梅雨どきの休日パス旅行U

以下は6/19から始まった大人の休日倶楽部パス旅行紹介の第2編である。
第3日 宿の朝食サービスのせんべい汁は風変わりな汁物だった。せんべい汁には次の日の朝食にも付いていた。Wikipediaには、「南部煎餅の中でもせんべい汁の具にすることを前提に焼き上げた「かやき煎餅(おつゆ煎餅・鍋用煎餅)」を使用する。これを手で割ったものを、一般的に醤油ベース(味噌・塩ベースもある)の鶏や豚の出汁でごぼう、きのこ、ネギ等の具材と共に」汁物に仕上げるとあった。9:30発の青い森鉄道快速しもきたで終点の大湊に向かう。
大湊線初乗りが目的でこのコースを選んだ。内田吐夢監督の映画「飢餓海峡」で、三国連太カの犯人犬飼と左幸子の娼婦八重が縁を結んだ町として記憶していた。Googleのストリートビューで町中の様子をざっと見ておいた。ストリートビューには斗南藩上陸地点という石碑が港に見えた。NHK大河ドラマ「獅子の時代」で、敗れた会津藩士が開拓におもむいた土地である。作物の育たぬ荒涼とした土地として描かれていた。至って電車の便の少ない鉄路だ。私は滞留時間43分で、青森行きの快速しもきた号に乗った。八戸から乗って来た電車である。周囲を見渡すと同類の大人の休日倶楽部パス客が何人かいた。丁度昼時だったが、食い物屋が簡単には見つからなかった。やっとベーカリーという看板のある店で、サンドイッチを買うことが出来た。
青森県に入ってからウドの花が目に付きだす。ウドにもいろいろあろうが、オオハナウドとかシシウドの類だ。セリ科で、前者が多い。でも独活の大木と言えるほどの大きさのものはなかった。白い小花の傘状集合(複散形?)の花序である。礼文島で初めてお目にかかったのが関心を持ち始める切欠になった。食用になるのはどの種類なのか。ブタクサにマーガレット(と聞いたが白花除虫菊かも知れない。角館でムシヨケギクと教わった花と外見は酷似している(当Webサイト:「大人の休日倶楽部パス(東北スペシャル)」('12))。今となっては区別が出来ない。)はキク科だ。ブタクサもマーガレットも帰化植物だろうが、こんなに東北一帯に進出しているとは驚きだった。畑のジャガイモがナスに似た花を開いている。フキの種類が豊富である。今はフキの出荷シーズンだと土地のヒトが教えてくれた。沿線にはホップの畑を見るようになった。
樹木では民家にハコネウツギを多く見た。仲間のウノハナは林間山中に見かけた。遠目だから別の白花だったかも知れない。オオデマリやコデマリのような咲き方もあった。ヤマボウシが目立った。スギに絡みついたツルアジサイが花のシーズンを迎えていた。つる性木本である。同じつる性木本でもマタタビはスギには滅多に巻き付かない。もっと曲がりくねった枝振りの中型樹木がお得意さんである。なぜだか知らないが車窓からはっきり区別できるから不思議だ。マタタビは白化している葉があるから、すぐ遠目でもわかる。これはいつぞやの休日パス旅行の際に、秋田内陸鉄道のガイドさんに教えて貰った(当Webサイト「大人の休日倶楽部パス(東北スペシャル)」('12))。私はネコを飼っていない。だが世に言うように、本当にネコが恍惚状態になるのか、マタタビを我が家の近くの公園にたむろしているたくさんの野良でも相手にして試してみたい気がして、手の届く範囲にないか注意していたが、ついにそのサンプルを入手することは叶わなかった。
