七月の概要(2016)

韓国に慰安婦財団が設立された。日本政府は10億円を運営費として拠出する。日韓基本条約上は植民地時代の問題は全て解決済みであり、さらに民間拠出の形で慰安婦1人あたり200万円の「償い金」をすでに支払った。一方韓国政府は日本政府要望の日本大使館前の慰安婦像の撤去については何も行動していない。
フィラデルフィアにおける米民主党大会でクリントン氏が大統領候補に、ケリー氏が副大統領候補に選ばれた。もう一方の大統領候補立候補者サンダース氏は開票最終段階で開票中止の動議を出し、民主党の一致団結を呼びかけた。ケリー氏はTPP推進派。サンダース氏支持の反TPP派は会場外デモを繰り広げている。党の政策綱領が採択され、ヨーロッパの同盟国を重視し、アジア太平洋地域でも引き続き日本や韓国、それに、オーストラリアなどと関係を深めていくとする文言が盛り込まれた。
オハイオ州におけるアメリカ共和党大会で、ドナルド・トランプ氏(70)が大統領候補に、インディアナ州知事のマイク・ペンス氏(57)が副大統領候補に指名された。ペンス氏は主流派とトランプ氏の溝を修復することが期待されている。トランプ氏の得票率は7割で、歴代最低だった。採択された、選挙戦で事実上の公約となる党の政策綱領では、まず貿易政策については、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)についての直接の言及はないものの(トランプ氏は受託演説でTPP反対を明言した)、「アメリカ第一主義の貿易協定が必要だ」とし、移民政策については、「アメリカ南部の国境を守る壁を築くことを支持する」として、トランプ氏の主張を色こく反映させている。格差の頂点にいる富豪の候補が国内問題から国外問題に大衆の目をそらさせようとしている。これまでの厳しい対日対アジア論は表面からは取り下げられている。
7/14革命記念日の行事で賑わうフランス・ニース海岸遊歩道に大型トラックが突っ込み、84名の死者を出した。犯人はフランス・チュニジアの二重国籍者で射殺された。イスラム系単独犯の模様。ドイツのミュンヘンの大型商業施設でイラン・ドイツ二重国籍学生による銃乱射事件があり、9名が死亡した。これもイスラム系単独犯らしい。ドイツではその前後に規模は大きくないが何件もの類似事件が発生している。秀吉以来の「刀狩り」は、日本における火力兵器による無差別大量殺人を防いでいる。「刀狩り」を全世界で喫緊に実施する必要がある。
7/1パングラデシュの首都ダッカで7名のIS系武装集団によるテロがあり、立てこもりの人質にされたもののうち、日本人7名を含む20名が犠牲になった。この7名はJICAの関係者で、パングラ首都交通渋滞解消プロジェクトに参加していた。犯人の1人は拘束されたが残り6人は射殺された。バングラデシュの警察当局者は、 テロ事件の後で公開捜査を始めた「イスラム過激主義者との疑いが持たれている人物 10人」の中に、立命館大の元准教授(日本国籍取得)が含まれていると発表した。彼は行方不明で大学から解雇されている。アフガニスタンの首都カブールでIS系の自爆テロがあり80人が死亡した。標的は少数民族でシーア派の多いハザラ人であった。27日にはシリアで爆発があり44人が死亡した。クルド人を狙ったIS系の犯行らしい。
黒人が警察官に射殺されたことに対する米南部テキサス州での抗議デモは、警察官5人が射殺される事件に発展した。米国社会に根深く残る人種問題と捉えられている。
7/15トルコで軍によるクーデター騒動が起こった。現地からの映像では、最大都市イスタンブールでは大勢の市民が街頭に出て、展開している反乱軍に抗議している。反乱軍は翌日に鎮圧された。7/17時点で正規軍との戦火により軍民合わせて265名の死者を出した。6000名からの拘束者が出た。拘束者には軍人でない政敵側の警察や裁判所関係者なども含まれている。司法関係者には反大統領派が多いようで、大統領はこれを機に司法の1万人を解雇し、死刑を復活させたいという発言をしている。クーデターの首謀者がいまだに分からない不可思議な事件である。7/21非常事態宣言が発効した。大統領側が、クーデター未遂事件の首謀者と見ている宗教指導者ギュレン師(米国亡命中)の支持者を一掃する狙いがあるという。
ハーグの仲裁裁判所は南シナ海に関するフィリッピンの提訴にたいし、中国が主張する境界線「九段線」に歴史的な権利を主張する法的根拠はないと判決した。また中国が人工島を造成しつつある南沙諸島は、岩礁あるいは低潮地で、EEZや大陸棚が生じないと判決した。フィリッピン漁民の伝統的権利の妨害についての判断も下した。中国は受け入れ拒否の声明を出した。九段線は国民党政府の十一段線を引き継いだ主張だが、それは明清王朝以来の伝統的な、周辺軍事小国に対する新政府(国民党政府)の根拠のない威圧的陣取り行動の一環であったに過ぎないと思われる。南京事件(本HP:「英国人記者が見た「靖国神社参拝」「慰安婦」「南京大虐殺」」('13)、「南京事件」の探究」('15))でもそうだが、中国とは歴史的に、身勝手プロパガンダの大国なのである。しかし25日のASEAN外相会議は共同声明で仲裁裁判に触れなかった。
