十月の概要(2014)
- ノーベル平和賞に、パキスタンのマララ・ユスフザイさん(17歳)と、インドのカイラシュ・サトヤルティ氏(60歳)が決まった。前者はイスラム過激派による襲撃で重傷を受けたが、怯まずに女子教育の重要性を訴え続けているので有名、後者は子供たちの奴隷的労働からの救済に尽力する人権運動家。広く世界を対象としているが、直接的には、ノルエー・ノーベル賞委員会を代表とする日欧米民主主義社会からの、イスラム社会、インド社会へのメッセ−ジでもある。
- NHKは10/27、中国漁船100隻あまりが小笠原諸島沖でサンゴの密漁をやっており、その3割以上が領海に侵入していると現地の映像と共に報じた。武力背景の中国国民の無法ぶりには、いやでも「目には目を」の実践を迫られそうだ。
- 10/25のNHK:「時論公論 「法治」で中国は変われるか」は、中国共産党の「四中全会」が民主国では今更の「法治」を取り上げる理由を解説した。コネと党治の国が、法治「主唱」で一般人の公正を司法が守れるはずがないと、悲観させられる話であった。行政長官候補者の党による選別に抗議する香港の学生集会に対する、中央の弾圧と報道制限ぶりがTVにでた。
- 韓国検察は産経新聞前ソウル支局長を、情報通信網法における名誉毀損(大統領に対するコラム記事、コラムである!)で在宅起訴した。韓国の新聞ではない、日本の新聞の記事、それもコラムを取り上げて「裁く」という。日本はもちろん民主主義各国報道界は一斉に反発。「少女20万人を拉致、性奴隷化」などという、南京虐殺同様に、第三者が納得できる証拠は何もない事案を、韓国側怨念証言だけで「歴史」と称して世界に吹聴して歩く民族のことだ、感情先行で、それに法も歴史も従わせていると思われても致し方がないだろう。
- エボラ出血熱が欧米各国に飛び火している。ほとんどは流行国国民からではなく、これらの国に派遣された医療団の帰国者からだ。
- 日米防衛協定見直しガイドラインの中間報告が出た。グレーゾーン(例えば尖閣諸島への上陸行為)への対処を明確化し、世界紛争地域での戦闘外の対米協力(例えば機雷掃海)など時世の変化に応じた具体策が記述される。
- 泉南訴訟に於いて最高裁が石綿被害に対し国の責任を認めた。
- 安倍内閣の女性地位向上の目玉:松島みどり法相と小渕優子経産相が、前者は公職選挙法違反の疑惑で、後者は不透明な資金運用問題で共に10/21辞任した。後任は前者に対し上川陽子衆議院議員、後者に対して宮沢洋一参議院議員が任命される予定。
- 東京、大阪、名古屋の3大都市圏に流入する人口が、転出より上回る事態が、18年連続して起こっている。地方の人口減少と高齢化を加速している。この傾向は判りきっていたのに、地方活性化、東京一極化是正は口先ばかりで、政府はいっこうに実行ある対策を講じない。マスメディアも地方を地方としてだけ取り上げ、地方が日本の一部であることを忘れている。例えば、朝刊ですら40ページもある読売に載る、日本を主題とする発言の主は、99%が東京人である。
- 大型台風18号は10/6浜松から上陸し茨城へ抜けた。月初めに北上を開始して以来ほぼ予測通りのコースを辿った。続いて台風19号が鹿児島、四国、大阪、三重、名古屋から長野、関東北部を通り14日朝に仙台へ抜けた。死者が少なかったのは予報の正確さと早めの避難勧告が効を奏したためのようだ。噴火火山灰が覆う御嶽山頂の被害者救援活動は、そのため10/4で中断した。10/7時点で死者合計54名。大安満月の8日に皆既月食があった。薄雲の中の朧月で、地球円周からの回折赤色光による赤黒い月食が見えた。
- 本年のノーベル物理学賞は、青色LED(発光ダイオード)発明と工業化にかかわる3人の日本人研究者:赤崎勇・名城大終身教授(85、京都大出身)、天野浩・名古屋大教授(54、名古屋大出身)、中村修二・米カリフォルニア大教授(60、徳島大出身)に贈られる。本Webサイトでは「職務発明」('01)、「大学院を考える」('02)、「発明の報奨金」('04)、「発明報酬」('04)そのほかでこの青色LEDとそれに纏わる中村教授対元の雇用主:日亜化学工業の訴訟合戦を伝えた。職務発明だから基本的には無報酬で良いとする日亜の姿勢は議論を呼んだ。私は中村先生に同情的だったが、経済学者は、理工系の研究屋にいささか冷ややかであったのが、日本の特殊事情を示唆していた(本Webサイト:「経済学的思考のセンス」('07))。頭脳流出(中村先生はアメリカ国籍を取得)を防げなかったことを、日本という文系社会は反省すべきであると今も思っている。赤崎、天野両先生は師弟関係の基礎研究、中村先生は工業化研究で、ノーベル賞が基礎から開発までをまとめて受賞対象にした点が注目される。
- ノーベル化学賞は米独の3研究者に贈られる。蛍光顕微鏡は生体観察に有効だが、波長から200nmが解像力の限界であった。それをナノレベルの超解像力に高め、生体分子の観察法を確立した。大阪大・柳田敏雄特任教授は、本件の受賞者外の功労者として名が上がった。
