウェー)女子ジャンプ個人戦に2連勝し、ニッカネンと並ぶW杯46勝を成し遂げた。12日時点で47勝。柔道・グランドスラム東京最終日で女子78kg超級を朝比奈沙羅選手、78kg級を佐藤瑠香選手、男子100kg超級は王子谷剛志選手が制した。スピードスケートW杯(カザフタン)追い抜き戦を男女とも日本チームが制した。高木美帆選手はほかに個人の1000m、1500mにも勝ち、三冠を達成した。フランスでのフィギュアスケートGP男子を羽生選手が制した。女子では宮原選手が2位に入った。サッカーのクラブW杯最終戦をスペインのレアルと鹿島アントラーズが戦い、前者が優勝した。
('16/12/31)