九月の概要(2016)

米比関係がぎくしゃくしている。直接にはドゥテルテ大統領がオバマ大統領に暴言を投げかけたからだが、長い米国植民地時代にアメリカが残した負の遺産が、容共で強権支配を過去にもつ新大統領には、反米意識の土壌になっているのであろう。欧米人の面立ちが多いルソン島のエリート階級出身の政治家ではなく、レイテ島出身で法律家の父と教育者の母をもつ。韓国や沖縄の旧支配異民族に対する反発と通じるものがある。
ブラジル上院は8/31国家会計粉飾を理由としてルセフ大統領を罷免した。
杭州におけるG20は自由貿易推進や課税逃れ防止を首脳宣言に入れて閉幕した。これを機に複数の2国間首脳会議が実施された。
北朝鮮がG20に集まった首脳に対して軍備を威示するように、我が国EEZ内奥尻島沖に1000km級ミサイル3発を落下させた。確かにミサイルの精度が向上しており、我が国にとって脅威である。続いて5回目となる地下核爆発実験を行った。M5.3でダイナマイト換算10kT級(広島原爆の2/3)とされる。北朝鮮は核弾頭実験と発表した。これで核ミサイルの完成に漕ぎつけたということで、周辺国にとって非常な衝撃である。安保理は非難決議と制裁強化を打ち出したが、中国は非難しても制裁には乗ってきそうにない。9/17の読売には中朝国境での盛んな交流状況を報じた。北朝鮮人労務者の賃金は中国吉林省中国人の6割という。アメリカは反制裁業務の中国企業名を証拠と共に中国に提示し取締に圧力を掛けた。
日中首脳は尖閣問題に関し衝突回避を確認しあった。中国側が誠意ある対応をするかどうか。日本の漁船はもはや尖閣諸島には近づけない状況になっている。
日露トップ会談で北方領土問題と経済協力に関しエールを交換しあった。今までのように日本が経済協力するだけに終わらねばよいがと懸念される。
米中トップ会談で、温暖化対策のパリ協定を両国が批准することで合意した。協定は協定国の55%、その温室効果ガス排出量が世界の55%以上となることが発効の条件。米中合わせて4割ほどになり、協定発効に向け大きく前進した。9/4のNHKスペシャル「MEGA CRISIS巨大危機〜脅威と闘う者たち〜第1集 加速する異常気象との闘い」は永久凍土の溶解により放出されるメタンの危険性を軸に、近未来の日本の熱帯気候化を警告した。
NHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」は、東京すら'20年には人口減少に転じる日本の暗い未来像を、今の北海道の夕張市を例に具体的に描いて見せた。あらゆる行政サービスが停滞し、高齢化した住民が身を切る決断を迫られる。分かりきった対策は、最小限大人1人が1人の子を持ち育てることである。昔から感じているのだが、NHKは今回もこの当たり前には触れなかった。
安倍内閣の支持率がさらに上昇し、調査機関によっては6割を超したところも出た。
民進党代表候補・蓮舫氏に台湾籍が残っている(日本籍との二重国籍)事が分かった。彼女は直ちに除籍手続きに入った。17歳日本籍取得以来と云う。政治家の国籍は最重要事項で、スーチーさんが大統領に立候補出来なかった理由が、子息の英国籍である事からも理解できよう。先月、私は軽い発言が目立つので、蓮舫氏は代表として相応しくないとしたが、今回の重大失点はますますその思いを強めさせる。まだ若いのだから、今回は下りる方が将来のためである。しかし立候補はそのままで、15日の選挙で代表に当選した。サプライズで退勢ムードから脱却したいというのが民進党の願いであろう。次回世論調査が待たれる。同じ陣営の野田前首相が幹事長を引き受けるという。
税収58兆円の国の医療費が41.5兆円。毎年1兆円増加している。国の借金が1049兆円('15年)。改善傾向は一つもない。もはや破滅財政である。
日銀が短期金利マイナス0.1%を維持し、長期金利0%を目指す方針を出した。物価年上昇率2%に拘っている。この3.5年、日銀は金融策を振り回したが、経済成長は頓挫したままである。我が国の経済規模からすれば、世界の大勢に追従するのが上策で、先頭切って大見得を切る黒田総裁は退任さすべきだ。
アップル・ジャパンの、租税回避で逃げていた120億円を国税庁が徴収した。
