泡盛にはまる


テレビのコマーシャルに「女三十にして梅酒にはまる」と云うのがあった。「はまる」の使い方が面白く覚えておった。今度の沖縄旅行で大げさに云うと私は泡盛にはまったのである。
バスガイドから泡盛は三年以上寝かせた古酒でないとと聞いたので、10年ものを買った。豊見城村で造られたものである。まろやかでうまい酒である。いける酒だ。銘柄は沢山あったが買ったのはその一本だけだったから他はどうか判らない。以下のお話はそのおつもりで。
泡盛は焼酎の原型だそうだ。蒸した米に黒麹菌をまき糖化とアルコール発酵を同時に行いあと単蒸留して出来上がりだそうだ。焼酎は黒麹菌により麹を造ってそれを澱粉質原料に撒く。つまり泡盛の技術に清酒の技術を組み合わせている。その二次原料種類によって米焼酎、麦焼酎、芋焼酎、粟焼酎、黒糖焼酎などができる。かす取り焼酎は密造酒として悪名高いが、これは清酒の酒粕を原料にする。泡盛はタイから導入されたという。琉球王朝時代の中継貿易が華やかなりし頃の名残である。
昔千葉に勤めていたころ部下が結婚し土産にフェニックスというハイカラな名前の焼酎をくれた。初めての焼酎であったし好奇心も手伝って急いで空けたら強烈な臭気に鼻をつままされた。これが元来の焼酎で乙類である。甲類は臭みを精溜分離してしまったホワイトリカーでこちらとのつき合いは結構永い。
だから泡盛は臭いに警戒していた。しかしいざ蓋を取るとそれほどでもない。湯割りで飲む最近の乙類焼酎には昔ほどの臭みは無いように思う。乙類にも精溜の技術が取り入れられるようになったのだろうか。泡盛の昔は全く知らないので昔と少しも違わない製法なのかどうか判らないが、ともかく口にはいるまでの我慢が必要でない酒であったのでまろやかさが減点なしに賞味できたのは嬉しかった。
同じ中国系でも北京から広東あたりまでの中華料理はワールドワイドである。だがベトナム、タイあたりはまだ全世界的とは云えない。これは味、香りなどであまりに個性的というかあくが強いというか、簡単にははまれない人が多いからである。同じ事で焼酎もワールドワイドどころか最近やっと全国区に進出しだしたばかりである。
しかし泡盛はトウモロコシのウイスキーのバーボンが世界で飲まれるぐらいだから焼酎よりも早く世界に進出できるのではないかと思う。バーボンもアメリカのさる高級ゴルフ場のバーで飲んだ本式はドえらく臭かったように覚えている。しかし日本に来るバーボンは別段臭いも悪くない。気持ちだけ元の臭いが残っていると云った品である。泡盛もその点はもうチョイである。

('97/10/28)