7月の概要U(2015)
- 厚木騒音訴訟で東京高裁は原告勝訴を言い渡した。国は94億円の騒音被害賠償を背負い、航空自衛隊の夜間発着は禁止になった。国は最高裁に控訴した。騒音の大半は厚木基地共同使用の米軍機が原因だが、米軍は日本司法の関知するところではない。国民の生命財産を守る国防よりも騒音被害を重視する、しかも少しも騒音は減らないという奇妙な司法専門家の判決には恐れ入る。
- 内閣支持率対不支持率が読売の世論調査では49:40、毎日では42:43となり、支持率低下が印象づけられた。NHKの調査も同じ傾向を示す。17、18日の毎日は35:51と支持が急落したことを告げた。産経、朝日、共同通信などいづれも同じ傾向を示す。遅れて7/27の読売は43:49と発表。傾向は同じでも、読売の調査結果は常に内閣支持率が何ポイントか高い傾向を示す。調査方法に問題があるのでは。
- 自民若手勉強会(首相に近い議員ら40人弱が出席)で「報道規制」への発言が飛び交い、報道機関の一斉反発で、自民党幹部は対策に追われている。招待講師の琉球新報と沖縄タイムスを潰せという発言は、自民党一部の本音を代弁したものと受け止めている。木原稔衆院議員(熊本1区)は党青年局長の地位を追われた。極端発言の大西英男衆院議員( 東京16区)の党籍剥奪ぐらいはやらないと納まらぬのではないか。安全保障関連法案をめぐり、磯崎総理補佐官(参院議員、大分県)が「法的安定性は関係ない」などと発言し批判が集中した。政府は、安全保障関連法案をめぐり「憲法の範囲内で法的な安定性は確保されている」と説明してきた。野党からは更迭を要求されている。
- 日経が英紙フィナンシャルタイムスを1600億円で買収した。出光がシェルの持ち株(1691億円)を買い取り、昭和シェル石油と経営統合する。日本の石油業界は日石・日鉱のJXホールディングとこの出光グループの2大企業体制になる。
- 7/5の読売によると、東芝の過去5ヶ年に亘る営業利益過大計上額が1500億円に達していた。全社に企業体質として染み込んでいたと思われる。7/20東芝歴代3社長、取締役6名が引責辞任した。江戸末期の「からくり儀右衛門」以来の東芝の歴史に泥を塗った。
- 新幹線のぞみ号で男が先頭車両運転席直後方でガソリンによる焼身自殺を決行し、女性1人が巻き添えで死去した。焼身者は列車まるごとの大惨事を意図していたのかも知れない。列車が、難燃性材料の内装のためだろう、炎上しなかったのが幸いだった。無差別巻き添え、無差別殺人が頻繁に報道される世の中になった。
- 静止気象衛星「ひまわり8号」の運営が始まった。観測間隔が縮まり、画面の動きがスムースになった。分解能も向上し、7号よりははるかに鮮明な画像である。カラー映像で、黄砂の判別もできるという。科学技術の進歩に資するのなら、財政緊縮の時代でも投資に賛成する。台風9号と12号が西日本に大雨を降らせた。NASAの探査機「ニューホライズンズ」が準惑星・冥王星(Wikipediaでは地球の18.5%の半径、0.21%の質量)に最接近した際に撮影した画像が公開された。鮮明な3500mほどの氷の山の像が送られてきた。
- 元航空自衛隊パイロット油井亀美也さんが乗ったソユーズ宇宙船が無事国際宇宙ステーションISSに到着した。前2回打ち上げに失敗していたソユーズなので、国民の関心は高かった。太陽電池パネルが1枚開かないというトラブルが報告されていた。日本人10人目の宇宙飛行士で長期滞在の予定。ISSへの貢献は米露に次ぐ第3位という(読売)。
- 6月、欧州特許庁が主催する欧州発明家賞の「非欧州部門」の受賞者に、NEC勤務中にカーボンナノチューブを発見した、産業技術総合研究所の飯島澄男名誉フェローら日本人研究者3人が輝いた。7/30のNHKクローズアップ現代は京都大学iPS細胞研究所所長:山中伸弥氏の出演で、「“いのち”を変える新技術 〜ゲノム編集 最前線〜」の話だった。目標ゲノムの操作が高効率で行える革新的ゲノム技術だという。自然生育魚の倍の大きさを目指すマダイ養殖(京大−近畿大)、エイズウィルスの侵入を許さないゲノム編集白血球による治療(アメリカ)の話題や、山中先生の目指すiPS−ゲノム編集技術の組合せによる筋ジストロフィー治療法の話、中国でヒト受精卵を材料とする研究が報告された話などが紹介された。