読売が主に中国からの日本ツアーから、価格破壊のために、日本の大手旅行業者が撤退し、殆ど中国人、台湾人、韓国人経営の旅行業者だけになっている裏に、これら旅行業者の日本の法規を無視した悪質な手口が数々あることを指摘している。TaxFree店の裏リペード、無資格留学生の白タク同然のガイドなどが記憶に残った。
小池新都知事が築地市場のガス工場跡の豊洲への移転を、水質検査報告後に延期すると発表した。森さんらの五輪関係者は築地を走る予定道路が間に合わないことに懸念を表明している。知事の「都民ファ−スト」か、森元首相の「イベント・ファースト」か。豊洲新市場の建物はすでに完成している。ただ予算を大幅に超過して、5800億円ほどかかっている。経費は毎日700万円とも云う。
専門家会議の決議に従い豊洲の安全対策として実施したはずの4.5mの盛り土が、建物下ではなされておらず、その部分は配管用の箱空間になっている。共産党都議団が実地検証をし、小池知事の緊急発表で明らかになった。民間TVは連日問題点として盛り上がっている。石原知事時代に知事がコンクリートの箱にしたらと「アイディア!」を述べたのが発端になったようだ。石原氏も次の知事であった猪瀬氏も知らなかったで通している。新聞によっては石原犯人説を唱えるものも出ている。トップであったのに、2人とも他人事のような表現をとる。床には通路以外は土間になっていて深さ10cmほどの強アルカリ性の地下水が溜まっている。環境基準を越す溜まり水も見つかった。
企業内部保留がこの4年間で99兆円増加し378兆円弱になった。公共予算からの直接間接の援助が内部保留に向かっている。政府はずっと賃上げと再投資にハッパを掛け続けるが、企業が乗ってこない。
9/2の読売に竹森慶大教授の「ポピュリズムの危うさ」が載った。ほぼ1ページの紙面を割いた大型の議論だった。国民投票は危険というのが主張の目玉と受け取れた。放置すれば格差が開く一方の現制度を、誰が世直しするか。する必要はないのか。上位1%の占める所得の独占率はアメリカ18.4%、イギリス12.7%、日本9.5%とある。我が国には極端な経済格差はない。基本が多神教であったから、宗教的に寛容である。単一民族に近いから国内の民族対立はない。国民の高学歴は世界有数だ。それでも国民投票は危険か。我らの資本民主主義体制の社会構造には、何らかのガス抜きシステムが必要だ。米国型の社会ではそれが大統領選挙であり、首長を直接選ばない国では国民投票なのだろう。エリート層から見れば、営々として築き上げた旨味の多い社会構造を、ガツンとやられるのが一番怖いのだとは理解できた。左翼の脅威は去ったが、今度は国民投票の脅威だというわけらしい。
司法試験合格者の発表があった。1500名台に下がった。増加一方の予備試験合格者数が全体の15%となり、しかも合格率が6割を超す。法科大学院修了者全体の合格率は21%弱まで下がり、好対照である。大学院の合格率のベスト3は一橋大、東京大、京都大の順で5割弱であった。実に6割近くの大学院が合格率10%以下、合格者10人以下であった。合格数は慶応、早稲田、東大の順。
イグ・ノーベル賞(知覚賞)に「股のぞき」研究の立命館大の東山篤規教授と大阪大学の足立浩平教授が選ばれた。日本はこれで10年連続の受賞という。
高速増殖原型炉「もんじゅ」は廃炉、核燃料サイクル構想は維持、そのためフランスの実証炉計画に参加すると言う国の方針が決まった。
沖縄の珊瑚白化現象が再々報道されるようになった。珊瑚に栄養補給をする共生プランクトン・褐虫藻が、海水温の上昇により離脱するためという。竹富島付近の日本最大の珊瑚礁の9割が白化している。
NHKスペシャル「自動運転革命」は、日産の取り組みを軸に世界の開発競争を伝えた。日産はイスラエル社の画像処理技術を取り入れて、一般道を自動運転できる車の開発を目指す。メルセデス・ベンツは高速道路での自動運転機能を市販車に搭載した。Googleは完全自動運転車を町中でテスト中で、国際標準システムの構築を目指す。アメリカの巨大部品総合メーカーが自動化用センサーを軸に従来の専門別縦割り組織を一気に席巻しそうな勢いである。9/24からG7交通相会議が日本で開催されており、自動運転に関しての討議が始まった。