大館からの花輪線は十和田南でスイッチバックする。女性車掌に聞いたが、なぜか判らなかった。スイッチバックは、険しい山地のように、鉄路をうまく取れない場所だけの苦肉の策だと思っていた。十和田南は平地なのだ。同じ疑問のヒトは多いようで、インターネットで検索するといろいろ出てくる。どうも鉄道予定線が結局建設されなかった名残のようだ。田山トンネルあたりが分水嶺のようで、気動車の音がかわる。大館から盛岡までの3時間は風景を堪能した。でも2度とは乗るまい。初めての区間だったからこそ車窓が見飽きなかったので、2度目の3時間は退屈なことであろうから。下北半島では目立った風力発電用風車は、内陸では風が弱いのだろう、見あたらなかった。下北の風車はEurus Energy社製だった。外国の会社かと思ったら、豊田通商と東電の合弁会社だった。盛岡に19:08到着。
車中で南部煎餅を食い過ぎた。夕食に味噌煮込みじゃじゃ麺を選ぶ。地下街のめんこい横丁の、じゃじゃ麺専門店という小吃という狭い店だ。隣の兄さんがここの常連らしくて、本式のじゃじゃ麺の食べ方をいろいろコーチしてくれる。私のは味噌ラーメンの出来損ないで本式麺とはほど遠い。本式ではゆで麺がちょっとした具と共に浅い皿に載って出てくる。テーブルにある調味料を好みに応じていろいろ調合して食う。調味料の中に辛み味噌があって、これがじゃじゃの肝だという。麺を食い終わったら、そば湯をついでもらいス−プとして愉しむのだそうだ。その前に食卓の上の生卵を落とすのは自由だ。兄さんは今度来たときは是非本式麺を食ってくれと云って去った。
第4日 盛岡発9:50のはやぶさで仙台に行き、仙山線の山形行きの臨時快速列車・さくらんぼ号に乗り換える。旧型の特急車両だ。駅関係者の見送り、カメラの放列に驚く。珍しいらしい。仙台駅だけではなく、通過駅、停車駅にはもちろん、レール跨橋の上から、田圃の畦から、土手の上からとあちこちにカメラが待ち構えていた。指定席4車両自由席2車両の6両編成だった。この臨時列車の存在はYahoo検索で知っていたが、千葉駅のみどりの窓口でははっきりせず、結局指定券が取れなかった因縁?の列車である。
山寺で下車。1時間半ほどを観光に費やす。さくらんぼの臨時売店で、立ち食い。これは予定外だった。予定はNHKの「小さな旅 閑(しず)かさに〜山形県山寺〜」に出てきた門前町と寺社の堂宇を観て歩くことだった。門前町には丁度昼時だったからか、そば屋が目立つ。お目当ての干菓子はすぐに見つかった。商正堂の「もろこし」だ。歴史のある和菓子だそうだ。今でも手作りだそうで、「山寺」の文字を打ち出す木型が、店先に展示してあった。生地を押しつけて型取りするのだろう。お茶を貰って、ゆべしとか蒸し菓子を食ったら、腹が膨れて昼食代わりになってしまった。田舎のお菓子はたいそう甘くしかも大型なのである。商正堂は建て直してまだ新しいようだが、和建築の様式を踏襲している。でも門前町は、調和が取れているとは言い難い町並みで、ストリートビューである程度は覚悟していたが、がっかりした。
山寺は立石寺(りっしゃくじ)が正式名だそうだ。根本中堂があるから延暦寺が総本山の天台宗だ。神仏混淆の日枝神社がある。各所に茶店があって、「力こんにゃく」を売っている。山寺は高い階段道。こんにゃくはほとんどカロリーがないのだから、エネルギー補給という「力」が付いている以上は、餅とか饅頭が適当なのではないか。特別何ともない醤油味であった。入山料を取るようになっていた。以前に登った記憶がある。石段をまた登る気はなかった。本坊に大きなキャラボクがあった。千葉県立美術館の入り口付近にこの小型の木があるが、それ以外でお目に掛かるのは初めてではなかったか。葉振りが面白い木である。日本の沙羅双樹のナツツバキもあって花を付けていた。さすがにお寺である。駅前のそば屋に鉢植えのニワフジ、ケムリノキがあった。後者は珍しい木で、自信がなかったので、世話をしているという老婦人に確認した。
山形から新幹線で6時頃千葉に戻った。

('14/6/25)