7/10の参議院議員選挙は与党の自民と公明の大勝に終わった。過半数を制することになったばかりか、改憲発議に必要な2/3の議席数を他の改憲賛成議員を加えれば確保したことになった。岡田民進党代表が進退を賭けた彼の地元三重県での議席は、接戦ながら民進党候補が確保した。一人区における民共主導の野党統一候補は一定の効果があったと思われる。
天皇陛下がここ数年内の生前退位の希望を述べられた。皇室典範の改正が必要になるので、政府が検討を行っている。このご希望はだいぶ以前からのものという。宮内庁はそれを否定し続けていた。
日本の人口が7年連続して減少した。昨年度は27万減。地域別で減少の最大は北海道、唯一東京だけが人口増を記録した。ただし東京の特殊出生率は1.17と日本最低である。日本人平均寿命は男子80歳あまり、女子87歳あまりの史上最長になった。男子は世界第4位、女子は世界第2位。
ソフトバンクがIoT(Internet of Things)戦略強化のため英国半導体設計大手ARMホールディングスを240億ポンド(約3.3兆円)で買収すると発表した。ARMの省エネ半導体技術は世界のスマホの9割に採用されているという。この買収のためにソフトバンクは1兆円をみずほ銀行から借り入れる。借金はこれで13兆円に伸びる。ソフトバンクの株価は11%下落した。一方ARMの株価は約40%上昇した。前副社長アローラ氏は2年弱の任期中に退職金を含めて300億円の報酬を得ていた。米ヤフーが買収される。経営好調の日本ヤフーは同じ商標名で継続存続する。株式の1/3が米ヤフーだが、45%ほどをソフトバンクが握っている。
東京都知事選に野党(民進、共産、社民、生活)統一候補として鳥越俊太郎氏が名乗りを上げた。ジャーナリストとして著名である。これで自民の小池百合子元防衛相(非推薦)、増田寛也前岩手県知事(自公推薦)との三つ巴戦になる。前回共産と社民が推薦した宇都宮健児弁護士が今回も立候補を表明していたが、野党側の千載一遇の機会だとして取り止めた。文春、新潮が鳥越氏の個人過去の暴露記事を執拗に出している。7/31 pm8:00の投票締め切りと同時にNHKは小池氏当確を発表した。5千人あまりの出口調査の結果だった。その早さに驚く。投票率は6割に近く、立候補全21名の中で小池氏は44%を取った。都民は小池氏の決断の早さ、歯切れの良さ、政党色組織色の薄さを取ったと云えそうだ。投票締め切りを待たずに、民進党岡田代表が次期代表選不出馬を発表した。
国立西洋美術館がコルビュジエ建築群の一つとして世界遺産に登録されることになった。私はこの美術館よりは佐倉の歴史民俗博物館の方が、ずっと展示館としては優れているように思う。
世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームが、'14年のソチ冬季五輪・パラリンピックで、ロシアが国家主導でドーピング不正を行ったと認定した。秘密警察KGBの後継組織FSBの職員が下水道工事の技術者に扮して、選手の検体を事前のクリーンな尿と夜間にすり替えた。本来開封できない検体容器を開ける技術をFSBが開発した。プーチン大統領はFSB元長官である。スパイ小説を地で行くお話だ。スポーツ仲裁裁判所は7/21ロシア陸上選手のリオ五輪出場を認めない判決を下した。IOCは各競技連盟にロシアの参加に対する賛否を委ねることにした。国家に対応できるのはIOCだけだが、そのIOCが、自身では対処しないで問題を下の組織に丸投げした。国際陸連はすでに拒否している。NHKくらし☆解説「リオデジャネイロは大丈夫?」によると、ブラジル・リオでの殺人率は東京の25倍だそうだ。選手村が酷い状態だと、入居チームが悲鳴を上げている。豪チームはホテルに宿舎を変更した。リオにおける開催は時期尚早であった。
神奈川県相模原市の障害者施設で19人殺害26人傷害の事件が発生した。自首犯人は依願退職の元職員で、障害者殺戮を職員時代から口に出していた。衆院議長公邸に出した予告文にほぼ沿った、刃物による重度障害者中心の残忍な殺傷行動であった。行政司法病院とも一度は関与したが、退院後は無警戒だった。
大相撲名古屋場所で日馬富士が4場所ぶり8度目の優勝を果たした。
ザ・ピーナッツのエミ、作詞家永六輔、タレント大橋巨泉、ピアニスト中村紘子、元横綱千代の富士の九重親方の各氏が死去。

('16/08/01)