NHKサイエンスZERO「独占密着!海底に眠る巨大鉱床!」で、この夏に発見された、南鳥島の海底5500mにある無尽蔵に近いマンガンノジュール(毬藻状鉱石)とレアアース泥の紹介があった。深海石油掘削技術の応用可能深度は今3000mあたりまでなので、さらに深くを採鉱する技術を開発したいという。
NHKスペシャル「シリーズ MEGA CRISIS巨大危機〜脅威と闘う者たち〜 第2集 地震予測に挑む 〜次はいつ どこで起きるのか〜」(9/11)は、断層地震の場合の火種となる地震の指摘(12日の韓国南東部の地震は、熊本地震(M7級)と同じパターンで、M5.1が先駆しつづいてM5.8が起こった。)、熊本地震から始まった日向灘あたりの、プレート先端付近の高密度の群小地震(低周波数のスロースリップ、東北大地震以来前兆として注目されだした。)の存在、南海トラフに張り巡らせた巨大観測網の進展状況、過去90年計数百万の大小様々な地震と経時的パターンの統計学的処理による近々地震の場所の予測研究などを紹介した。
NHK週刊 ニュース深読み「リオ五輪の“節約術”TOKYOにどう生かす?」はいつの間にか当初の4倍の3兆円超に予算が跳ね上がりそうな東京五輪への警鐘として参考になった。鏡の反射を利用した小型の聖火台、多くの仮設スタンド、仮設道路、小学校への転用前提の建築、3500台を50台に節約した選手村のTV、無償のボランティアによる競技経営、開会式典行事での観客スマホの利用など、その節約ぶりに驚かされた。東京五輪の実行計画に携わっている慶応大学の先生は、計画になかったわけではあるまいに、台風や地震まで持ち出して、リオのようには節約できないと、理由を定性的に縷々述べた。国民は、定性的にあれこれ細かく云われても、言いくるめに来たとしか感じない。
私は現役時代ドイツからの輸入品の購入契約に物価対応項目があって、労賃、原材料費の上下に対してその影響を購入価格に対して数式で示してあったことを記憶している。労賃や建材費の値上がりを盛んに云うが、計画の失敗がなければ、せいぜい2割程度で、4倍に予算が膨れることは絶対にない。オリンピック誘致までは国民に受け入れられやすい数字にして、あとはIOCやロンドン五輪(計画時が8.1千億円で、最終は2兆円を超えた)を錦の御旗のように云いながら、野放図に使いまくると言った最悪の構図だ。それをやっと小池新知事とその都チ−ムが指摘した。ニュースの深読みの席で誰かが指摘していたように、国民にはマクロにしか五輪を把握出来ない。「東京五輪は計画当初の4割増しの1兆円を切れ。超過分は寄付を仰げ。できないのなら潔く五輪を返上すべきだ。」というのが私の持論である。親方日の丸的行事はもはや許されない。
東京五輪に自動翻訳を活用することが決まった。我が国は、伝統的に国民が外国語不得手であるためか、自動翻訳研究の歴史は長く、かつ世界の先端を行く数少ない技術だと思う。
58kg級女子レスリングで五輪4連覇を成し遂げた伊調馨選手に国民栄誉賞が贈られた。
リオ・パラリンピック開催。切符の売れ行きの悪さが心配されていたが、開会式は満員であった。銀10個、銅14個という成績だった。中国は金107を獲得し、国別1位だった。日本の目標は金10個だった。金に固執するな、身障者の運動会的雰囲気の五輪でいい。車椅子は金属だから凶器になりかねない。バスケやラグビーは競技種目として相応しくないのではないか。プロ野球セ・リーグで広島カープスが25年ぶりに優勝した。白鵬の大相撲秋場所の休場が決まった。14日目に角番の豪栄道が優勝を決めた。千秋楽にも勝ち全勝優勝だった。最後までもつれたパ・リーグでは、日ハムが優勝した。優勝を決めた対西鉄戦では大谷投手が完封した。シーズンを通して大谷は投打の2刀流で優勝に貢献した。
チェコ女子体操の名花チャスラフスカ死去。五輪で獲得した金は7個に及んだ。元自民党幹事長・加藤弦一氏死去。'10年文化勲章受章の脇田晴子氏死去。日本中世史に功績があった。本HPの「京都の歴史」('08)は、氏の同名の著書(共著)に対する私のコメントである。

('16/10/01)