佐原夏祭の中日
- 成田空港行きのJR快速に乗り、成田で銚子普通行きに乗り換えて、11時過ぎに佐原駅に下り立った。乗客が多く立ち席のヒトがかなりいた。私も半分ぐらいを立ったままであった。戻りは16時前の列車だった。混雑はさらに酷かった。
- 佐原はうなぎの名所であった。まずは昼食にと「うなぎ割烹山田」を目指す。駅の案内人が最短コースを教えてくれた。大祭最中であっても、11時半頃だったら、並ばずに入れるのではないかと思った目論見は外れた。すでに20人ほどが列を作っており、すぐ30人ほどになった。私はほかのうなぎ屋を探す。天清と言う店はかすかに覚えていた。天ぷらの店だが、鰻重がメニューにある。2700円だった。まあうなぎの大きさはかろうじて並みである。うなぎメニューはこの1種類だけ。でも美味かった。粉末山椒が風邪を引いておらなければなおよかった。20年ほど昔だったか、この町には利根川の天然うなぎを食わせる店があった。冗談交じりに聞いたら、給仕人は東京で仕入れたうなぎだと云った。天然ならこんな値段では出せないだろう。この間、成田で10000円と聞いたばかりだ(本Webサイト:「成田、博物館、お花見」('15))。戻り道で吉野家のメニューが目に付いた。鰻重820円。そこのHPを開いたら「中国大陸の南部にある池で一貫して育てたうなぎ」となっていた。
- 共栄橋に出た。川沿いに雰囲気のある和風の建物が並ぶ。木の下旅館はもともと船宿だったらしい。築114年と説明板に書いてある。川を挟んで醤油会社の和風建築が黒っぽい土蔵と並んでた。御神灯の提灯と釣り合った眺めであった。和紙・薫香の商店の連格子が家の割に大きくて目に留まった。香取街道の忠敬橋角の中村屋商店は、覗いたことはないが、直角の曲り家だからまた別の味がある。街道に面してそば屋がある。10人ほどが並んでいた。昔風の墨で書いた看板に観光の町の意欲を感じた。隣の呉服店の説明板に明治25年に大火があって防火構造化したとあった。
- 近くにわくわく大休憩広場がある。佐原囃子と手踊りを見せてくれた。お囃子は女だけの芸座連だった。駅で貰った資料には大祭3ヶ日の初日と最終日が乱引きで、若連の手踊り披露が運行中にあるが、中日の今日はこの広場での披露だけのようだ。このホームページには「佐原夏祭」('98)、「夏の佐原を歩く」('00)には夏の大祭の、「佐原囃子」('97)、「佐原秋祭り」('00)に秋の大祭における町内乱引きでの手踊りの様子を描写している。舞台用にアレンジされた、山車とは独立の手踊りもいいが、山車運行の合間合間に、山車の前方で町の若連が演じる手踊りの方が祭にはふさわしい。
- 夏祭りは八坂神社の祭礼だ。境内は賑わっている。チョコレートバナナ、アテもの、お好み焼き、だんごにかき氷と祭礼につきものの屋台が境内いっぱいに並んでいる。だが「寅さん」のような芸達者な渡世人風情はいなかった。彼らを見なくなってからもう何年にもなる。なぜだか私が引っかかったノートのたたき売りの情景が懐かしく思い出される。八坂神社の鳥居前の香取街道で、幸運にも山車巡行の先頭・船戸部落の神武天皇の山車に出会した。香取街道はそう幅広くはない。山車は鳥居から10数m香取神宮寄りの、街道に直交するさらに狭い横道から現れた。なぜわざわざこんな細道を苦労して通るのか。寄付との関係はあるだろう。横道の奧にはもう1箇所直角に曲がらねばならぬ場所がある。そこに石の道標が立っていた。表は左・香取神宮と読めた。ひょっとしたら旧道はこちらを通っていたのではないか。
- 目の前2−3mのところで、呼吸を合わせて直角に山車を曲げる。小連といったかその町の高校生中学生のがんばり処である。山車にはお囃子や架線よけの10何人は乗っているし、自重もかなりだろう。車輪は木製だから、地面との摩擦係数は高かろう。小連は6−8人ほど。動かないと中青年の先輩が応援に駆けつける。
- 続いて下中町の菅原道真、上中町の太田道灌と続々とお祭りの全基:10基が通り過ぎた。最後の4基を受け持つ部落は浜宿、寺宿、田宿、仁井宿といずれも宿がつく町である。佐原は佐原宿と言った頃もあったという。過去に宿場であった時代があるのだろうか。
- ついでの足でと、馬場本店酒造と東薫酒造の酒蔵を見学した。馬場の自慢は大吟醸「海舟散人」で、東薫は「叶」だそうだ。東薫にはガイドがいて、東北からの蔵人は11月から4月まで、土日無しで生きものの発酵菌の世話をすると云った。蔵の発酵タンクは見た範囲は全部が神鋼ファウドラー製の10トンタンクで、琺瑯引きかグラスライニングだと思った。何処の酒蔵でも近年は木製の樽を見たことがない。タンクの外壁にビニールの水管が10巻きほどしてある。発酵熱除去のための補助的手段のようだった。一般にはもろみの搾り器は圧濾機だが、大吟醸クラスでは、つり下げた濾過袋からの自然滲出など酒に優しい方法をとるらしい。出口で原酒の利き酒をやった。「東薫」は甘口ではないが、原酒のため幾分甘く感じるのではないかと云っていた。
('15/7/12)