- ノーベル経済学賞は、フランス学者の独占的企業の効用と規制に関する研究に贈られた。日本に経済学賞だけは来ないのは、上述の文系支配社会にあぐらをかけるという特殊事情とかかわりがあるのではないか。
- 今年の文化功労者に自然科学研究機構長・佐藤勝彦氏らが選ばれた。本Webサイトに「インフレーション宇宙論」('11)、「地球外生命」('12)がある。どちらも氏の著書、共著書に対する私のコメントである。
- オンデマンドで9/18のNHK:「クローズアップ現代 iPS細胞が変える薬の常識〜最前線からの報告〜」を見た。9/20のNHK「週間 ニュース深読み」でも取り上げていた。京大・妻木範行教授により軟骨無形成症(いわゆる小人症の一つのようだ)にコレステロール抑制剤のスタチンが有望であると判った。動物実験を挟んだ「もどかしい遠回りの」創薬から、患者iPS細胞への直接実験による創薬へと、発想の基本が変わる時代に突入すると出演の山中教授が解説した。テーラーメイド的創薬である。アルツハイマー治療薬も標的になっている。本年のノーベル医学・生理学賞は、脳が自分の位置を把握する仕組みを細胞レベルで解明した3学者に贈られる。アルツハイマー症はこの機能の喪失により発症するという。
- やはりオンデマンドで9/20の「NHKスペシャル 巨大災害 MEGA DISASTER 地球大変動の衝撃 第3集「巨大地震 見えてきた脅威のメカニズム」」を見た。太平洋プレートははじめ数kmの厚みだが、日本海溝で北米プレート下に潜り込む頃には、90kmもの厚みになる。海水による冷却のためだ。その岩盤はやがてちぎれてマントルに落ち込み、マントル対流の原動力になる。北米プレートとの境界面はフラットではなく2000m級の隆起があって、地震エネルギーを蓄積させる。太平洋プレートが引きずり込んだ海水がマントル水となって活動し、境界面を滑りやすくする。南海トラフには3000,3500m級の隆起があり、将来の大地震の原因となる恐れがある。
- またもオンデマンドで9/28の「サイエンスZERO ついに出た!?夢の“量子コンピューター”」を見た。カナダのベンチャー企業が「量子コンピューター」をGoogleを含むアメリカの巨大企業に販売した。その核技術は、量子ビットを超伝導回路で結びつける研究で、理研の蔡氏らによる。スパコン「京」でも不可能に近い最適値計算を容易に取り扱えるようになる可能性があるという。同じ日の「Biz+ サンデー 低価格!バーチャル・リアリティー最新情報! ほか」では、バーチャル・リアルティが、住宅販売において、顧客の理解度アップに利用されているシーンが印象的であった。
- やはりオンデマンドで、埼玉大学名誉教授の山口仲美氏による「100分de名著 枕草子」を見た。1000年の名著である理由の一つが、社会の縛りから抜け出た赤裸々な人間感情を、高い観察力で描いているという解説を聞いた。
- またまたオンデマンドで、NHK解説委員・土屋敏之による「くらし☆解説 どうなる?再生可能エネルギー」(10/14)を見た。太陽光発電買い取り制限が問題になっている。電力会社側の技術的問題点に昼夜天候気候による発電量の大変化がある。変動吸収のために、レドックスフロー電池を使う大型蓄電池システムが開発されつつある。日本では再生可能エネルギー電力は全体の2割程度が可能だとされるが、そうなると1家庭月700円ほど電力量負担がアップする。政府が打ち出した地熱発電優先の話は出なかった。地熱発電は確かに安定である。
- これもオンデマンドで、「コズミック フロント〜発見!驚異の大宇宙〜 若田飛行士が見た“宇宙絶景”」(10/16)を見た。オーストラリア大陸に多発する山火事が映し出された。この大陸でユーカリが支配的樹木になったことと山火事が関係深いという説明が面白かった。ユーカリは樹皮が燃えて死んでも樹幹深くから新芽を出し、火災後直ちに光合成に取りかかれるという。
- オリンピック仁川アジア大会の最終金メダル獲得数は、中国151、韓国79、日本47の順であった。日韓では銀、銅の獲得数はそう変わらないのに、金だけは韓国が日本より6割方多い。人口比が逆であることを考えると、実質の差はさらに大きくなる。差について真剣に解析せねばならない。競泳4冠の荻野選手が大会のMVPに選ばれた。男子テニス楽天ジャパンオープンを制して今季4勝目を挙げた錦織圭選手は、世界ランキング6位に上がった。体操W杯で内村選手が男子総合個人でV5を達成した。フィギュアスケート・アメリカ(GP第1戦)男子シングルで町田樹選手が270点弱で第1位を取った。プロ野球日本シリーズをソフトバンクが阪神を4勝1敗で下し、日本一になった。ここ15年の優勝はパ・リーグ球団が9回、セ・リーグ球団が6回でパ・リーグが優勢だ。パ・セ交流戦でもいつもパ球団の方が分が良い。私のセ・リーグはマイナーリーグという言い方が本当らしくなってきたのは困ったことだ。セ・リーグが巨人一極的であるのがその原因の一つではないか。
('14/10/31)