- 米国旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」による人気都市ランキングで昨年に引き続き京都が世界1位になった。日本の次点都市・東京は20位以下。同誌は富裕層対象の雑誌という。TVでときおり紹介される東京下町のB級グルメ街や一般みやげもの街をうろつき回る客層ではなく、社会をリードするもっとも日本を知って欲しい層である。私はその理由を非欧米的先進国日本の原動力となった文化の魅力だと思う。
- 五輪招致に成功して以来、「おもてなし」が日本観光の目玉のようにいうマスメディアがあるが、富裕層は世界のおもてなしに慣れている。おもてなしがそんなに重大なら、発信源の東京が1位であっておかしくない。おもてなしは、占領米軍軍人がもてはやした?ゲイシャ・ガールのサービスを連想させる嫌な言葉だと知っているのだろうか。19日の読売に出たJTBのおえら方の、アップル創業者が京都を何度も訪れたのも遠因という見解は、京都育ちの私には、なんとも違和感の強い皮相な見方としか映らなかった。アメリカ人それも富裕層は、自分の目で世界を見ている。簡単に付和雷同するタイプではない。そして彼らが世界のリーダーの一角をなしている。だからこの1位を重大に考えねばならない。
- 芸能分野で米国の文化に大きな功績を残した人に贈られる本年度ケネディ・センター名誉賞に、指揮者の小澤征爾氏が選ばれた。
- 文化審議会が人間国宝に新に4名を答申した。「歌舞伎立役」の片岡仁左衛門、「京舞」の井上八千代、「人形浄瑠璃文楽太夫」の豊竹嶋大夫、「鍛金」の大角幸枝。
- カナダでのサッカー女子W杯で、なでしこジャパンが準決勝でイングランドを破った。守勢一方だったが、体格差、体力差を克服しての勝利は見事であった。決勝は5:2でアメリカに敗れた。開戦直後4点を続けさまに取られたのが最後まで響いた。USA!USA!の大合唱は予想されていたのだから、監督は、勝負を大切にするのなら、チームの冷静な立ち上がりのために、それでも1−2点差で敗れたかも知れないが、前回優勝時のキャプテン沢選手を先発さすべきであった。走力差による展開力の差を感じた。
- フェンシングW杯16日、モスクワで男子フルーレ個人の決勝トーナメントが行われ、2008年北京五輪銀メダリストの太田雄貴選手が優勝した。W杯、五輪を通して日本の金は初めて。大相撲名古屋場所で白鵬が前人未踏の35回目の優勝を飾った。満員御礼が続き、大相撲人気の回復が印象づけられた。ロシア・カザニでの水泳世界選手権のシンクロ規定(TR:テクニカルルーチン)で、デュエットとチームが共に銅メダルを獲得した。10年ぶりに井村雅代さんがヘッドコーチに復帰しての快挙であった。井村さんが'12年のロンドン五輪まで監督で指導していた中国はチームTRで銀を獲得した。10年間の日本シンクロの低迷は、井村さん不在期と重なる。水連がコーチ選択を間違えていたと言える。'04年の井村さん退任については、水連との摩擦についてとやかくの噂が流れたことを思い出す。
- 任天堂の岩田社長が55才で死去した。任天堂は京都の伝統の花札事業から近代的ゲーム産業に脱皮し、一時は世界に覇を唱えたが、最近はスマホなどに乗り遅れて業績が悪化し立て直しの最中であった。やはり京都の堀場製作所の創業者・堀場雅夫氏が死去した。水素イオンセンサーから始まる学生ベンチャービジネスの先駆けだった。素粒子論「自発的対称性の破れ」によるノーベル物理学賞のシカゴ大学名誉教授、大阪市立大学特別栄誉教授、大阪大学特別栄誉教授の南部陽一郎氏(アメリカ国籍)94才が大阪で他界した。鶴見俊輔氏が京都で死去。戦後を代表する評論家で哲学者としても知られ、生涯市井の活動家の姿勢を貫いた。
('15/7/31)